重機・建機の種類 2026.04.13

クローラーフォークリフトとは?タイヤ式フォークリフトとの違い・用途・必要な資格を解説

クローラーフォークリフトとは、不整地や悪路でも安定した走行と荷役作業を実現する特殊構造のフォークリフトです。タイヤの代わりにクローラー(キャタピラー)を搭載しています。

タイヤ式フォークリフトでは走行が困難な悪路や傾斜地でも安定して運搬できるため、建設業、農業、林業、災害復旧といった多様な現場で活用されています。

本記事では、クローラーフォークリフトの特徴やタイヤ式との違い、用途、運転に必要な資格までをわかりやすく解説します。主な機種や導入時の注意点についてもまとめています。クローラーフォークリフトの導入を検討している場合にはぜひご参考ください。

クローラーフォークリフトとは?

斜め前方から見たクローラーフォークリフト

クローラーフォークリフトとは、タイヤの代わりに無限軌道(クローラー、キャタピラー)を装備したタイプのフォークリフトを指します。最大の特徴は接地面が広く、荷重が分散されるため、ぬかるみ・砂利道・雪道などの悪路でも沈みにくく、安定して走行できることです。

以下に、クローラーフォークリフトの主な特徴をまとめました。

特徴 詳細
高い安定性 荷物を積んだ状態でもバランスを保ちやすく、横滑りや転倒の危険性を低減します。
強力なグリップ力 クローラーによる摩擦力が高いため、坂道や傾斜地でもしっかりと踏ん張り、作業効率を向上させます。
幅広い現場対応 土木工事現場や農業地帯、雪が多い地域など、通常のタイヤ式フォークリフトでは不安定になりやすい環境でも活躍します。

クローラーは、アイドラ・スプロケット・シューといった複数の部品から構成され、それぞれが連動することで安定した走行を実現します。これにより、軟弱地盤や傾斜地でも力強く走れる構造となっています。

クローラー各部の役割については、以下の記事で詳しく解説しています。

重機のクローラーとは?移動を支える構造やキャタピラーとの違い

クローラーフォークリフトとタイヤ式フォークリフトの違い

タイヤ式フォークリフトの下部

フォークリフトには「クローラー式」と「タイヤ式」の2種類があり、それぞれに適した現場や特性があります。以下に、2つの比較項目から両者の主な違いを整理しました。

比較項目 詳細
接地性と安定性 ・クローラー式:接地面積が広く、荷重を分散できるため泥地・砂利道・雪道でも沈みにくい特性があります。地面を傷めにくいのも特徴です。

・タイヤ式:舗装路での走行や旋回が得意です。ただし、悪路ではタイヤがはまり込んで動けなくなるリスクがあります。

作業環境との相性 ・クローラー式:未舗装の資材置き場、斜面の多い建設現場など不整地や傾斜地に強いです。

・タイヤ式:倉庫や工場の屋内、アスファルト舗装された屋外など平坦で硬い路面に最適です。

タイヤ式フォークリフトについては屋内や、屋外の比較的平坦で舗装された路面で広く使用され、「エアタイヤ」と「ノーパンクタイヤ」を用途に応じて使い分けます。

エアタイヤはクッション性に優れ、長時間の運転にも適していますが、砂利道や尖った物のある悪路ではパンクのリスクがあります。これに対して、ノーパンクタイヤはパンクに強く、多少の悪路でも走行可能ですが、乗り心地は硬めになります。

一方のクローラーフォークリフトにも、メリットだけでなく以下のような課題が伴います。

  • タイヤ式に比べて走行速度が遅く、長距離移動には不向き
  • 小回りが効きにくく、狭い場所での操作が難しい場合がある
  • 砂利道や小石の多い路面ではクローラーの摩耗が早まりやすく、こまめなメンテナンスが求められる

クローラーフォークリフトは悪路や傾斜に強く、タイヤ式は舗装された路面での小回りや作業効率に優れています。「どちらが優れているか」は一概に言えず、現場の地盤や作業環境、必要な走行性能に応じて最適なタイプを選ぶことが重要です。

タイヤ式フォークリフトの代表格である「カウンターフォークリフト」や「リーチフォークリフト」の特徴や操作方法については、以下の記事で詳しく解説しています。用途に合わせた選び方の参考にぜひご覧ください。

カウンターフォークリフトとは?種類、操作方法、免許を解説
リーチフォークリフトとは?種類、操作方法、免許を解説

クローラーフォークリフトの用途

側面から見たクローラーフォークリフト

クローラーフォークリフトは、その特性からタイヤ式では対応が難しい現場で力を発揮します。本章では、クローラーフォークリフトが活用される代表的な現場を具体的に紹介します。

主な活用現場

下表に、クローラーフォークリフトの代表的な活用現場をまとめました。

活用分野 詳細
建設業 山を削ったまま設置業務が発生する、太陽光パネル設置の際に多く使われているほか、未舗装の仮設ヤードや資材置き場での資材運搬に活躍します。特に足場材や重量物の移動に強みを発揮します。
農業・林業 畑や山林といった軟弱地盤で、農産物・肥料・木材の運搬に使用されます。雨天時でもぬかるみに強く、安定して作業できます。
災害対応 地震や豪雨後のがれき撤去、救援物資の搬送、廃材や土砂の移動など、緊急時の作業現場で重要な役割を果たします。
除雪作業 雪が積もった現場での資材運搬や雪害対応の補助作業でも利用可能です。

活躍する場面の具体例

例えば、大雨でぬかるんだ建設現場では、タイヤ式では動けなくなることがありますが、クローラーフォークリフトであれば安定して走行可能です。

傾斜や段差が多い林業現場でも、荷物が横転しにくく、効率的に作業を進められます。このように、過酷な現場環境に対応できることが、クローラーフォークリフトの最大の魅力です。

クローラーフォークリフトの操作に必要な資格

クローラーフォークリフトの操作には特別な技能が求められるため、所定の講習・教育を受講し、必要な資格を取得する必要があります。

本章では、資格の種類と取得方法について解説します。

操作に必要な資格の種類

クローラーフォークリフトを操作するには、最大荷重に応じた資格が必要です。クローラーフォークリフトの操作に必要な資格には、大まかに以下の2種類があります。

最大荷重 資格の名称
1t以上 フォークリフト運転技能講習
1t未満 フォークリフト運転特別教育

最大荷重が1t未満の車両であれば、比較的短期間で修了できる「特別教育」で対応可能です。しかし、1t以上の車両を扱うためには、より実技重視の「技能講習」の修了が必要です。

なお、業務でクローラーフォークリフトを操作する際は、私有地であっても上記の資格が必要となります。

また、フォークリフトのうちホイール式のものは車両区分によっては小型特殊自動車などに分類され、所定の条件を満たせば公道走行が認められるケースもあります。

一方、クローラー式は構造上速度が遅く、路面への負荷も大きいため、公道走行用として登録・ナンバー取得されることは少なく、多くの現場では公道を自走させることを想定していません。そのため、現場間を移動させる際にはトレーラーや運搬車に積載して輸送する運用が一般的です。

取得方法と講習の内容

講習は、学科と実技を合わせて受講するのが基本です。フォークリフト運転技能講習の受講期間は1日〜5日程度で、費用は16,000円〜47,000円前後です。学科では安全管理や関連法令を学び、実技では走行や荷役作業の方法を習得します。

一方で、フォークリフト運転特別教育は2日程度で修了でき、費用も15,000円〜20,000円前後と比較的安価です。

下表に、「フォークリフト運転技能講習」と「フォークリフト運転特別教育」に見られる主な違いをまとめました。

比較項目 技能講習 特別教育
費用 16,000円〜47,000円前後 15,000円〜20,000円前後
日数 1日〜5日程度 2日程度
講習時間 学科:7時間〜11時間
実技:4時間〜24時間
学科:6時間
実技:6時間
申込先 都道府県労働局長登録教習機関 社内、社外の教習機関(都道府県労働局長登録教習機関など)

※費用については目安となりますので、正確な費用は申込先に確認が必要です。

以下の記事では、フォークリフト全般の操作に必要な資格について詳しく解説しています。新たにクローラーフォークリフトの導入を検討している際には、資格の取得も踏まえて、ぜひ併せてご覧ください。

フォークリフト免許とは?取得方法、日数、費用、試験内容と対策

主なクローラーフォークリフト

現在国内で流通している代表的なクローラーフォークリフトの一つとして、諸岡の「MFD-20」が挙げられます。

諸岡は1958年に創業し、ゴムクローラー走行部を備えたフォークリフトやフォワーダ、自走式破砕機などを手掛けてきた重機メーカーです。長年の実績を背景に、国内外で幅広く導入されています。

MFD-20の主な特徴は、以下のとおりです。

  • 接地圧の低いゴムクローラーを採用
  • 振動・騒音も少なく低燃費の全油圧機構(HST)を採用
  • 諸岡独自の1本レバーによる楽々操作
  • 特定特殊自動車排出ガス規制2014年基準適合 クボタ製V2403エンジン採用
  • 感圧式シートを採用し、着席時以外のマスト作動を制限
  • ヘッドライト・テールライト・方向指示器にLEDランプを採用し、暗所での視認性を向上

下表に、諸岡「MFD-20」の基本的な仕様をまとめました。

商品名称(型式) MFD-20
運転質量 4,315kg
全長 4,030mm
全幅 1,590mm
全高 2,250mm
最大荷重 2,000kg
最大揚高 3,000mm

参考:諸岡「製品カタログ MFD-20」

クローラーフォークリフトの選び方と注意点

クローラーフォークリフトを導入する際には、作業現場の条件や用途に合わせた機種選びが欠かせません。以下の点を意識すると、失敗を防げます。

注意点 詳細
現場環境を考慮する 泥地や傾斜地など悪路が多いのか、あるいは比較的安定した地盤なのかによって、最適なモデルは異なります。

また、必要な積載量を満たせるかどうかも重要な判断基準です。

購入かレンタルかを決める 利用頻度が高い場合は購入の方が長期的にコストを抑えられることがあります。

一方、使用が限定的であればレンタルの方が無駄な負担を避けられます。

メンテナンス体制を確認する 導入後の整備や修理体制、部品の供給が安定しているかどうかも見逃せません。

サポート体制が整っていれば、トラブル時も迅速な対応が可能です。

耐用年数を考える 税務上は減価償却資産の区分により、フォークリフト類は原則として4年の法定耐用年数と定められています。

ただしこれは会計上の目安であり、実際の使用年数を示すものではありません。現場での使い方や整備状況によって大きく変動し、数年以上使用されるケースも多くあります。適切な点検や部品交換を行うことで、より長期間の運用が可能になる場合もあります。

クローラーフォークリフトは、使用する現場環境や使用頻度を基準に選定し、維持・管理体制を含めて検討することが重要です。購入前に専門業者や税理士に相談しておくと、コスト面・安全面の両立につながります。

クローラー式以外のフォークリフトの種類について理解を深めたい場合は、併せて以下の記事をご覧ください。

フォークリフトの種類とは?構造・機能、動力、タイヤ別に解説[選び方あり]

まとめ

クローラーフォークリフトは、タイヤの代わりにクローラー(キャタピラー)を備えているため、ぬかるみ・砂利道・傾斜地などの不安定な路面でもしっかりと安定して走行できるのが大きな特徴です。建設現場や農業、林業、災害対応など、地盤が弱い場所や悪路での作業に強みを発揮します。

ただし、クローラーフォークリフトの操作には最大荷重に応じた資格が必要です。また、導入を検討する際は、現場環境や運ぶ荷物の重量に適したモデルを選ぶことが欠かせません。

さらに、クローラーフォークリフトを効率的かつ安全に使い続けるためには、資格取得だけでなく、日常点検や定期的なメンテナンスを徹底することが大切です。適切な運用を徹底することで、長期間にわたり安定した性能を維持できます。

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