重機・建機の種類 2025.01.16

ロードローラーとは?種類と用途、選び方、免許・資格を解説

ロードローラーは、アスファルトや砂利などを圧縮し、しっかりと締固めるために使われる重機で、道路の耐久性や安全性を高める重要な役割を担っています。ロードローラーには様々な種類があり、作業内容や地面の状態、周囲の状況によって適切なタイプを選ぶことが大切です。

本記事では、ロードローラーの代表的な種類や用途について解説するとともに、作業に適したロードローラーの選び方や運転に必要な資格についても詳しく説明します。ロードローラーを安全かつ効果的に使用するための知識を深め、適切なモデル選びや運用にお役立てください。

ロードローラーとは?

作業するロードローラー

ロードローラーとは、ローラー式の締固め機械のことです。締固め機械とは、舗装工事や造成工事などで土木材料を締固め、強度を高めるために使用される機械を指します。グラウンド整備に使う「整地ローラー(コンダラ)」のような大きな車輪と、地面を転圧(※1)するための重い車体が特徴的です。

締固めの主な原理には、静的荷重(※2)による圧力効果、振動力によるゆすり効果、突く・叩くといった衝撃力の3種類があります。静的荷重は、ロードローラーの自重が地面に一定の圧力をかけることで発生する締固め効果を指します。一部のロードローラー(振動ローラーなど)は、この静的荷重に加えて振動力を用いることで、より高い締固め性能を発揮します。

※1:土木や建築現場で地面や材料を固めるために重たいローラーや重機を使い、圧力をかける作業のこと
※2:機械や構造物にかかる荷重のうち、方向や大きさが一定で時間的に変化しない荷重のこと

ロードローラーは主として道路工事で活用されており、アスファルト混合物や路盤の締固め、路床の仕上げ転圧などを担っています。ロードローラーによる仕上げ面はきれいで表面仕上げに適しています。ただし、鉄製ローラーを備えたタイプは走行速度が遅く、急坂での走行や操作が難しい場合があります。一方で、タイヤローラーや振動ローラーなど、柔軟性や機動性に優れたタイプでは、急坂での性能が改善されている場合もあります。

以下の記事では、ロードローラーをはじめ様々な重機の特徴をまとめています。併せてお読みいただくことで重機について理解を深められますので、ぜひご覧ください。

重機とは?種類と役割、用途、免許を解説

ロードローラーの種類と用途

ロードローラーには、主に以下のような種類があります。

  • タンデムローラー
  • マカダムローラー
  • タイヤローラー
  • 振動ローラー
  • ハンドガイド式ロードローラー
  • コンバインド式ロードローラー

各種類のロードローラーに見られる特徴や用途について、順番に解説します。

タンデムローラー

タンデムローラーの全体像

前後に1つずつ、合計2つの鉄製の車輪を備えたロードローラーで、後述するマカダムローラーと合わせて「鉄輪ローラー」とも呼ばれています。

国内におけるタンデムローラーは1922年に三菱造船によって初めて開発・販売され、導入されました。1923年の関東大震災の際には、道路の復旧作業において大いに役立ったとされています。

タンデムローラーは、ローラー幅が広く、均一に圧力をかけられる点が大きな特徴です。車体とほぼ同じ幅のローラを備えており、1回の走行で広範囲を効率的に転圧できます。現在では幅広い建設現場で活用されており、主にコンクリートやアスファルトの仕上げ転圧などに用いられています。

その他、タンデムローラーに関して、以下の記事で解説をしておりますので、興味を持たれた方はぜひご覧ください。

タンデムローラーとは?特徴、用途、マカダムローラーとの違いと機種紹介

マカダムローラー

側面から見たマカダムローラー

マカダムローラーは、鉄製ローラーが前に1つ、後ろに2つの合計3輪で構成されるタイプのロードローラーです。タンデムローラーと共に、1922年に三菱造船が開発・販売を開始し、日本ではこれが初の導入とされています。関東大震災の復興にも役立ちました。

マカダムローラーの特徴は、優れた締固め性能にあります。3輪の鉄製ローラーと重量のある車体により、地面をしっかりと圧縮するため、建設現場で広く使用されています。

特にマカダムローラーは、道路基盤の路盤をしっかりと締固めることが欠かせない道路工事の初期段階での転圧に適しています。ローラーに水や鉄のバラスト(※)を追加して自重を増やせるため、初期転圧において高い効果を発揮する重機です。

※:乗り物の重量を増したり重量のバランスを取ったりするために積み込む重しのこと

その他、マカダムローラーについて、以下の記事で解説しております。ロードローラーの種類として興味がおありでしたら、併せてご一読ください。

マカダムローラーとは?特徴やタンデムローラーとの違い、機種紹介

タイヤローラー

タイヤローラーの車輪

タイヤローラーは、空気入りのタイヤを複数装着した構造のロードローラーです。国内では前方に3つと後方に4つのタイヤを搭載しているものが広く流通しています。鉄製ローラーと同様に、アスファルト混合物や路盤、路床の締固めで活躍している重機です。渡辺機械工業(現:日立建機カミーノ)が国内で初めて開発・販売を行ったとされています。

タイヤローラーは、タイヤの空気圧を変えることで接地圧を調節できるため、柔らかい土壌や砂利の締固めからアスファルトの表面仕上げまで幅広い用途に対応可能です。また、水や鉄などのバラストを積むことで輪荷重を増減させ、必要に応じて締固めの強度を調整できます。鉄製ローラーに比べると走行速度が速い上に、衝撃吸収力に優れており、道路面に対して優しく仕上げられます。

また、ゴム製タイヤを装備しているため、施工時に騒音や振動を抑えられる点も特徴の一つです。このため、学校や病院の近隣、夜間作業の現場などでも使用しやすくなっています。

ただし、ゴムタイヤは定期的なメンテナンスが欠かせません。タイヤに亀裂が生じると均一な転圧ができなくなる恐れがあるため、日頃からの点検をしっかり行う必要があります。

タイヤローラーについて、詳しくは以下の記事で解説しています。

タイヤローラーとは?特徴、ロードローラーとの違い、免許・資格を解説

振動ローラー

振動ローラーは、自重による荷重に加えて転圧輪重を発生させ、効果的な締固めを行う重機です。

舗装用振動ローラーは、両輪振動のダンデム式と、前輪のみを振動輪にして後輪を空気入りのゴムタイヤにするコンバインド式に分かれます(コンバインド式の詳細は後述します)。

土工用振動ローラーは、前輪に振動輪、後輪にタイヤを装着しているものが一般的です。前後輪に鉄輪を装着し、ドラム外周に台形状の突起を取り付けた「タンピングローラー」と呼ばれる種類のロードローラーも存在します。

タンピングローラーでは、突起に重量を集中させつつ、土砂をこねる作用や衝撃・振動による作用によって、より効果的に土砂の重転圧を行えます。

振動ローラーは振動による強力な締固め効果が期待できるため、一般的な道路工事や舗装作業に加え、通常の路面以上に頑丈な締固めが必要とされるダムや堤防の初期転圧作業・二次転圧作業などでも活躍します。

その反面、振動と騒音が大きい点には注意しましょう。周囲に建物があるエリアで使用する際は、近隣への配慮が求められます。また、振動ゴムを始めとするメンテナンスにも気を配る必要があります。

振動ローラーについて、詳しくは以下の記事で解説しています。

振動ローラーとは?土工用、小型など種類の特徴と用途を解説

ハンドガイド式ロードローラー

ハンドガイド式ロードローラーの作業風景

ハンドガイド式ロードローラーは、手で押して操作する小型のロードローラーです。1957年にドイツのボーマク(BOMAG)社によって初めて開発・販売されました。

ハンドガイド式ロードローラーはアスファルトだけでなく、砂や軟弱な地盤にも適した締固め能力を備え、瞬く間に普及しました。

小型で機動力が高く、車両が入れない狭い場所でも転圧作業が可能であるため、特に歩道などのアスファルト舗装作業で適しています。最近では低騒音型モデルも多く登場しており、住宅街や市街地などでも頻繁に利用されています。主な用途は、砂やがれきの転圧作業です。

コンバインド式ロードローラー

コンバインド式ロードローラーは、前方に鉄製のローラー、後方にゴムタイヤを備えたタイプのロードローラーです。国内では1973年に川崎重工業株式会社によって開発・販売が始まりました。

コンバインド式ロードローラーは、鉄製ローラーとゴムタイヤの双方の特徴を生かした転圧が可能です。アスファルトやコンクリートなど、多様な表面に対応した転圧作業を行えます。主に道路工事において、初期から仕上げの転圧まで幅広く活用されています。

参考:一般社団法人 日本建設機械施工協会「建設の施工企画|我が国における締固め機械の変遷(その1.黎明期~昭和30年代)」
一般社団法人 日本建設機械施工協会「建設の施工企画|我が国における締固め機械の変遷(その2.昭和40年代)」

ロードローラーの選び方

前章で紹介したようにロードローラーには様々な種類があり、作業内容や地面の状態、周囲の状況によって適切なタイプを選ぶことが大切です。

本章では、2つの観点から適切なロードローラーの選び方を紹介します。

作業内容と周囲の状況に応じた選び方

ロードローラーは、作業内容に応じて適切な種類を選ぶことで、作業効率や安全性を高められます。舗装の種類や地面の硬さなどを考慮し、最適なタイプのロードローラーを選択することが大切です。

例えば、タンデムローラーは均一に圧力をかけられるため、アスファルト舗装に向いています。一方、タイヤローラーは柔軟性があり、砂利や柔らかい土壌の締固めに適しています。

また、ロードローラーの種類を選ぶ際は、作業現場の周囲状況も考慮することが大切です。具体的には、作業スペースの広さ、障害物の有無、交通量などが該当します。例えば、コンバインド式ロードローラーは小型で機動性が高いため、建物が密集する狭い場所や細い道路での作業に適しています。一方で、タンデムローラーはローラー幅が広く、一度に広範囲を転圧できるため、大型駐車場や広い道路の舗装作業に向いています。

振動力と静的荷重の選定ポイント

ロードローラーを選ぶ際には、振動力や静的荷重もチェックすべきポイントです。これらの要素によって圧縮の深さや仕上がりの質が変わるため、作業内容や現場条件に応じて適切なロードローラーを選択しましょう。

振動力はロードローラーが地面に加える振動の強さのことで、地面の深い部分まで効果的に締固めを行う上で重要です。特に、ダムや堤防の建設現場では、土砂や砕石を高い密度で締固める必要があります。こうした場所では、土砂の層が厚く重さだけでは十分な密度が得られないため、振動力を利用して深部まで圧力を均一に伝えることが重要です。このような条件下では、振動力による締固めが可能な振動ローラーが効果を発揮します。

振動機能を持たないロードローラーでも、静的荷重が十分であれば、表層の締固めを効果的に行えます。住宅街や市街地のように大きな振動や騒音を抑えたい現場作業では、静的荷重での締固めが可能なタイヤローラーやハンドガイド式ロードローラーなどが活躍します。

ロードローラーの免許・資格

ロードローラーと運転手

ロードローラーを取り扱う際は、以下の免許・資格が必要になります。

  • 締固め用建設機械(ローラー)の運転に係る特別教育
  • ロードローラーのサイズに応じた自動車運転免許

ロードローラーを使って作業を行う場合、特別教育が必要です。この教育では、ロードローラーの操作方法や安全管理について学びます。ただし、建設現場や私有地内での作業のみで使用する場合は、特別教育を受けるだけで操作が可能です。一方、公道を走行させる場合には、自動車運転免許(大型特殊自動車免許または小型特殊自動車免許)が必要となります。

締固め用建設機械(ローラー)の運転の業務に係る特別教育

ロードローラーを使って作業を行う際は、締固め用建設機械(ローラー)の運転の業務に係る特別教育を修了する必要があります。

ロードローラーを使って作業を行う人は、この特別教育を受けた後に交付される修了証を取得しなければロードローラーを操作できません。

また、労働安全衛生法第59条第3項により、事業者はロードローラーなど締固め用重機の運転業務に作業員を従事させる場合、特別教育を実施させることが義務付けられています。

下表に、締固め用建設機械(ローラー)の運転の業務に係る特別教育の概要をまとめました。

資格・教育の情報 内容
費用 20,000円前後
日数 10時間(2日間)前後
講習内容 【学科】
・締固め用機械(ローラー)に関する知識
・締固め用機械(ローラー)の運転に必要な一般的事項に関する知識
・関係法令【実技】
・締固め用機械(ローラー)の運転方法
受講資格 18歳以上
申込先 社内、社外の教育機関(都道府県労働局長登録教習機関など)

参考:厚生労働省「労働安全衛生法における特別教育の概要」

概要ではなく、詳細を知りたい方は以下の記事をご覧ください。

ローラーの運転の業務に係る特別教育とは?内容、受講方法、費用

ロードローラーのサイズに応じた自動車運転免許

ロードローラーを公道で走行させるためには、以下のいずれかの自動車運転免許の取得が必要です。現場で作業を行うのみであれば取得する必要はありませんが、公道走行時には自動車運転免許が必須となります。

  • 大型特殊自動車免許
  • 小型特殊自動車免許

大型特殊自動車免許は、大型特殊自動車を公道で走行させるための免許です。道路交通法上、大型特殊自動車の基準は、「小型特殊自動車の規格をこえるもの」とされています。

小型特殊自動車免許は、小型特殊自動車を公道で走行させるために必要な免許です。小型特殊自動車の規格は、以下のとおり定められています。

  • 全長:4.7m以下
  • 全幅:1.7m以下
  • 全高:2.0m以下(ヘッドガード等を備えた自動車で、ヘッドガード等を除いた部分の高さが2.0m以下のものについては2.8m以下)
  • 最高速度:時速15km以下

普通自動車免許をすでに取得している場合、以下の免除が適用されます。

  • 大型特殊自動車免許の教習期間が短縮される
  • 小型特殊自動車免許を新たに取得する必要がなくなる

ロードローラーをはじめ様々な重機の免許・資格について、以下の記事でまとめています。ロードローラー以外の重機の導入も新たに検討している場合には、併せてご覧ください。

建設機械・重機の免許・資格一覧!費用や日数、受験資格

参考:国土交通省「自動車の種類」

まとめ

ロードローラーは舗装・整地作業に欠かせない重機です。様々な種類があり、作業内容や現場環境に応じて選ぶことが大切です。振動力や静的荷重の違い、作業場所のスペースなどを考慮して最適なタイプを選ぶことで、効率的かつ安全な作業が可能になります。

ロードローラーを操作・運転するためには適切な免許・資格が必要です。安全に作業を進めるためにも法令を遵守し、十分な知識と技術を身につけることが重要です。

本記事を参考に、ロードローラーの代表的な種類や用途、選び方、必要な免許・資格について理解を深め、現場でのロードローラー運用にお役立てください。

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