建設・土木支援情報 2025.02.21

【2025年版】建設業で活用できる補助金・助成金を一覧で紹介

建設業は、日本の経済やインフラ整備を支える重要な産業ですが、昨今は資材費の高騰や人材不足など多くの課題に直面しています。こうした中、事業運営をサポートするために用意された補助金や助成金は、建設事業主の方にとって心強い支援策となります。

補助金や助成金の活用により、新たな重機の導入や従業員のスキルアップ、働き方改革への対応など、多岐にわたる取り組みの推進に繋がります。しかし、補助金や助成金は種類が多く、適切な制度を選び効果的に活用するには網羅的な情報が役立つでしょう。

本記事では、建設業で活用できる補助金・助成金を一覧にしてわかりやすく紹介します。各制度の概要や用途、申請時の注意点について詳しく解説し、建設事業主の皆様がスムーズに活用できるようまとめましたので、ぜひ参考にしてください。

建設業で活用できる補助金・助成金一覧

建設業に関する補助金・助成金

以下に、建設業で活用できる主な補助金・助成金を一覧にしてまとめました。

区分 補助金・助成金の名称
補助金 ・事業再構築補助金
・IT導入補助金
・ものづくり補助金
・中小企業省力化投資補助金
・小規模事業者持続化補助金
・事業承継・引継ぎ補助金
助成金 ・トライアル雇用助成金
・人材確保等支援助成金
・人材開発支援助成金
・働き方改革推進支援助成金
・業務改善助成金

一言に「建設業で活用できる補助金・助成金」と言っても、様々な種類があります。それぞれ制度の特徴を把握し、自社で活用できるものを探して申請を検討すると良いでしょう。

ここからは、建設業で活用できる「補助金」「助成金」の順番で、それぞれの制度の概要を解説します。

なお、本記事で取り上げている補助金・助成金に関する情報は、2025年1月時点での内容です。必ず各制度の最新情報を公式HPやパンフレットなどで確認したうえで、申請をご検討ください。

建設業で活用できる補助金

はじめに、建設業で活用できる6つの補助金を順番にご紹介します。

①事業再構築補助金

事業再構築補助金は、社会情勢の変化により売上の回復が難しい中、制度変革に対応しながら新たな事業展開を目指す企業を支援する補助金制度です。事業の再編や業態転換など、企業が新たな挑戦を行うための資金を援助します。

第13回の公募(申請期間:2025年1月10日から3月26日)では、大まかに3つの枠(型)から自社に合ったものを選んで申請できます。

資金繰りの改善や新規事業の展開を目指す際に活用をおすすめする補助金です。過去の採択事例では、建設事業主がアスベスト検査サービスを新たに導入し、建築サービスに付加価値を生み出した例があります。

制度情報 概要
対象者 【成長分野進出枠:通常類型】
・ポストコロナに対応した成長分野への新たな事業再構築にこれから取り組む事業者
・国内市場縮小等の構造的な課題に直面している業種、業態の事業者【成長分野進出枠:GX進出類型】
・ポストコロナに対応した、グリーン成長戦略「実行計画」14分野の課題の解決に資する取組をこれから行う事業者【コロナ回復加速化枠:最低賃金類型】
・コロナ禍が終息した今、最低賃金引上げの影響を大きく受ける事業者
主な条件 【必須要件(全枠共通)】
・事業再構築指針に示す「事業再構築」の定義に該当する事業であること
・事業計画を金融機関等や認定経営革新等支援機関と策定し、確認を受けていること
・補助事業終了後3~5年で付加価値額の年平均成長率3~4%(事業類型により異なる)以上増加または従業員一人当たり付加価値額の年平均成長率3~4%(事業類型により異なる)以上増加すること
対象経費 建物費、機械装置・システム構築費、技術導入費、外注費・専門家経費、広告宣伝費・販売促進費、研修費、廃業費

※廃業費は成長分野進出枠(通常類型)のみ

補助金(一例) 【成長分野進出枠:通常類型】
最大3,000万円(4,000万円)
・補助率:中小企業1/2(2/3)、中堅企業1/3(1/2)【成長分野進出枠:GX進出類型】
中小企業:最大5,000万円(6,000万円)
・補助率:1/2(2/3)
中堅企業:最大1億円(1.5億円)
・補助率:1/3(1/2)※()は短期に大規模賃上げを行う場合に適用【コロナ回復加速化枠:最低賃金類型】
最大1,500万円
・補助率:中小企業3/4(一部2/3)、中堅企業2/3(一部1/2)
HP https://jigyou-saikouchiku.go.jp/

※第13回公募の概要

https://jigyou-saikouchiku.go.jp/pdf/download/summary013.pdf

参考:事業再構築補助金 第12回公募 採択案件一覧【事業計画書の概要】

②IT導入補助金

IT導入補助金は、業務効率化を目的にITツールを導入したい事業者を支援する制度です。特に、建設業でDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進を目指す事業者にとっておすすめの補助金です。

補助対象には、セキュリティ対策費用やインボイス制度に対応するためのツール導入費用なども含まれます。補助金は5つの枠に分かれており、IT関連の費用であれば幅広く対応可能です。どの枠が利用できるか、一度確認してみると良いでしょう。

過去の採択例として、就業・勤怠管理ソフトを導入し、建築・土木工事現場で働く社員の勤怠や労務管理を適正化した事例があります。

制度情報 概要
対象者 労働⽣産性の向上を⽬的とする中⼩企業・⼩規模事業者等
主な条件 IT導入補助金事務局に登録された「IT導入支援事業者」と連携して申請すること(複数社連携IT導入枠を除く)。
対象経費 ソフトウェア購⼊費、クラウド利⽤料(最⼤2年分)、導⼊関連費(保守運⽤やマニュアル作成等のサポート費⽤に加えて、IT活⽤の定着を促す導⼊後の活⽤⽀援も対象化)、サイバーセキュリティお助け隊サービス利⽤料(最⼤2年分)
補助金(一例) 【通常枠】
導入するITツールの業務プロセスが1〜3つ:5万円〜150万円、4つ以上:150万円〜450万円
※補助率:中⼩企業は1/2(最低賃⾦近傍の事業者は2/3)【複数社連携IT導⼊枠】
インボイス枠対象経費、消費動向等分析経費合わせて最大3,000万円
事務費・専⾨家費:最大200万円
※補助率:インボイス枠対象経費は3/4〜1/2、その他は2/3【インボイス枠:インボイス対応類型】
ITツール:1機能は最大50万円、2機能以上は最大350万円
PC・タブレット等は最大10万円
レジ・券売機等は最大20万円
※補助率は50万円以下は3/4(⼩規模事業者は4/5)、50万円〜350万円は2/3、ハードウェア購⼊費は1/2

【インボイス枠:電⼦取引類型】
最大350万円
※補助率は中⼩企業:2/3、⼤企業:1/2

【セキュリティ対策推進枠】
5万円〜150万円
※補助率は中⼩企業:1/2、⼩規模事業者:2/3

HP https://it-shien.smrj.go.jp/

※2025年版の概要

https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/yosan/r7/r6_it_summary.pdf

参考:中小機構 「IT導入補助金 活用事例|就業・勤怠管理ソフトの導入とオンライン会議の環境整備で働き方改革を推進!!」

③ものづくり補助金

ものづくり補助金(ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)は、中小企業や小規模事業者が生産性向上を目指すための設備投資を支援する制度です。

働き方改革や賃上げ、インボイス制度導入などの制度変更への対応をはじめ、革新的なサービスの開発、試作品の製作、生産プロセスの改善など、幅広い取り組みに活用できます。

補助対象となる経費は類型によって異なりますが、建設機械(重機)の購入・導入費用も含まれており、建設業界の設備投資にも対応しています。

以下に、建設業界におけるものづくり補助金の採択事例の一部をまとめました。

  • 革新的サービスや管理技術者の育成を目的とした、ICTブルドーザーの購入・導入
  • 木くずの前処理作業の効率化を目的とした、重機用特殊アタッチメント等の導入
  • 生産効率の大幅改善や危険作業の回避を目的とした、伐採現場へのハーベスタ導入
制度情報 概要
対象者 中小企業者、特定事業者の一部、特定非営利活動法人、社会福祉法人
主な条件 中小企業・小規模事業者等が革新的な製品・サービス開発を行い、以下を満たすこと

・付加価値額の年平均成長率が+3.0%以上増加すること
・1人あたり給与支給総額の年平均成長率が事業実施都道府県における最低賃金の直近5年間の年平均成長率以上または給与支給総額の年平均成長率が+2.0%以上増加すること
・事業所内最低賃金が事業実施都道府県における最低賃金+30円以上の水準となること
・次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を公表等(従業員21名以上の場合のみ)の基本要件を全て満たす3~5 年の事業計画に取り組むこと

対象経費 【共通】
機械装置・システム構築費(必須)、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、原材料費、外注費、知的財産権等関連経費【グローバル枠のみ】
海外旅費、通訳・翻訳費、広告宣伝・販売促進費
補助金(一例) 【製品・サービス高付加価値化枠】
・補助上限:750万円~2,500万円
・補助率:中小企業1/2、小規模・再生2/3【グローバル枠】
・補助上限:3,000万円
・補助率:中小企業1/2、小規模2/3
HP https://portal.monodukuri-hojo.jp/index.html

※令和6年度補正予算の概要

https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/yosan/r7/r6_mono.pdf

参考:ものづくり補助金総合サイト「成果事例のご紹介」

④中小企業省力化投資補助金

中小企業省力化投資補助金は、中小企業や小規模事業者がIoTやロボットなどの汎用製品を導入することで、付加価値や生産性の向上、賃上げを目指すための支援制度です。対象製品は「製品カタログ」から選択でき、導入による効果が期待される汎用製品が揃っています。

建設業で活用できる製品の一例として、トータルステーションが挙げられます。これは、水平角や鉛直角を計測する経緯儀に測距機能を組み合わせたもので、ノンプリズムやモータードライブ、遠隔操作、自動視準、自動追尾などの機能を持つ測量機です。

このような機能により、作業者が遠隔操作で機械を操作できるほか、内蔵センサーが追尾や視準を自動で行うため、作業の効率化と省力化が期待されます。

制度情報 概要
対象者 日本国内で事業を営む中小企業、個人事業主等
主な条件 カタログに登録された省力化製品を導入し、販売事業者と共同で取り組む事業であって、労働生産性の向上目標や賃上げの目標および所定の要件を満たす事業計画に基づいて行われる事業であること。
対象経費 省力化製品の設備投資における製品本体価格、導入に要する費用(導入経費)
補助金(一例) 補助上限は以下の通り(補助率は1/2)。

・従業員数5人以下:200万円(300万円)
・従業員数6~20人:500万円(750万円)
・従業員数21人以上:1,000万円(1,500万円)

※()は大幅な賃上げを行う場合の金額

HP https://shoryokuka.smrj.go.jp/

※公募要領

https://shoryokuka.smrj.go.jp/assets/pdf/application_guidelines.pdf

⑤小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者が事業の継続や発展を目指し、新たな販路の開拓や業務改善を進める際に、その費用を支援する制度です。「通常枠」「賃金引上げ枠」「卒業枠」「後継者支援枠」「創業枠」の5枠があり、目的や状況に応じて選択できます。

販路拡大を計画している場合や、事業を拡大してさらなる成長を目指している場合におすすめの補助金です。

なお、本補助金の2024年度の公募はすでに終了しています。現時点では2025年度の実施は未定ですが、過去の例では同様の補助金が翌年度に再募集されたケースもあります。そのため、活用を検討する際は、公式HPや管轄機関からの通知を定期的にチェックし、新たな公募が開始され次第すぐに対応できるよう準備を進めておくことをお勧めします。

制度情報 概要
対象者 商工会議所の管轄地域で事業を営んでいる小規模事業者等
主な条件 補助対象は、以下の要件をいずれも満たす事業

・策定した「経営計画」に基づいて実施する、販路開拓等のための取組であること(あるいは、販路開拓等の取組と併せて行う業務効率化(生産性向上)のための取組であること)
・商工会議所の支援を受けながら取り組む事業であること
・補助事業実施期間内に補助事業が終了すること

対象経費 機械装置等費、広報費、ウェブサイト関連費、展示会等出展費(オンラインによる展示会・商談会等を含む)、旅費、新商品開発費、資料購入費、借料、設備処分費、委託・外注費
補助金(一例) 【通常枠】
最大50万円(補助率:2/3)【賃金引上げ枠】
最大200万円(補助率:2/3 ※赤字事業者は3/4)【卒業枠】
最大200万円(補助率:2/3)

【後継者支援枠】
最大200万円(補助率:2/3)

【創業枠】
最大200万円(補助率:2/3)

HP https://s23.jizokukahojokin.info/

公募要領

https://s23.jizokukahojokin.info/doc/s23_koubo16_13.pdf

⑥事業承継・引継ぎ補助金

事業承継・引継ぎ補助金は、事業承継を契機として新しい取り組み等を行う中小企業等および、事業再編や事業統合に伴う経営資源の引継ぎを行う中小企業等を支援する制度です。

補助の対象となる取組内容や経費の種類に応じて、「経営革新枠」「専門家活用枠」「廃業・再チャレンジ枠」の3事業で補助を行います。

さらに、経営革新は、「創業支援類型」「経営者交代類型」「M&A類型」の3類型、専門家活用は、「買い手支援類型」と「売り手支援類型」の2類型に分類されます。

制度情報 概要
対象者 中小企業・小規模事業者(個人事業主を含む。)
主な条件 【経営革新枠】
事業承継、M&A(経営資源を引き継いで行う創業を含む。)を契機として、経営革新等に挑戦すること【専門家活用枠】
M&Aにより経営資源を他者から引継ぐ、あるいは他者に引き継ぐこと【廃業・再チャレンジ枠】
事業承継・M&Aに伴い既存の事業を廃業し、新たな取り組みにチャレンジすること
対象経費 人件費、店舗等借入費、設備費、原材料費、産業財産権等関連経費、謝金(弁護士などの専門家に支払う経費)、旅費(出張の交通費や宿泊費)、マーケティング調査費、広報費、会場借料費(説明会などを開いた時の会場費)、外注費、委託費など
補助金(一例) 【経営革新枠】
・補助上限:600万円以内または800万円以内
・補助率:2/3または1/2【専門家活用枠】
・補助上限:600万円以内
・補助率:2/3または1/2【廃業・再チャレンジ枠】
・補助上限:150万円以内
・補助率:2/3または1/2
HP https://jsh.go.jp/r5h/

※公募要領(九次公募)

https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/2024/240318shoukei_kobo.html

建設業で活用できる助成金

続いて、建設業で活用できる5つの助成金を順番にご紹介します。

①トライアル雇用助成金

建設業では、トライアル雇用助成金(若年・女性建設労働者トライアルコース)を活用できます。これは、若年者(35歳未満)や女性を一定期間試行雇用を行う中小建設事業主に対して助成するものです。

また、本助成金の対象となる労働者は、主として(※)建設工事現場での現場作業(左官、大工、鉄筋工、配管工など)に従事する人または施工管理を行う人(設計、測量、経理、営業などに従事する方は対象となりません)です。

※実労働時間の半分を超える時間を従事していることが求められる

制度情報 概要
対象者 若年者(35歳未満)や女性を一定期間試行雇用を行う中小建設事業主
主な条件 トライアル雇用助成金における以下のいずれかのコース支給決定を受けていること

・一般トライアルコース
・障害者トライアルコース

助成金(一例) 若年・女性建設労働者1人につき、最大4万円/月×3か月

※就労した日数等により減額となる場合あり

HP https://jsite.mhlw.go.jp/aichi-roudoukyoku/newpage_01631.html

②人材確保等支援助成金

人材確保等支援助成金は、雇用した建設労働者の定着を支援する助成金です。建設事業主を対象にした4つのコースが設けられています。

  • 若年者及び女性に魅力ある職場づくり事業コース(建設分野)
  • 作業員宿舎等設置助成コース(建設分野)(作業員宿舎等経費助成)(岩手県、宮城県、福島県)
  • 作業員宿舎等設置助成コース(建設分野)(作業員宿舎等経費助成)(石川県)
  • 作業員宿舎等設置助成コース(建設分野)(女性専用作業員施設設置経費助成)

以下に「若年者及び女性に魅力ある職場づくり事業コース(建設分野)」をピックアップし、助成金制度の概要をまとめました。

制度情報 概要
対象者 建設事業主で、雇用管理責任者を選任していること等
主な条件 若年者及び女性労働者の入職や定着を図ることを目的とした事業を行うこと

(例)
・建設現場の見学会やインターンシップの実施
・建設工事関連の公的資格の取得に向けた講習会や研修の実施
・安全衛生管理計画の作成
・優秀な従業員、女性従業員への表彰制度の導入
・雇用管理研修や職長研修の実施

対象経費 講師謝金(部外講師に限る)、コンサルティング料、賃金、旅費、バス等借上料、印刷製本費、施設借上費、機械器具等借上料、教材費、厚生経費、通信運搬費、会議費、受講参加料、傷害保険料など
助成金(一例) 【助成上限】
200万円
研修等の受講については、対象労働者1人あたり8,550円/日【助成率】
・経費等助成
中小建設事業主の場合:支給対象経費の3/5
中小建設事業主以外の場合:支給対象経費の9/20・賃金向上助成
支給対象経費の3/20
HP https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_07843.html

③人材開発支援助成金

人材開発支援助成金は、 雇用する労働者の技能の維持・向上を図るため、建設事業主が実施する有給による技能実習や職業訓練(リスキリング含む)を支援する助成金です。建設事業主を対象にしたコースは、以下の2つです。

  • 建設労働者認定訓練コース(経費助成・賃金助成)
  • 建設労働者技能実習コース(経費助成・賃金助成)

以下に「建設労働者認定訓練コース(経費助成・賃金助成)」をピックアップし、助成金制度の概要をまとめました。

制度情報 概要
対象者 中小建設事業主で、雇用管理責任者を選任していること等
主な条件 【経費助成】
認定職業訓練または指導員訓練のうち、建設関連の訓練を実施していること【賃金助成】
建設労働者に対して認定訓練を受講させていること
対象経費 職業能力開発促進法第24条第1項に規定する認定職業訓練又は同法第27条第1項に規定する指導員訓練のうち、別表に定める建設関連の訓練にかかる経費
助成金(一例) 【経費助成】
助成対象経費の1/6【賃金助成】
3,800円/人日(1,000円/人日)、支給上限は1,000万円/年※()は賃金要件(人確金、人開金)または資格等手当要件(人開金のみ)を満たした場合の増額分
HP https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/d01-1.html

④働き方改革推進支援助成金

建設業では、働き方改革推進支援助成金(業種別課題対応コース)を活用できます。本コースは、生産性を向上させ、時間外労働の削減や週休2日制の推進、勤務間インターバル制度の導入、医師の働き方改革推進に向けた環境整備に取り組む中小企業事業主を支援するものです。

なお、本助成金の2024年度の公募は終了しており、現時点で2025度の実施は未定となっています。活用を検討する際は、公式HPなどで最新情報をこまめにチェックしましょう。

制度情報 概要
対象者 中小企業事業主
主な条件 生産性を向上させる以下のような労働環境整備に取り組んでいること

・時間外労働の削減
・週休2日制の推進
・勤務間インターバル制度の導入など

対象経費 労務管理担当者に対する研修、労働者に対する研修、周知・啓発・外部専門家(社会保険労務士、中小企業診断士など) によるコンサルティングなどにかかる費用
助成金(一例) 最大250万円
HP https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000120692_00001.html

⑤業務改善助成金

業務改善助成金は、生産性向上に資する設備投資等(機械設備、コンサルティング導入や人材育成・教育訓練)を行うとともに、事業場内最低賃金を一定額(各コースに定める金額)以上引き上げた場合、その設備投資などにかかった費用の一部を助成するものです。

生産性向上に資する設備投資等にかかった費用に一定の助成率をかけた金額と助成上限額とを比較し、いずれか安い方の金額が助成されます。

制度情報 概要
対象者 中小企業・小規模事業者
主な条件 ・事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が50円以内であること
・解雇、賃金引き下げなどの不交付事由がないこと
対象経費 生産性向上・労働能率の増進に資する設備投資等にかかる費用
助成金(一例) 【助成上限】
・30円コース:30~130万円
・45円コース:45~180万円
・60円コース:60~300万円
・90円コース:90~600万円【助成率】
・事業場内最低賃金870円未満:9/10
・事業場内最低賃金870円以上920円未満:4/5
※生産性要件を満たした場合は9/10
・事業場内最低賃金920円以上:3/4
※生産性要件を満たした場合は4/5
HP https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/zigyonushi/shienjigyou/03.html

以下の記事では、建設機械(重機)の購入・導入に活用できる補助金・税制優遇について詳しく紹介しています。建設業での設備投資を検討している場合は、併せてご覧ください。

建設機械・重機の購入・導入の補助金・税制優遇一覧

補助金と助成金の特徴や違い

補助金と助成金には、返済不要という共通点がありますが、それぞれ異なる特徴があります。この違いを正しく理解することが大切です。

以下の表では、補助金と助成金の主な特徴を比較しています。どちらが自社の目的に合っているかを確認する際に、ぜひ参考にしてください。

相違点 補助金 助成金
提供・運用機関 経済産業省、地方自治体、各団体など 厚生労働省、地方自治体、各団体など
事業の目的 新規事業の立ち上げ、自治体との連携など 雇用拡大、人材育成など
特徴 ・種類が多いため、自社のニーズに合ったものを見つけやすい。

・支給額や経費の適用範囲が広く、幅広い用途に対応可能。

・対象者や活動の基準を満たせば、比較的受給しやすい。

・申請期間が長めに設定される傾向があり、随時募集される場合が多いことから活用しやすい。

注意点 ・高倍率で、採択を受ける難度が高い。 ・補助金よりも支給額が少ないケースが多い。

建設業で補助金・助成金を活用する流れ

建設業における経理計算作業

建設業で補助金・助成金を活用する際の大まかな流れを3つのステップに分けて解説します。ここで紹介するものは基本的なフローであり、詳しい申請の流れはそれぞれの補助金・助成金の募集要領をご確認ください。

①申請条件の確認

補助金や助成金は、申請すれば必ず支給されるわけではありません。申請前に自社が条件を満たしているかを必ず確認しましょう。特に、大規模な企業は条件に該当しない場合も多いため、注意が必要です。

②制度の選定と申請準備

条件に合致する補助金や助成金を選定する際は、受給額や対象経費も確認し、自社に最適な制度を選びます。選定後は以下の必要書類を準備して申請します。

  • 申請書
  • 事業計画書
  • 決算書類
  • 印鑑証明書
  • 納税証明書

必要書類は制度によって異なるため、事前に確認してください。書類準備には時間がかかるため、早めに取り組み、不備がないよう慎重に進めることが重要です。

③採択と事業実施

申請後は、運営事務局からの採択結果を待ちます。採択されても、補助金や助成金がすぐに支給されるわけではありません。事業計画に基づき取り組みを進め、その実績を運営事務局に報告する必要があります。

報告書が適切と判断されて、初めて補助金や助成金が支払われます。特に、支給額が高額な補助金・助成金制度の場合、複数年にわたり報告書の提出が求められる場合もあるため、スケジュール管理を徹底しましょう。

建設業で補助金・助成金を活用する際の注意点

補助金や助成金には多くのメリットがありますが、活用にあたって注意すべきポイントもあります。例えば、提出書類に不備があった場合や、申請条件を十分に満たしていない場合には、せっかく準備した書類が無駄になる可能性があります。これを防ぐためには、各制度の募集要項を事前に十分確認し、専門家のサポートを受けることも検討しましょう。

申請を成功させるためにも、以下の注意点をしっかり把握しておきましょう。

必ず支給されるとは限らない

補助金や助成金は採択通知を受け取ったからといって、必ずしも全額支給されるわけではありません。計画通りに事業を進められなかった場合、支給額が減額されたり、最悪の場合は採択が取り消されるリスクがあります。

例えば、審査を通すために無理な計画を立てると、実際に事業を遂行できず、結果として採択が取り消される可能性が高いです。この場合、事業を達成しようとした際のコストだけがかかり、補助金や助成金を受け取れないどころか、資金繰りがさらに悪化するおそれがあります。

申請時には現実的かつ実現可能な計画を立て、リスクを最小限に抑えることが重要です。

助成金や補助金のほとんどは後払いされる

助成金や補助金の多くは、「後払い」で支給される仕組みになっています。例えば、総事業費が250万円のプロジェクトで補助率が1/3の場合、事業を進める段階では、まず250万円全額を自社で用意する必要があります。その後、必要な書類を提出し審査を通過すると、250万円のうち補助金として約83万円(250万円×1/3)が支給される流れになります。このように、支給までの期間は資金負担が発生するため、事前の資金計画が重要です。

その後、必要な書類や実績報告を提出し、審査を通過した段階で補助金が支給される形になります。このため、事前に資金を準備しておくことが重要です。

提出期限前に受付が締め切られるケースがある

補助金制度では、予算の上限に達すると申請受付が予定より早く終了してしまう場合があります。そのため、申請期限に間に合うように書類を準備していても、早期終了により提出ができなくなるリスクがあります。

補助金や助成金の申請受付が開始されたら、できるだけ早く手続きを進めることが重要です。これは、多くの制度が予算の上限に達すると受付が早期に締め切られてしまう場合があるためです。せっかく準備を進めていても、受付終了に間に合わなければ申請ができなくなります。迅速な対応が、補助金を確実に受け取るための鍵となります。

まとめ

今回ご紹介した補助金や助成金は、建設業で業務効率化やDX推進、社員のリスキリングを図る際に大いに役立ちます。特にITツール導入関連の補助金制度は、多くの事業者から注目されています。

人手不足の解消や生産性向上、人材確保などに取り組む場合、これらの制度を積極的に活用することで、課題解決の一助となるでしょう。

ただし、補助金や助成金の申請にはいくつか注意が必要です。申請受付のタイミングは制度ごとに異なり、予算が上限に達した場合には早期に受付が締め切られることもあります。そのため、制度の要項を確認し、十分な準備期間を確保することが大切です。

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