掘削機とは?大型から小型までの種類と用途を解説
建設や土木の現場で、地面を掘り下げたり整地・積み込みを行ったりする際に欠かせないのが、掘削機です。人力では膨大な時間と労力を要する作業を機械化し、作業効率と安全性を高めるため、幅広い現場で使用されています。
掘削機には、造成・ダム工事で使用される大型機から、住宅地・上下水道工事などで活躍する小型機まで、さまざまな種類があります。さらに、トンネル掘削など特殊な現場に対応する専用機もあり、用途や作業環境に応じて最適な機種が選ばれます。
本記事は、基本構造、機種別の特徴、活用場面、操作に関する資格までを体系的に整理します。これから掘削機の基礎を学びたい方や、現場での導入を検討している方はぜひお役立てください。
目次
掘削機とは?

掘削機とは、地盤を掘り下げたり、整地・積み込みなどの掘削作業を行ったりするために設計された重機の総称です。その中でも油圧でアームやバケットを駆動する「油圧ショベル」は代表的な存在で、ほとんどの掘削工事で主力機として活用されています。
また、地表の土砂を押しならすブルドーザーは、本来は「整地・押土・法面整形」を主目的とする重機です。表層の掘り起こしや地均しを伴う軽度の掘削作業にも用いられるため、文脈によっては広義の「掘削機」に含めて扱われることもありますが、厳密には「整地・運搬・積込み用」とされる場合が一般的です。本記事では、掘削を主目的とする油圧ショベルなどの専用機を中心に解説します。
なお、「掘削」は作業名、「掘削機」はその作業を行う機械を意味します。この違いを理解しておくと、現場ごとに適した機械を選定する際に役立ちます。
掘削の工程や工法の違いについて詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
掘削機の構成
掘削機の構造は種類によって多少異なりますが、一般的な油圧ショベルなど多くの建設現場で使われる機種は、大きく次の3つの部分から成り立っています。
- 旋回体:エンジンや運転席、作業装置が取り付けられた上部の構造で、左右に旋回して作業位置を調整する
- 下部走行体:移動を支える部分で、クローラー(キャタピラー)やタイヤが装着されている
- 作業装置:ブーム・アーム・バケットからなる掘削用の装置で、実際に土砂を掘ったり運んだりする役割を担う
掘削機を支えるクローラーの構造やキャタピラーとの違いについて、詳しく知りたい方は以下の記事も参考にしてください。
重機のクローラーとは?移動を支える構造やキャタピラーとの違い
一方、トンネル工事に使われるシールドマシンのような特殊な掘削機は、用途に合わせた専用設計となっており、構造や動力伝達の仕組みも大きく異なります。
このように、一言に掘削機といっても、その構造は用途や現場条件によって多様です。それぞれの仕組みを理解しておくことが、作業内容に応じた機械選定の判断に役立ちます。
掘削機の種類|大型・小型・特殊掘削機
本記事では実務での使い分けを明確にするため、①機体質量・アタッチ可搬力、②作業半径・到達深さ、③構造(汎用機か専用機か)の3軸で整理し、実務慣行に沿って「大型(高出力・長時間連続作業向けの汎用機)」「小型(狭所・都市部向けの汎用機)」「特殊(トンネルや鉱山など用途特化の専用機)」に大別します。
大型機は高出力で一度に大量の土砂を処理でき、大規模な造成工事などで活躍します。小型機は狭い場所でも取り回しがしやすく、都市部や住宅地での施工に向いています。特殊タイプは、トンネルや軟弱地盤といった特殊な条件下で高い掘削性能を発揮する機種です。
なお、一部の大型掘削機も特殊環境で利用されることがありますが、構造や機能が通常機と大きく異なるものについては「特殊掘削機」に分類されるのが一般的です。
大型掘削機の特徴と用途
大型掘削機は、強力なパワーと高い作業効率を兼ね備えた重機で、大量の土砂や岩盤を短時間で処理できる点が大きな特徴です。ダム建設や造成工事、鉱山開発といった大規模な現場で活躍し、硬い地盤の掘削や深掘りといった負荷の大きい作業にも対応できます。
自重と長尺アタッチメントに対応する油圧系統により、重負荷・深掘りなどの連続作業で高い処理能力を発揮します。中でも代表的なのが「油圧ショベル」で、油圧によってアームとバケットを自在に動かし、掘削・積み込み・整地など幅広い作業に対応可能です。
以下では、大型掘削機の代表的なタイプと、走行方式による違いを解説します。
油圧ショベル

油圧ショベルは、数ある掘削機の中でも最も汎用性が高く、建設・土木現場の主力として広く利用されています。油圧シリンダーを使ってアームとバケットを動かし、土砂を効率よく掘り起こすのが基本的な仕組みです。
標準タイプは、掘削・整地・積み込みといった基本作業はもちろん、バケットを別のアタッチメントに付け替えることで整形や破砕などにも対応可能です。1台で複数の工程をこなせるため、現場の生産性向上に大きく貢献します。
特に、造成工事や基礎工事といった大規模な現場では欠かせない存在となっています。
掘削機の中心的な存在である油圧ショベルの仕組みや種類をより詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
ロングリーチショベル

ロングリーチショベルは、油圧ショベルをベースにブームとアームを長く設計したモデルです。通常のショベルでは届かない範囲の作業に特化しています。
ロングブームは作業半径が大きくなるため、先端荷重×水平距離による前方転倒モーメントが増え、さらに上部構造の重心が高くなりやすい設計です。要するに、腕を長くしたぶん、機体の安定を確保することがより重要になります。そのため、アウトリガー・カウンタウェイト・作業姿勢の管理など、安定確保には一段と慎重な配慮が必要です。
走行方式の違い(クローラー式・ホイール式)
大型掘削機には、作業現場の環境や用途に合わせて「クローラー式」と「ホイール式」の2種類の走行方式があり、それぞれに明確な特性があります。
| 走行方式 | 特徴 |
|---|---|
| クローラー式油圧ショベル | クローラーを用いて走行するタイプで、ぬかるんだ地面や起伏のある地形でも高い安定性を保てるのが特徴です。
スピードは遅いものの、不整地や軟弱地盤での作業に強く、造成工事や災害復旧といった重作業に適しています。重機自体の重量を活かした強力な掘削力も大きな魅力です。 |
| ホイール式油圧ショベル | 舗装路や都市部での施工に向くタイヤ走行タイプです。移動速度が速く、作業場所の移動も容易なため、道路工事や構内作業でよく利用されます。舗装面を傷つけにくい点も利点のひとつです。
ただし、ホイール式は接地面が点接地に近く接地圧が高くなりやすいため、軟弱地盤ではタイヤが沈下して横転リスクが増します。作業時はアウトリガーで荷重を分散し、車体姿勢を確実に固定する必要があります。 |
小型掘削機(ミニショベル)の特徴と用途
小型掘削機(ミニショベル/ミニバックホウ/ユンボ)は、住宅地や建物の隙間など、広い作業スペースを確保できない現場で力を発揮する重機です。軽量かつコンパクトなため、トラックで簡単に現場間を移動でき、取り回しの良さが大きな特徴です。
一般的には、実務上「小型掘削機」や「ミニショベル」と呼ばれるものは、機体質量がおおむね6t未満の汎用小型機を指します。一方で、法令上の資格区分では、労働安全衛生規則に基づき「機体質量3t未満」が小型車両系建設機械の特別教育区分、「機体質量3t以上」が車両系建設機械運転技能講習の対象と整理されています。
したがって、3t以上6t未満のミニショベルなどは呼称としては「小型機」に含まれていても、資格上は技能講習区分である点に注意が必要です。
6t未満というのは実務上の呼称上の目安であり、実際の資格要件は3tを境に異なります。この違いを理解しておくと、資格確認や機械選定時の判断を誤りにくくなります。
ミニショベル

ミニショベルは、外構工事・配管工事・造園作業など、比較的軽作業の現場で最も多く使われる基本タイプです。コンパクトながら油圧性能に優れており、細かい掘削や段差の整形、精密な整地といった繊細な作業にも対応できます。
旋回範囲が小さいため、建物のすぐそばや塀際など狭い空間でも安全に操作できる点が大きな強みです。また、バケットを他のアタッチメントに付け替えることで、草刈り・除雪・杭打ちなど幅広い用途に活用できます。
走行方式には、不整地に強いクローラー式と舗装路での移動に便利なホイール式があり、現場の環境に合わせて選ぶことで作業効率をさらに高められます。
超小旋回型ミニショベル
超小旋回型ミニショベルは、車体後部のはみ出しがほとんどない設計が特徴で、狭い場所でも安全かつ効率的に作業できる重機です。壁や塀のすぐ近くでも旋回時に障害物へ接触するリスクが低く、住宅密集地や都市部の工事現場で特に重宝されています。
ただし、旋回半径を小さくする構造上、標準タイプに比べると掘削力や車体の安定性はやや劣ります。そのため、施工環境や作業内容に合わせて、標準機との使い分けが重要です。
電動ミニショベル
電動ミニショベルは近年、世界的に拡大傾向にあり、エンジンの代わりにバッテリーを動力源とすることで、排気ガスを出さず静音性にも優れた重機です。屋内作業やトンネル・地下工事、住宅地での夜間施工など、環境への配慮が求められる現場で特に活躍しています。
ただし、現行のバッテリーは体積・質量あたりのエネルギー密度がディーゼル燃料より低く、油圧ポンプを連続駆動する出力要求に対し可用エネルギーが相対的に小さいため、1回の充電あたりの稼働時間が短くなりがちです。長時間作業では予備バッテリーや外部給電の確保が前提になります。
特殊掘削機の特徴と用途
通常の掘削機では対応が難しい以下のような条件下では、専用の構造を持つ特殊掘削機が用いられます。代表的な例として、「連続大量採取(BWE)」「長距離離隔掘削(ドラグライン)」「非開削・高水圧地盤(シールド)」などが挙げられます。
これらの機械は、①要求土量、②到達距離・深さ、③地盤や地下水条件のいずれかが汎用機の設計限界を超えるケースを想定し、用途に応じて機能や構造が最適化されています。その結果、特定分野で高い効率と安定した施工を可能にします。
ドラグライン

ドラグラインは、長いブームの先端に吊るした大型バケットをワイヤーで操作し、離れた位置からでも土砂を掘り取れるよう設計された重機です。広範囲の土砂を一度に処理できるため、ダム建設や鉱山開発、河川の浚渫といった大規模工事で多く利用されています。
車体やブームが非常に大きいため、設置や移動には手間がかかりますが、1回の作業で大量の土砂を処理できるため、生産性の高さが大きな強みです。
バケットホイールエクスカベーター

バケットホイールエクスカベーターは、円形に配置された多数のバケットを回転させることで、途切れることなく掘削を続けられる大型重機です。主に海外の採石場や鉱山など、広大な現場での土砂採取や搬出に適しており、一定のペースで大量の土砂を処理できます。
世界的にも最大級の規模を誇る掘削機として知られ、特に大規模な工事で高い効率を発揮します。
シールドマシン(シールド掘進機)

シールドマシン(シールド掘進機)は、地中を筒状に掘り進みながらトンネルを形成するために設計された専用の掘削機です。機体の先端にあるカッターヘッドで地盤を削り取り、同時に後方ではセグメントと呼ばれる部材を組み立て、掘削と覆工を一体的に進めます。
地上を大きく掘り返すことなく施工できる「非開削工法」を代表する機械で、地下鉄や上下水道、共同溝といった都市インフラ整備に広く活用されています。さらに、軟弱地盤や高水圧のような厳しい条件でも安定して掘削できるよう、土圧式や泥水式など複数の方式が用いられています。
以上を踏まえ、次章では代表的な現場シーン別に「どのタイプを、なぜ選ぶか」を整理します。
掘削機の主な用途
掘削機は、バケットや各種アタッチメントを交換することで、さまざまな作業に対応できる多機能な重機です。地面を掘り下げるだけでなく、整地や土砂の積み込み、構造物の破砕、さらには除雪作業まで幅広く利用されています。
作業内容ごとの用途を把握しておくことで、現場条件に合った最適なタイプの掘削機を選定しやすくなります。ここからは、掘削機の主な用途を紹介します。
土木工事・造成作業
土木・造成の現場は、掘削機が最も多く活躍する代表的な分野です。宅地造成や道路の路盤整備、河川の改修、法面(のりめん)の整形、地盤改良など、幅広い工程で使用されます。
大型掘削機を導入すれば、大量の土砂を短時間で処理できるため、工期の短縮と作業効率の向上が期待できます。特に道路や橋梁の建設現場では、油圧ショベルとダンプトラックを組み合わせ、掘削から積み込み、運搬までをスムーズに連携させるのが一般的です。
さらに、近年はICT施工の導入が進んでおり、3Dデータに基づいた自動掘削や出来形管理によって施工精度の向上と人手不足の解消にも役立っています。
ICT施工の概要および、それを活用した掘削作業のメリットについて詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
ICT施工とは?流れや導入のポイント、問題点をわかりやすく解説
ICT施工のメリット・デメリットとは?課題も解説
解体作業
解体作業においても、掘削機は中心的な役割を果たします。アタッチメントを油圧ブレーカーやコンクリートクラッシャー、鉄骨カッターなどに付け替えることで、頑丈な構造物も効率よく粉砕・切断することが可能です。人力による解体よりも、作業時間の短縮と安全性の向上を同時に実現できるのが大きな利点です。
特に高所の解体作業ではロングブーム仕様や解体専用機が活用され、建物を上部から計画的に撤去していきます。また、都市部の現場では騒音・振動・粉じん対策が重要になるため、低騒音・低振動モデルや電動式の掘削機が導入されるケースも増えています。
本記事は掘削機全体像の理解を目的としているため、解体専用機の仕様比較や安全対策の詳細は割愛しています。解体重機の仕様や安全対策を深掘りする場合は、以下の記事をご参照ください。
造園・配管工事
造園や配管工事の現場では、ミニショベルをはじめとする小型掘削機が欠かせません。住宅の外構整備や庭園造成、上下水道・ガス・電気といったインフラの埋設工事など、都市部を中心に幅広い用途で活用されています。コンパクトな車体と微操作性により、狭所や既設物近傍の作業に適します。
都市部の施工では、夜間や狭隘地での作業が多く、静音性や低振動性能が重視されます。近年ではチルト機能付きのバケットやマルチアタッチメントを備えた機種も増えており、掘削・整地・簡易運搬まで1台で対応可能です。
さらに、造園分野では植栽用の穴掘りや根鉢の掘り出しといった繊細な操作が求められるため、操作性と精度の高さが重要視されます。
このように、掘削機は幅広い用途で活躍しますが、実際に操作するためには法律で定められた免許・資格が必要です。
掘削機の操作に必要な免許・資格

実際に現場で掘削機を操作するには、労働安全衛生法に基づく技能講習(あるいは特別教育)の修了が義務付けられています。未修了での操作は法令違反となり、事業者・作業者ともに処罰の対象となる可能性があります。
また、技能講習・特別教育はあくまでも現場内での操作を想定したもので、掘削機を運転し公道を走行する場合は別途運転免許が必要です。
以上の点を踏まえて、使用する掘削機の種類や重量、作業内容に応じて、事前に適切な資格を取得しておくことが欠かせません。
本章では、掘削機の操作に必要な免許・資格について順番に詳しく解説します。
資格区分の全体像
掘削機による作業で取得が求められる資格は、主に以下の3種類に分かれます。
| 資格名 | 対象区分・機体質量 | 受講期間の目安(※) |
|---|---|---|
| 車両系建設機械(整地・運搬・積込み用及び掘削用)運転技能講習 | 機体質量3t以上 | 約2〜6日間 |
| 車両系建設機械(解体用)運転技能講習 | 機体質量3t以上(解体作業専用アタッチメント装着時) | 約2〜6日間 |
| 小型車両系建設機械(整地・運搬・積込み用及び掘削用)特別教育 | 機体質量3t未満(ミニショベルなど小型機) | 約2日間 |
※:受講日数は、保有免許(大型特殊・他区分の技能講習修了)、実務経験、学科・実技の一部免除の有無によって変動します。未経験者は最長枠、関連資格保有者は短縮枠となるのが一般的です。
資格取得前に、自分が操作する機種に必要な講習区分を確認しましょう。ここからは、それぞれの資格区分について詳しく解説します。
車両系建設機械(整地・運搬・積込み用及び掘削用)運転技能講習
車両系建設機械(整地・運搬・積込み用及び掘削用)運転技能講習は、油圧ショベルやブルドーザーといった主要な掘削機を安全に操作するための基本的な講習です。受講資格は18歳以上の方で、学科と実技を組み合わせたカリキュラムが約2〜6日間かけて実施されます。修了すれば全国の建設現場で該当する機械を正式に操作でき、有効期限の更新も不要です。
この技能講習の主なポイントは以下の通りです。
- 学科・実技の修了試験に合格すると資格が付与される
- 土木・造成・建築など幅広い現場で必須とされる基本資格である
- 解体作業で専用のアタッチメントを使用する場合は、別途「車両系建設機械(解体用)運転技能講習」の受講・修了が必要となる
車両系建設機械運転技能講習について、以下の記事で詳しく解説しています。興味がある方や取得を検討されている方は、併せてご覧ください。
車両系建設機械運転技能講習とは?種類・対象機械・講習内容を解説
車両系建設機械(解体用)運転技能講習
車両系建設機械(解体用)運転技能講習は、コンクリートクラッシャーや鉄骨カッターといった解体専用アタッチメントを装着した重機を安全に操作するための講習です。
「整地・運搬・積込み用及び掘削用」とは資格区分が異なり、対象となる機械を扱うにはこの技能講習を修了していることが必須条件となります。
受講資格は18歳以上で、講習期間はおおよそ2〜6日間です。
この講習の主なポイントは以下の通りです。
- 解体現場での安全確保に直結する区分で、該当作業では修了が必須
小型車両系建設機械(整地・運搬・積込み用及び掘削用)特別教育
小型車両系建設機械(整地・運搬・積込み用及び掘削用)特別教育は、機体質量3t未満のミニショベルなどを操作するために必要な資格です。学科と実技を組み合わせたカリキュラムが約2日間で完了し、比較的短期間・低コストで取得できるのが特徴です。住宅地や配管工事など、限られたスペースでの作業に幅広く活用されています。
この特別教育の主なポイントは以下の通りです。
- 修了証を取得すれば、対象機械の運転が可能
- 他の車両系建設機械とは資格区分が異なるため、適用範囲の確認が必要
労働安全衛生規則では、3t未満の建設機械についてはこの特別教育の修了が義務付けられています。
小型車両系建設機械(整地・運搬・積込み用及び掘削用)特別教育については以下の記事で詳細に解説していますので、興味がある方や取得を検討されている方は併せてご覧ください。
小型車両系建設機械の特別教育とは?内容・乗れるもの・合格率を解説
大型特殊自動車免許(公道走行用)
掘削機を現場から現場へ自走で移動させる場合、公道を走行するために大型特殊自動車免許の取得が必要です。
例えば、油圧ショベルやホイール式掘削機などを道路上で移動させるケースが該当します。構内限定であれば運転免許は不要ですが、公道を一時的に横断する場合でも道路交通法上の大型特殊免許や、「道路管理者への通行許可(車両制限令・占用許可等)」が必要となるケースがあります。事前に所轄警察・道路管理者へ確認してください。
補足:安全衛生教育・再教育
掘削機の操作経験が浅い人や長期間機械に触れていないオペレーターについては、現場に入る前に安全衛生教育を受けることが望まれます。さらに、メーカーや職業訓練校などでは、最新モデルの操作方法やICT施工に対応した実践研修も実施されています。
再教育は、機種更新や法令改定などに対応するため、各企業や団体が自主的に実施するケースが多い取り組みです。最新の安全対策やICT施工の手法を学ぶことで、事故防止と生産性向上につながります。
代表的な掘削機メーカーと主なモデル

機種選定は「どのメーカーの、どの技術が現場要件に適合するか」で最適解が変わります。以下では、主要な掘削機メーカーの技術的特徴を概観し、選定時の比較観点を整理します。
各メーカーは油圧制御(例:CLSS、TRIAS)や運行管理(例:VisionLink)など得意領域が異なります。現場条件(作業量・連続稼働・ICT対応・保守網)に合う技術を比較検討してください。
コマツ(KOMATSU)
日本の重機市場でトップシェアを誇る大手メーカーです。高い耐久性と安定した操作感が評価され、国内だけでなく世界各国の現場でも幅広く利用されています。
独自技術である油圧制御システム「CLSS(Closed-center Load Sensing System)」によって、燃費効率の良さとスムーズな操作性を実現しているのが大きな特徴です。さらに、ICT施工に対応した「スマートコンストラクション®」において、自動化技術やデジタル施工にも積極的に取り組んでいます。
参考:株式会社小松製作所|企業サイト
コマツカスタマーサポート「スマートコンストラクション®」
日立建機(HITACHI)
省エネ性能と高い操作性を両立したモデルを多く展開する掘削機メーカーです。油圧ショベル向けの省エネ油圧システム「TRIAS(トライアス)」により、作業状況に応じてエンジン回転数と油圧ポンプを最適制御し、正確な動作と低燃費運転を実現しています。
運転席の快適性や視認性、安全面への配慮も充実しており、市街地や住宅地といった制約の多い環境にも適応しています。近年は電動ショベルやICT対応機の開発にも力を入れ、遠隔監視システム「ConSite(コンサイト)」による稼働管理や予防保全など、環境負荷の軽減と運用効率の向上に貢献しているのが特徴です。
参考:日立建機株式会社|企業サイト
日立建機株式会社「油圧ショベルの省エネ油圧システム「TRIAS」が特許庁長官賞を受賞」
キャタピラー(CAT)
世界的に知られる重機メーカーで、大型掘削機や鉱山用重機の分野で大きなシェアを持っています。日本法人として「キャタピラージャパン」を置いています。そのほか、キャタピラーの重機を扱うディーラーとして「日本キャタピラー」が存在します。
高出力のエンジンと高精度な油圧制御技術を組み合わせることで、長時間の稼働や重負荷の作業にも安定して対応できる設計が強みです。また、遠隔監視システム「VisionLink」により、クラウドを介して機械管理、施工管理、生産管理、安全管理を可視化し、効率的な運用を支援しています。
参考:キャタピラージャパン合同会社|企業サイト
ビジョンリンク|日本キャタピラー【公式】
ヤンマー建機(YANMAR)
ミニショベルをはじめとする小型掘削機で国内外から高い評価を得ているメーカーです。コンパクトながら高出力なエンジンを搭載し、静音性と燃費性能に優れているため、住宅地や狭い現場などでも活躍します。
独自の「ゼロテールスイング」技術により、機体後部が旋回半径内に収まる設計を実現し、壁際や狭隘地での作業性を大きく向上させています。また、油圧システムの最適化によって微細な操作性と力強い掘削力を両立させ、繊細な作業から重負荷作業まで幅広く対応できるのが特徴です。
特にミニショベルや超小旋回型ミニショベルでは世界的なシェアを誇り、欧州や北米市場でも広く採用されています。
このように、コマツや日立建機、キャタピラーが中型から大型掘削機の分野で強い存在感を示している一方、ヤンマー建機は小型掘削機の分野で国内外から高い評価を受け確固たる地位を築いています。現場の条件や作業内容によって、メーカーごとの得意分野を把握した上で最適な機種を選ぶことが、作業効率向上の大きなカギとなります。
まとめ
掘削機は、あらゆる建設工事で欠かせない重機です。大規模な造成工事では、パワーと作業効率に優れた大型掘削機が活躍します。一方、住宅地や外構工事などの狭い現場では、小回りの利く小型掘削機が効果的です。
掘削機の操作には資格が必要ですが、技能講習や特別教育を受講し、現場での訓練や安全管理体制を整えることで、安全に運用しやすくなります。現場の規模や作業内容に合った掘削機を適切に選定することで、効率的かつ安全な施工が実現します。
最後に、①現場規模・地盤・到達範囲に基づく機種選定、②必要資格(3t未満は特別教育、3t以上は技能講習)、③ICT施工の導入可能性(出来形管理・遠隔監視)をチェックリスト化し、導入計画に落とし込むと失敗が減ります。
