重機・建機の種類 2025.05.26

Lゲートダンプ(Fゲートダンプ)とは?構造や動作の仕組みを解説

Lゲートダンプ(別名:Fゲートダンプ)は、荷台後部の扉がL字型に開く構造を持つダンプトラックです。

一般的なダンプでは後部ゲートの開閉構造により砂利や石が引っかかることもありますが、Lゲートダンプではリアゲートの上部が外側に大きく開くことで、ゲートが障害とならずに積載物が滑り落ちやすい設計になっています。

特に大きな石や体積の大きい資材を運ぶ現場では、ゲート付近での詰まりを防ぎ、スムーズに排出できるため、搬出効率の面で非常に優れています。

本記事では、Lゲートダンプ(Fゲートダンプ)の基本構造や動作の仕組み、一般的なダンプとの違い、導入の判断材料となる現場適性について、わかりやすく解説します。自社の施工内容や作業環境に合った運搬機材を選定する上で、Lゲートダンプの特性を把握しておきましょう。

Lゲートダンプ(Fゲートダンプ)とは?

開いた状態のLゲートダンプ

Lゲートダンプとは、荷台後部の扉(リアゲート)がL字型に開く構造のダンプトラックのことです。リアゲートが開いた際に扉が平ら(フラット)の形状になることから、「Fゲートダンプ」とも呼ばれています。

この特殊な開閉方式により、従来のダンプトラックで起こりがちな積載物の詰まりを防止でき、土砂はもちろん、大きめの石や粗い資材でもスムーズに排出可能です。排出効率に優れた構造であるため、作業時間の短縮や安全性の向上にもつながります。

ダンプトラックの基本情報についておさらいしたい方は、併せて以下の記事をご一読いただくことをおすすめします。

ダンプトラックとは?特徴・用途・必要な免許をわかりやすく解説

「Lゲート」と「Fゲート」の違いについて

LゲートとFゲートでは構造自体に違いはなく、呼び名が異なるだけで、同じタイプのリアゲートを指します。メーカーや業界によって使い分けられているのが実情です。

前述の通り、Lゲートは、リアゲートの下部を軸にして、上部が外側へ跳ね上がるように開く仕組みです。この開閉動作がアルファベットのLに似ていることから、この名称が使われています。

Fゲートという名称は、リアゲートが開いた際に地面と平行な板状に展開されることに由来すると言われています。

ただし、呼称の起源については明確な統一見解があるわけではなく、業界やメーカーによって表現に違いがあるのが実情です。

つまり、LゲートとFゲートは構造上同一であり、「開き方の形状(L字)」を重視するか、「開いたときの状態(Flat)」を重視するかの違いで、呼び名が変わっているようです。

Lゲートと一般的なダンプとの違い

ゲートの上側が固定されて下側が開くタイプのダンプトラック

一般的なダンプでは、上の画像のように、上側が固定されて下側が開くタイプや左右に開くタイプ(観音式)が主流で、細かい砂や土の運搬・排出に適しています。

それに対して、Lゲートダンプは、リアゲートの下側が固定されて上側が開く構造になっており、アスファルト合材や岩石、コンクリート片といった塊状・固形の資材もスムーズに排出できます。ゲートに資材が引っかかりにくいため、作業効率の向上にもつながります。

以下の記事では、Lゲートを含めダンプの種類を網羅的に紹介しています。自社に適したダンプ選びを行う際にお役立てください。

ダンプの種類とは?用途・構造・サイズ・走行環境で解説

Lゲートダンプの構造

本章では、Lゲートダンプの構造や荷台と開閉機構の仕組みについて詳しく紹介します。

リアゲートの構造

Lゲートダンプのリアゲートは、下部がヒンジで固定されており、上部が油圧によって外側に開く構造です。この仕組みにより、荷台を傾けた際に積載物が滑るように自然に排出され、ゲート付近での詰まりを防ぎやすくなっています。

荷台と開閉機構

荷台自体は、一般的なダンプトラックと同様に油圧で傾けて持ち上げる構造です。また、リアゲートの開閉も油圧シリンダーで制御されており、多くの車両では運転席からボタン操作で開閉が可能なため、作業員による手作業を必要としません。

Lゲートダンプの排出の仕組みと作業手順

土砂を排出するLゲートダンプ

Lゲートダンプによる資材の排出手順は、基本的に以下のような流れになります。

  • 車両を排出場所に停車させる
  • 荷台を油圧システムで傾ける
  • リアゲートが油圧で上方向に開く
  • 積載物が重力によってスムーズに滑り出る
  • 荷台を元の位置に戻し、リアゲートを閉じる

排出の基本的な手順は一般的なダンプトラックと同様ですが、Lゲートの開閉方式には特有の操作があるため、機種ごとの仕様にも留意が必要です。

Lゲートはリアゲートの上部が大きく外側に跳ね上がる構造になっているため、排出時に資材がゲートに引っかかるリスクが大幅に軽減されます。この構造により、資材の詰まりを軽減できる可能性が高く、結果として作業効率の向上にも寄与すると考えられます。

安全面での注意点

リアゲートや油圧機構は、安全に使用するために定期的な点検とメンテナンスが欠かせません。特に油圧シリンダーが劣化したり、動作に不具合が生じたりすると、ゲートの開閉トラブルや思わぬ事故につながるおそれがあります。

また、資材を排出する際には、必ず車両の後方に人がいないことを確認するなど、基本的な安全管理を徹底することが重要です。日常点検と安全確認を習慣づけ、安心・確実な作業環境を整備しましょう。

Lゲートダンプの主な用途と活用シーン

本章では、使用される現場や適した積載物などの観点から、Lゲートダンプの用途・活用シーンを紹介します。自社でLゲートダンプの導入を検討する際にお役立てください。

使用される現場

Lゲートダンプは、主に以下のような現場で活用されています。

  • アスファルト舗装などの舗装工事
  • 土地造成工事
  • 建物の解体工事
  • 道路の補修・修繕作業

その中でも、高温のアスファルト合材を効率的に排出する必要がある舗装作業では、Lゲートダンプが高い効果を発揮します。

適した積載物の例

Lゲートダンプに適した積載物としては、主に以下のようなものが挙げられます。

  • アスファルト合材
  • コンクリート片や岩などの大きな破片
  • 砕石・砕砂
  • 固まりのある資材全般

このように、Lゲートダンプは粉末や泥状の細かい資材よりも、塊状や固形の資材を運搬・排出する作業に向いているのが特徴です。

まとめ

Lゲートダンプ(Fゲートダンプ)は、リアゲートの上部が外側に開く構造のダンプトラックです。岩やアスファルト合材などの塊状資材をスムーズに排出できる点に大きな特徴があります。

この構造により、資材の詰まりを防ぎ、作業効率が向上するだけでなく、安全性の面でもメリットがあります。安全性と効率性の両立を目指す現場において、Lゲートダンプは非常に有力な選択肢のひとつです。

構造や動作の仕組み、安全に関するポイントをしっかりと把握しておき、安全かつ効率的な現場運用を実現しましょう。

なお、ARAVは、2025年6月18日(水)〜21日(土)に幕張メッセで開催される「第7回 国際 建設・測量展(CSPI-EXPO2025)」に出展いたします。

会場では、自動(無人)油圧ショベル RX「ヨイショ投入くん」の実機を披露予定です。「ヨイショ投入くん」は、建設現場の掘削・投入工程を自動化し、生産性と安全性の向上を実現するシステムで、電子制御式油圧ショベルに後付けするだけで無人稼働が可能になります。ARAVブース(屋内:小間番号07-49)にぜひお立ち寄りください。

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