免許・資格 2024.08.08

フォークリフト免許とは?取得方法、日数、費用、試験内容と対策

フォークリフトは、倉庫や工場、建設現場などで重い荷物を運ぶために使用される重機です。その操作には特別な技能が求められることから、フォークリフトを運転するためには法令で定められた免許を取得する必要があります。

本記事では、フォークリフト免許について、基本的な情報や取得の方法、取得に必要な日数や費用、試験内容とその対策を中心にわかりやすく解説します。フォークリフト免許の取得を検討している方は、ぜひこの記事を参考にして、スムーズな取得を目指しましょう。

フォークリフト免許とは

フォークリフトの免許でカウンターフォークリフトを運転する人 フォークリフト免許とは、労働安全衛生法に定められている国家資格であり、フォークリフトを安全かつ適切に操作するために必要となる資格です。

フォークリフトは、荷物の積み下ろしや運搬に欠かせない作業車両であり、その操作には専門的な技能が求められます。フォークリフト免許を取得することで、倉庫や工場、建設現場などでの作業が可能となり、仕事の幅も広がります。

フォークリフト免許には、大きく分けて以下の2種類があります。

免許の種類 取得が求められる業務内容
フォークリフト運転技能講習 最大積載荷重1t以上のフォークリフトの運転
フォークリフト運転特別教育 最大積載荷重1t未満のフォークリフトの運転

それぞれの資格によって、取得が求められる業務内容のほか、受験資格や取得方法なども異なります。

フォークリフトの種類や選び方について詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。

フォークリフトの種類とは?構造・機能、動力、タイヤ別に解説[選び方あり]

フォークリフト免許の受験資格

下表に、フォークリフト免許の受験資格をまとめました。

免許の種類 受験資格
フォークリフト運転技能講習 【11時間コース】
以下のいずれかを満たす人・普通自動車以上の運転免許証を有し、かつ1トン未満のフォークリフト特別教育を受け、その後3ヶ月以上の実務経験がある人・大型特殊免許(キャタピラ限定を除く)を有している人【15時間コース】
普通自動車以上の運転免許を持たず、かつ1トン未満のフォークリフト特別教育を受け、その後6ヶ月以上の実務経験がある人【31時間コース】
普通自動車以上の運転免許を有する人【35時間コース】
18歳以上で、普通自動車以上の運転免許を持たない人
フォークリフト運転特別教育 18歳以上

フォークリフト運転技能講習は、受講コースによって受験資格が大きく異なるのでご注意ください。

フォークリフト免許の取得方法

本章では、フォークリフト免許の取得方法を種類別にご紹介します。なお、フォークリフト免許は、最大で5日間・最短で2日間(教習機関によっては最大4日間、最短1日)での取得が可能です。

フォークリフト運転技能講習

フォークリフト運転技能講習の所要時間

まずは、フォークリフト運転技能講習について、受講にかかる時間と日数、講習内容、かかる費用、関連する助成金をご紹介します。

時間と日数

本章の冒頭で示した画像のとおり、フォークリフト運転技能講習の受講に要する時間は11時間〜35時間、日数にして1日〜5日間程度とされています。

講習内容

下表に、フォークリフト運転技能講習の大まかな内容をまとめました。

講習科目 所要時間 11時間
コース
15時間
コース
31時間
コース
35時間
コース
走行学科 フォークリフトの走行に関する装置の構造及び取扱いの方法に関する知識 4時間 ⚪️ ⚪️
学科 フォークリフトの荷役に関する装置の構造及び取扱いの方法に関する知識 4時間 ⚪️ ⚪️ ⚪️ ⚪️
フォークリフト運転に必要な力学に関する知識 2時間 ⚪️ ⚪️ ⚪️ ⚪️
関係法令 1時間 ⚪️ ⚪️ ⚪️ ⚪️
実技 フォークリフトの走行の操作 20時間 ⚪️ ⚪️
フォークリフトの荷役の操作 4時間 ⚪️ ⚪️ ⚪️ ⚪️

講習科目の内容について、詳しくは次の章「フォークリフト免許の取得の流れ」にて解説しています。

費用

フォークリフト運転技能講習の受講にかかる費用の目安は、以下のとおりです。

受講コース 必要な費用の目安
11時間コース 受講料:14,000円〜23,000円前後、テキスト代:2,000円前後
15時間コース 受講料:16,000円〜23,000円前後、テキスト代:2,000円前後
31時間コース 受講料:33,000円〜42,000円前後、テキスト代:2,000円前後
35時間コース 受講料:37,000円〜45,000円前後、テキスト代:2,000円前後

上表の記載は、あくまでも目安の金額です。地域・受講する教習機関によっては、上表の金額に当てはまらない場合もあります。

あらかじめ、フォークリフト運転技能講習の受講を検討する教習機関の受講料を確認しておくことが大切です。

助成金(教育訓練給付制度)

フォークリフト運転技能講習の受講にあたっては、「教育訓練給付制度」と呼ばれる助成金を利用できる場合があります。

教育訓練給付制度は、働く人の主体的な能力開発に関する取り組みを支援し、雇用の安定と再就職の促進を図ることを目的とする雇用保険の給付制度です。一定の条件を満たす雇用保険の被保険者(在籍者)もしくは被保険者であった人(離職者)が、厚生労働大臣の指定する教育訓練を修了した際に、受講費用の一部が支給されるものです。

ここでいう「教育訓練」には、「一般教育訓練」「特定一般教育訓練」「専門実践教育訓練」の3種類があります。このうちフォークリフト運転技能講習は、一般教育訓練に含まれます。

フォークリフト運転技能講習を修了した場合、本人自らが支払った教育訓練経費の20%に相当する額が、ハローワークから給付金として支給されます。

参考:厚生労働省「教育訓練給付制度」

フォークリフト運転特別教育

フォークリフト運転特別教育の受講に要する時間は12時間、日数にして2日間程度とされています。

下表に、フォークリフト運転特別教育の大まかな内容をまとめました。

講習科目 所要時間
学科 走行に関する装置の構造及び取扱いの方法に関する知識 2時間
荷役に関する装置の構造、取扱い及び作業方法に関する知識 2時間
運転に必要な力学に関する知識 1時間
関係法令 1時間
実技 走行の操作 4時間
荷役の操作 2時間

フォークリフト運転特別教育の受講にかかる費用の目安は、15,000円〜20,000円程度です。ただし、あくまでも目安の金額であり、地域・受講する教習機関によっては上記の金額に当てはまらない場合もあります。

あらかじめ、フォークリフト運転特別教育の受講を検討する教習機関の受講料を確認しておくことが大切です。

なお、フォークリフト運転特別教育については、教育訓練給付制度の適用はありません(2024年7月現在)。

フォークリフト免許の取得の流れ

フォークリフトの運転を教える男性と習う女性
フォークリフト免許の取得を目指す際は、基本的に以下の流れで進めていきます。

  • 申し込み
  • 講習受講
  • 学科試験
  • 実技講習
  • 実技試験
  • 免許証(修了証)受領

それぞれの手順で行うべきことを順番に解説しますので、手続きを進める際の参考にしてください。

①申し込み

フォークリフト免許の講習は、各教習機関で受けることが可能です(フォークリフト運転特別教育については、社内の教習機関でも受講可能)。

申し込み手続きを進める際は、以下を用意する必要があります。

  • 申し込み用紙
  • 住民票原本
  • 講習料金

直接の来所・電話・FAX・郵送などで、まずは受講申し込みの予約連絡をしましょう。教習機関によっては、申し込みの方法を異なる場合もあるのでご注意ください。

来所や電話予約での申し込みの場合、その時に担当者から受講に関する説明を受けられます。FAXや郵送での申し込みの場合、後日案内が送られてくる仕組みです。

受講日の前日でも予約が空いていれば申し込める場合がありますが、希望日に確実に受講するためにも余裕を持って申し込みましょう。

②学科講習

申し込みが無事に完了したら、次は学科の講習を受講します。フォークリフト運転技能講習の場合、受講コースによって講習時間や日数が多少異なります。

学科講習では、フォークリフトの構造や操作方法、安全運転の基本、労働安全衛生法など、フォークリフトの運転に必要な知識を学びます。講習は専門の講師によって行われ、テキストや映像を用いた授業形式が一般的です。

③学科試験

フォークリフト免許を取得するためには、学科講習の後に学科試験を受験し、合格する必要があります。学科試験は、講習で学んだ知識を確認するための重要なステップです。

学科試験は、フォークリフトの運転に関する基礎知識や安全に関する知識を問う筆記試験です。試験内容は、学科講習で学んだ内容から出題されます。

学科試験の詳しい内容については、次の章「試験内容と対策」にて解説しています。

④実技講習

学科試験に合格した後に、実技講習を受講します。実技講習では、フォークリフトの操作方法や安全運転の実践的な技術を学びます。

実技講習・実技試験で使用するフォークリフトの種類は、カウンターフォークリフトの場合が多いです。カウンターフォークリフトについては、以下記事で種類や操作方法、各部の名称などを解説しています。どういったフォークリフトになのか確認し、フォークリフトの免許取得にお役立てください。

カウンターフォークリフトとは?種類、操作方法、免許を解説

実技講習についても学科講習と同様に、フォークリフト運転技能講習の場合には、受講コースによって講習時間や日数が多少異なります。

実技講習は、実際にフォークリフトを運転しながら操作技術を習得するための講習です。実際の講習では、経験豊富な講師から直接指導を受けます。

なお、実務ではリーチフォークリフトも頻繁に使われます。カウンターフォークリフトは、荷物を前方に運ぶシンプルな作業に適している一方で、リーチフォークリフトは狭い場所や高所での運搬作業に特化しています。リーチフォークリフトについて詳しく知りたい方は、こちらの記事では、リーチフォークリフトの種類や操作方法などを詳しく解説しています。以下の記事をご覧ください。

リーチフォークリフトとは?種類、操作方法、免許を解説

⑤実技試験

フォークリフト免許を取得するための最後のステップは、実技試験の受験です。実技試験に合格するためには、実技講習で学んだ技術を実際の運転操作で示す必要があります。

実技試験は、フォークリフトの基本操作や荷物の取り扱いなど、受験者に運転技能が身についているか確認するために行われます。試験は指定されたコースで実施され、試験官が操作の正確さや安全性をチェックします。

学科試験の内容についても、詳しくは次の章「試験内容と対策」にて解説しています。

⑥免許証(修了証)受領

学科試験、実技試験いずれも合格すると、免許証(修了証)が交付されます。

フォークリフト免許証(修了証)の受領までの流れは以下の通りです。

  • 実技試験の合格通知
  • 必要書類の提出
  • 免許証(修了証)の受領

まず、実技試験に合格すると、試験機関から合格通知が発行されます。この通知は、免許証(修了証)を受け取るために必要な書類の一部となります。

合格通知を受け取った後、免許証(修了証)の交付を受けるために必要な書類を準備し、指定された場所に提出します。必要な書類は主に以下のとおりです。

  • 合格通知
  • 身分証明書
  • 証明写真
  • 手数料

必要書類を提出し、手続きが完了すると、フォークリフト免許証(修了証)が交付されます。免許証(修了証)の受領方法は、郵送または指定された場所での直接受け取りとなります。

免許証(修了証)はフォークリフト利用が必要な時に携帯し、適切に保管しましょう。紛失や破損に注意し、必要な時にすぐに提示できるようにしておきます。

試験内容と対策

本章では、フォークリフト運転技能講習の試験内容と対策について取り上げます。

学科試験

学科試験はマークシート式になります。4つの選択肢の中から正しいものをマークします。試験時間は1時間です。

午前と午後に講習を受け、夕方に学科試験があります。出題される内容は完全に講習で受けた内容のとおりです。気になる難易度についてですが、午前・午後の講習をしっかりと聞いていれば誰でも受かる内容です。

教官より、重要なポイントが解説されます。これを絶対に聞き逃さないようにしましょう。試験直前に復習できるように重要なポイントを蛍光マーカーでマーキングしてください。

もし学科試験に不合格となった場合は、当日もしくは後日の再試験となります(教習機関によっては有料)。

実技試験

フォークリフトの学科試験の4択マークシート実技試験は、試験官と受験者1人という1対1の体制で行われます。なお、実技講習は、複数人のチームに対して1人の教官が付く形で実施されるのが一般的です。

実技試験の大まかな流れを紹介すると、以下のとおりです。

  • 所定の位置から前進
  • 左折(右折)
  • 荷物の前で停止
  • 荷物を持ち上げる
  • 荷物を持ったまま後退
  • 後退したまま右折(左折)
  • 停止、再び前進
  • スラローム走行
  • 右折(左折)
  • 所定の位置で停止、荷物を置く
  • 後退、後退したまま右折(左折)
  • 最初の位置で停止

特に前進や後退、スラローム、荷役操作などは初心者が戸惑いやすいので、注意して重点的に練習しましょう。

また、フォークリフトに乗車する前の指差し確認やサイドブレーキを解除するタイミングなど、具体的な手順を覚えるのに苦労する人もいます。試験時も焦らずに一つひとつ確認しながら、落ち着いて操作することが大切です。

実技試験は、学科試験よりも不合格となる可能性が高い傾向が見られます。特に以下のような操作をしてしまうと、不合格に近づいてしまうので、ご注意ください。

  • 障害物との接触
  • コースラインからの大幅な離脱
  • 荷物を挙げた状態でのティルト操作(ツメの角度の操作)

もしも実技試験に不合格となった場合は、当日もしくは後日の再試験となります(教習機関によっては有料)。

まとめ

この記事では、フォークリフト免許の取得方法、必要な日数や費用、試験内容とその対策について詳しく解説しました。フォークリフト免許の取得は、倉庫や工場、建設現場などで安全に作業を行うために必要不可欠です。

フォークリフト免許の取得は、作業の安全性だけでなく、効率性の向上にも直結します。この記事を参考に、しっかりと準備を進め、スムーズに免許取得を目指しましょう。免許の取得後は安全運転を心がけて、フォークリフトの操作に自信を持って業務に取り組んでください。

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