重機・建機の種類 2025.01.29

振動ローラーとは?土工用、小型など種類の特徴と用途を解説

振動ローラーは、地盤の締固め作業や舗装工事で広く使用されている建設機械の一つです。その名前の通り、振動機能を利用して地面を効果的に締固められるのが特徴で、効率的な転圧作業が求められる現場で活躍しています。

土木工事から道路舗装、小規模な現場作業まで、振動ローラーは用途に応じてさまざまな種類・サイズが存在しており、それぞれ異なる役割を担っています。しかし、振動ローラーと一口に言っても、具体的な機能や種類の違いについて詳しく知らない方も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、振動ローラーの基本的な仕組みや特徴、代表的な種類、用途をわかりやすく解説します。操作や運転に必要な免許・資格についても紹介していますので、新たに振動ローラーを導入する際にお役立てください。

振動ローラーとは?

振動ローラーの鉄輪部分

振動ローラーとは、ローラー内部に起振機を搭載し、その振動力と自重を利用して土を締め固める重機であり、ロードローラーの一種です。垂直方向に振動をかけるものが主流ですが、水平に振動をかけるものは「章動ローラー」と呼ばれています。

振動の力によって高い締固め効果を発揮するため、道路の盛土やフィルダム(コンクリートを使わずに土砂や岩石を積み上げて築くダム)、空港の滑走路、宅地造成など、大規模な土木工事からインフラ整備まで幅広く活用されています。

ただし、効果的に作業するためには、作業内容や現場の条件に応じて、機体の質量や振動数を適切に選ぶことが大切です。例えば、岩や礫(れき)の締固めを行う場合は、機体が重く、振動数が高いモデルを選ぶと効果的に作業を進めやすくなります。

起振機は、偏心おもりを回転させて周期的な振動を発生させる仕組みが一般的であり、通常ローラー自重の2~3倍の振動力を生み出すことが可能です。対応できる土質の範囲も広く、砂質土やシルトを含む細粒土から礫まで幅広い種類の土に使用できます。

近年では、コンクリートダムの転圧にも利用されるようになり、その用途がさらに拡大しています。

ロードローラー全般について理解を深めたい場合は、以下の記事をご覧ください。振動ローラーの種類や特徴と比較し、現場に最適な重機を選定する際の参考になります。

ロードローラーとは?種類と用途、選び方、免許・資格を解説

参考:一般社団法人 日本機械学会「機械工学時点|振動ローラ」

振動ローラーの主な種類と特徴

本章では、振動ローラーの代表的な種類と特徴を順番に解説します。

タンデム振動ローラー

作業するタンデム振動ローラー

タンデム振動ローラーとは、振動機能が付いたタンデムローラー(※)のことです。均一な転圧を得意としており、特にアスファルトの表層をならす作業に適しています。

※:車体の前後に大きな鉄製のローラーが1つずつ付いているロードローラーの一種。

タンデムローラーの多くは振動機能が搭載されており、タンデム振動ローラーに分類されます。ただし、振動機能がないタンデムローラーも存在します。数は少ないものの、振動を必要としない仕上げ作業や、振動による影響を避けたい特殊な現場で使用されます。重機を選ぶ際には、作業内容に応じて振動機能の有無を確認し、最適な機種を選定することが大切です。

タンデムローラーの詳細は、以下の記事で解説しています。

タンデムローラーとは?特徴、用途、マカダムローラーとの違いと機種紹介

土工用振動ローラー

土工用振動ローラーは、転圧力や斜面を登る力(登坂力)に優れているのが特徴です。中~大規模の土工(例:ため池の土堰堤、高速道路や空港、ダム工事など)の締固め作業に適しています。

最近では、長期間にわたる作業を快適に進めるために、メンテナンス性や操作性、快適性に優れたモデルも数多く登場しています。

小型の振動ローラー(ハンドガイドローラー)

小型の振動ローラーは、大型の振動ローラーが入れない場所(例:入り組んだ細い道路や歩道)での作業を得意としています。小型かつ軽量であるため、取り扱いや持ち運びが非常に容易です。

小型であっても振動を用いるため、自重の3倍~4倍程度の力で転圧が可能です。アスファルトから路床・路盤の転圧まで幅広い用途に使用されています。

コンバインド振動ローラー

コンバインド振動ローラーの作業風景

コンバインド振動ローラーは、前方に鉄製ローラー、後方にゴムタイヤを備えた振動ローラーです。

鉄製ローラーは強力な線圧と起振力で路盤をしっかり締固め、ゴムタイヤはアスファルト舗装の表面をきれいに仕上げる役割を果たします。これにより、路盤の締固めからアスファルトの仕上げまで幅広く対応できるのが特徴です。

道路や歩道、駐車場などの舗装工事をはじめ、土木工事全般で活躍する多用途の振動ローラーです。

振動タイヤローラー

振動タイヤローラーの全貌

振動タイヤローラーは、前後に空気入りのゴム製タイヤを装備しているのが特徴です。国内では、前方に3つ、後方に4つのタイヤを搭載したモデルが一般的とされています。

タイヤの空気圧を調整することで接地圧を変えられるほか、最近では、タイヤに可変振幅振動機構(振動の強さや振幅を調整できる仕組み)を採用しているモデルもあります。これにより、柔らかい土壌や砂利の締固めからアスファルトの表面仕上げまで、現場に応じた締固め作業が可能になります。

また、ゴム製タイヤを使用していることから、作業時の振動や騒音が少ない点も大きな特徴です。そのため、学校や病院の近隣、夜間の作業現場など、騒音を抑えたい環境でも使いやすい振動ローラーです。

振動ローラーの免許・資格

振動ローラーの操作・運転にあたって取得が求められる免許・資格は、以下のとおりです。

必要な免許・資格
現場・私有地内での作業 締固め用建設機械(ローラー)の運転の業務に係る特別教育
公道での走行 自動車運転免許(振動ローラーのサイズに応じたもの)

なお、小型の振動ローラー(ハンドガイドローラー)については、公道で走行させることがないため、自動車運転免許の取得は不要です。

締固め用建設機械(ローラー)の運転の業務に係る特別教育の詳細は、以下の記事で解説しています。

ローラーの運転の業務に係る特別教育とは?内容、受講方法、費用

まとめ

振動ローラーは、地盤や舗装材の効率的な締固めに欠かせない重機です。土工用の大型モデルから小型のタイプまでさまざまな種類があり、土工事から道路舗装、小規模な作業まで幅広い用途で使われています。

振動ローラーの選定や使用方法を理解し、現場のニーズに合わせて適切に活用することで、施工の品質向上および効率化に繋がります。振動ローラーを適切に活用し、確実な施工と安全な作業環境を実現しましょう。

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