重機・建機の種類 2024.08.14

カウンターフォークリフトとは?種類、操作方法、免許を解説

フォークリフトは、「カウンターフォークリフト」と「リーチフォークリフト」の2種類があります。カウンターフォークリフトは、着座式でハンドルを操作して作業するタイプのフォークリフトのことです。

今回は、カウンターフォークリフトについて、種類や操作方法、運転に必要な免許を中心に詳しく解説します。本記事を読めば、カウンターフォークリフトに関する基本的な知識を習得し、安全で効率的な運用につなげられます。

カウンターフォークリフトの基本から専門的な知識まで、わかりやすく説明していきますので、初心者の方でも安心して読み進めてください。

カウンターフォークリフトとは?

カウンターフォークリフトの全貌

カウンターフォークリフトとは、着座式でハンドルを操作して作業するタイプのフォークリフトです。「カウンター式フォークリフト」とも呼ばれています。また、JIS規格には、以下の用語・定義で掲載されています。

  • カウンターバランスフォークリフト:フォーク及びこれを上下させるマストを車体前方に備え、車体後方にカウンタウエイトを設けたフォークリフト

ここでいう「カウンター」は「反対」を意味する言葉で、後部にある鉄の重り(ウェイト)が車体のバランスを取る役割を果たしています。これにより、前方のツメに重い荷物を載せても車体が前に傾かず、安定した状態で荷物を運ぶことが可能です。

リーチフォークリフトは、運転者が立ったまま操作するタイプのフォークリフトです。スリムなデザインと90度回転するタイヤが特徴で、狭い場所でもスムーズに動けます。

これに対して、カウンターフォークリフトは、安定感があり、屋内外を問わず様々な場面で活躍します。

しかし、カウンターフォークリフトはリーチフォークリフトに比べて車体が大きいため、狭い場所での操作が難しいことがあります。それでも、車体の安定性と強度が高く、走行速度やフォークの上昇速度が速いため、安全で効率的に作業を行える点が魅力です。

リーチフォークリフトについては、以下の記事で解説しています。カウンターフォークリフトと併せて知っておくことで、利用選択の幅が広がりますので、ぜひご一読ください。

リーチフォークリフトとは?種類、操作方法、免許を解説

参考:一般社団法人「日本産業車両協会 フォークリフトの種類」

カウンターフォークリフト各部の名称

カウンターフォークリフト各部の名称を紹介

下表に、カウンターフォークリフト各部の名称とそれぞれの役割・特徴をまとめました。

各部の名称 役割や特徴
マスト フォークリフトのフォークを上下させるために必要なレールとしての役割を持つ。
ヘッドガード 万が一の落下物から運転者への危害を防ぐ役割を持つ。
リフトチェーン フォークを上下させるために欠かせないチェーン。
リフトシリンダ
(マストシリンダー)
フォークを上下するために欠かせない油圧シリンダ。
チルトシリンダ フォークを調整する際、マスト全体を傾けるために欠かせない油圧シリンダ。
カウンターウェイト
(バランスウェイト)
車体後部にあり、積載物とのバランスを取る役割を持つ。
バックレスト フォークで持ち上げた荷物がマストの後方に落下することを防ぐ役割を果たす。
フォークレール
(フィンガーバー)
フォークを取り付けるためのレールで、スライドさせることでフォークの間隔を調整する。
フォーク 荷物を持ち上げるために使用するもので、一般的にツメとも呼ばれている。
駆動輪(前輪) 操向輪からの動力を伝える役割を持つ。
操向輪(後輪) フォークリフトのかじ取りを行う役割を持つ。

本項の冒頭に示した画像を参照しつつ、カウンターフォークリフト各部の場所を把握しておきましょう。

カウンターフォークリフトの種類

カウンターフォークリフトの種類は、「構造・機能」「動力」「タイヤの数(3輪・4輪)」によって、さらに細分化されます。

本章では、カウンターフォークリフトの種類ごとの特徴を詳しく取り上げます。

構造・機能別

構造・機能で分けると、カウンターフォークリフトには主に以下の種類が存在します。

  • ラフテレーンフォークリフト
  • カウンタバランスコンテナハンドラー
  • アーティキュレート式カウンタバランスフォークリフト

それぞれの種類の特徴を順番に解説します。

ラフテレーンフォークリフト

ラフテレーンフォークリフト

ラフテレーンフォークリフトとは、カウンターフォークリフトのうち、不整地で使用されるよう設計されたフォークリフトを指します。

頑丈なフレームとシャーシを持ち、過酷な作業環境に耐える作りになっているのが特徴です。また、大型のエアタイヤやソリッドタイヤなどを装備しており、優れたグリップ力とクッション性を実現しています。

これにより、泥や砂利、凹凸のある地面でもスムーズな走行が可能です。

​​カウンタバランスコンテナハンドラー

​​カウンタバランスコンテナハンドラー

カウンタバランスコンテナハンドラーとは、スプレッダ(コンテナの荷役に用いられる専用の吊具装置)を備え、コンテナの積付けに使用されるカウンターフォークリフトのことです。

カウンターフォークリフトの中でも、重いコンテナを効率よく持ち上げるために設計されているのが特徴です。コンテナの取り扱いに特化しており、港湾やコンテナターミナルなどで使用されることが多いです。

数トンから数十トン級の大型コンテナを扱うことが想定されているため、非常に高いリフト能力を備えており、大きなサイズのものが多いです。コンテナを効率的に持ち上げ、積み重ねるための特殊なアタッチメントや機能を備えているものも多く見られます。

アーティキュレート式カウンタバランスフォークリフト

アーティキュレート式カウンタバランスフォークリフトとは、カウンタバランスフォークリフトのうち、前輪・荷・マストが車両後部に対して約90度回転できるものを指します。その特徴から、狭い通路でも運用がしやすくなっています。

動力別

カウンターフォークリフトに使用される動力には、以下の種類が存在します。

  • エンジン
  • バッテリー
  • 燃料電池

それぞれの動力別に特徴を解説します。

エンジン

内燃機関を動力源とするカウンターフォークリフトのことです。バッテリーや燃料電池などと比べて高出力なのが特徴で、力強い作業を可能としています。

エンジン式のカウンターフォークリフトは、ガソリン・液化石油ガス(LPG)・LPG/ガソリン併用型・ディーゼル・圧縮天然ガス(CNG)などに細分化されます。

また、運用コストの大部分を燃料代が占めるほか、定期的なオイル交換やメンテナンスも求められるのも特徴です。

バッテリー

搭載した蓄電池(バッテリー)によって駆動される電動機を動力源とするカウンターフォークリフトのことです。電気を動力源とするため、燃料コストがガソリンやディーゼルなどに比べて低いのが特徴です。

また、排気ガスを出さないため、環境に優しく、室内での使用にも適しています。

なお、充電にかかる電気代が主な運用コストですが、そのほかにバッテリーの寿命や交換コストも考慮する必要があります。

燃料電池

搭載した燃料電池によって駆動される電動機を動力源とするカウンターフォークリフトのことです。水素と酸素を化学反応させて電力を生成し、その過程で排出されるのは水だけなので、排気ガスがゼロで環境に優しい運用が可能です。

燃料電池はエネルギー変換効率が高く、同じ量の燃料でより多くのエネルギーを発生させられます。結果として、運用コストを削減しながら、高効率な作業が実現します。

ただし、燃料補給ステーションの設置コストも含めて、初期コストが比較的高い点には要注意です。

3輪と4輪

構造・機能で分けると、カウンターフォークリフトには3輪のものと4輪のものがあります。

基本的に3輪のカウンターフォークリフトは、前輪が2輪、後輪が1輪で設計されています。後輪が旋回軸となり、小回りが利くので、狭い通路や限られたスペースでもスムーズに動くことが可能です。具体例としては、ガーデンセンターやホームセンター、高めの棚がある倉庫などでの使用が適しています。

ただし、4輪と比べて最大荷重が比較的小さい点はデメリットです。最大荷重に近づくと、フォークリフトが不安定になり横転の危険性が高まるため注意しましょう。

一方、4輪のカウンターフォークリフトは、前輪2輪と後輪2輪で構成されており、安定性が非常に高いのが特徴です。起伏の多い場所や砂利の上でも、バランスを崩すことなく安全に操作できます。また、最大荷が比較的大きい点も魅力です。

ただし、4輪タイプの場合は旋回半径が限られており、小回りが利きにくいです。また、3輪タイプよりも高価な場合が多く、導入のしにくさもデメリットの一つです。

カウンターフォークリフトを含めたフォークリフトの種類について詳しく知りたい場合は、以下の記事で詳しく解説していますので、併せてご覧いただくことをおすすめします。

フォークリフトの種類とは?構造・機能、動力、タイヤ別に解説[選び方あり]

カウンターフォークリフトの操作方法

カウンターフォークリフトの操作風景

本章では、カウンターフォークリフトの基本的な操作方法について説明します。

作業を始める前に、まずフォークリフトの点検を行います。フォークリフトの周囲を一周して、オイルや水が漏れていないか、タイヤや作業装置に異常がないか、周囲に障害物がないかをチェックしましょう。

点検後、運転席の左側から乗り込みます。左手でアシストグリップを、右手でシートの背もたれを持ち、左足をステップに掛けて運転席に座ります。この順序で乗れば、身体を接触させずにスムーズかつ安全に乗り込めます。乗車時にレバー・ハンドルを持ったり、飛び乗ったりすることは非常に危険なのでやめましょう。

運転席に座り、シートベルトを締めましょう。エンジンをかけたら、リフトレバーを引いてフォークを床から5cmほど持ち上げます。次に、チルトレバーを引いてマストを後ろに傾けます。

ハンドル操作は左手で行い、右手は右足の上に軽く置きます。前進時は前進レバーを、後退時は後退レバーを使い、サイドブレーキを解除しましょう。進行方向と周囲の安全を確認してから、右足でアクセルを踏んで発進します。停止時はアクセルを離し、ブレーキペダルを踏みましょう。

駐車時は、ブレーキを踏みながら駐車ブレーキをかけ、その後は前進・後退レバーをニュートラルに戻します。フォークを床面すれすれまで下ろし、下面の2/3が設置するように前傾させましょう。フォークを完全に床面に下ろしたら、エンジンを止めてキーを抜きます。

※特別な仕様のフォークリフトも存在するため、実際の操作が異なる場合があります。使用するフォークリフトの操作方法を事前に十分に確認してください。

注意点

カウンターフォークリフトを操作する際の主な注意点を4つに分けて解説します。

乗用車のように曲がらない

カウンターフォークリフトは後輪で方向を変えるため、乗用車とは異なる操作感覚が必要です。乗用車と同じ感覚でハンドルを切ると、周囲の物に接触する危険があります。

前輪が曲がりたい位置に達したときにハンドルを切ることで、スムーズに曲がれます。慣れるまでは速度を落として慎重に操作し、後輪操舵の感覚を掴むようにしましょう。

同時操作を避ける

作業効率を上げようと複数の動作を同時に行うと、事故のリスクが高まります。各動作には安全確認が必要で、同時に行うと確認が不十分になりやすいです。作業効率も重要ですが、安全を優先して一つずつ確実に操作しましょう。

荷物を運ぶときはバック走行する

カウンターフォークリフトは後輪で方向を変えるため、荷物を運ぶ際にはバックで走行するのが基本です。後方をよく確認しながら、安全に低速で移動しましょう。

急な操作を避ける

カウンターフォークリフトの運転では、スピードよりも正確さや安全性が求められます。急発進、急ブレーキ、急旋回などの急な操作は荷物の落下や衝突、車体の横転を引き起こす可能性があるため、避けてください。

弊社は、2024年9月10日(火)〜13日(金)に東京ビッグサイトで開催される「国際物流総合展2024」に出展し、フォークリフトの遠隔操作と自動運転機能のデモンストレーションを実施します。ぜひお越しいただき、その精度と安全性を実感してください。詳細は以下のニュースでご確認いただけます。

ARAV株式会社は「国際物流総合展2024」に出展

カウンターフォークリフトの免許

カウンターフォークリフトの運転・操作には特別な技能が求められます。そのため、運転・操作するためには定められた免許を取得する必要があります。

カウンターフォークリフトの免許には、大まかに以下の2種類があります。

免許の種類 取得が求められる業務内容
フォークリフト運転技能講習 最大積載荷重1t以上のカウンターフォークリフトの運転
フォークリフト運転特別教育 最大積載荷重1t未満のカウンターフォークリフトの運転

それぞれの資格によって、取得が求められる業務内容だけでなく、受験資格や取得方法なども異なります。

下表に、フォークリフト運転技能講習の概要をまとめました。

資格・教育の情報 内容
費用 【受講料】
11時間コース:14,000円〜23,000円前後
15時間コース:16,000円〜23,000円前後
31時間コース:33,000円〜42,000円前後
35時間コース:37,000円〜45,000円前後【テキスト代】
いずれのコースでも2,000円前後
日数 1日〜5日間前後
受講資格 【11時間コース】
以下のいずれかを満たす人
・普通自動車以上の運転免許証を有し、かつ1トン未満のフォークリフト特別教育を受け、その後3ヶ月以上の実務経験がある人
・大型特殊免許(カタピラ限定を除く)を有している人【15時間コース】
普通自動車以上の運転免許を持たず、かつ1トン未満のフォークリフト特別教育を受け、その後6ヶ月以上の実務経験がある人【31時間コース】
普通自動車以上の運転免許を有する人【35時間コース】
18歳以上で、普通自動車以上の運転免許を持たない人
申込先 都道府県労働局長登録教習機関

次に、フォークリフト運転特別教育の概要を示します。

資格・教育の情報 内容
費用 15,000円〜20,000円前後
日数 12時間(2日間)前後
受講資格 18歳以上
申込先 社内、社外の教習機関(都道府県労働局長登録教習機関など)

なお、カウンターフォークリフトとリーチフォークリフトの間で、運転・操作に必要な免許に違いはありません。

カウンターフォークリフトを含め、フォークリフトの運転・操作に必要な免許について、詳しくは以下の記事で解説しています。

フォークリフト免許とは?取得方法、日数、費用、試験内容と対策を解説

まとめ

本記事では、カウンターフォークリフトの種類や特徴、操作方法、免許取得方法について解説しました。

カウンターフォークリフトを安全かつ効率的に操作するためには、知識や技能が不可欠です。特に重い荷物を扱う際の安全対策は非常に重要であり、常に注意を払う必要があります。

カウンターフォークリフトを適切に使用すれば、作業効率を大幅に向上させられます。また、安全な操作を心がけることで、事故を未然に防ぐことが可能です。

カウンターフォークリフトの操作を学ぶ際には、現場での経験も非常に重要です。理論的な知識と実践的なスキルをバランスよく身につけて、より効率的かつ安全な作業を目指しましょう。

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