重機・建機の種類 2025.01.23

タイヤローラーとは?特徴、ロードローラーとの違い、免許・資格を解説

タイヤローラーは道路の舗装や整地作業に使用される重機で、特に砂利や土壌、アスファルトの締固めなどに適しています。ゴム製のタイヤが複数並んで装着されており、ムラなく仕上がるため、表面をなめらかに仕上げる作業を得意としています。

また、ほとんどのタイヤローラーには振動機能がないため、振動や騒音を抑えたい現場での舗装作業にも向いています。

本記事では、タイヤローラーの特徴や用途、鉄輪のロードローラーとの違いについて解説します。タイヤローラーを操作するために必要な免許・資格も紹介しているので、タイヤローラーの基本を理解して適切な場面で活用する上で、ぜひ参考にしてください。

タイヤローラーとは?

タイヤローラーとオペレーター

タイヤローラーとは、空気入りのゴム製タイヤを複数装着した構造のロードローラーの一種です。日本国内では、タイヤローラーは前方に3〜4つ、後方に4つのタイヤを装着したモデルが一般的です。

ただし、用途やモデルによってタイヤの配置が異なることがあります。また、海外では国内とは異なる配置が採用される場合もあります。このタイヤ構造により、アスファルト混合物や路盤、路床の締固め作業において、均一で滑らかな仕上がりを実現することが可能です。

タイヤローラーは、機体重量によって、3t、10t、20tなどのクラスに分けられます。それぞれの主な特徴を以下にまとめました。

  • 3t:中型重機で小回りが利きやすく、都市部の狭い現場や小規模な舗装作業に適しています。
  • 10t:大型重機で高い締固め能力を発揮し、道路工事や大規模な駐車場の整備などで活躍します。
  • 20t:最大級のモデルで、広範囲にわたる舗装作業や、特に高密度の圧縮が求められる現場に適しています。

タイヤローラーの特徴と用途

タイヤローラーの下部

本章では、タイヤローラーの主な特徴と用途について、順番に解説します。

タイヤローラーの特徴

ゴム製タイヤは鉄輪よりも衝撃吸収力に優れており、道路面に対して滑らかに仕上げることが可能です。タイヤの空気圧を調整することで接地圧を変えられるほか、水や鉄などのバラスト(※)を追加して荷重を増減することも可能です。

※:車両の重量を増したり重量のバランスを取ったりするために積み込む重しのこと

また、鉄輪のロードローラーに比べて走行スピードが速く、機動性が高いのも特徴です。

さらに、タイヤローラーには、散水機能(水を撒く機能)が備わっているタイプも多く存在します。

この散水機能は、タイヤに付着した泥やアスファルトを洗い流すことで、舗装面に均一な圧力を加える役割を果たします。これにより、路面の仕上がりが滑らかで均一になり、舗装の耐久性や仕上がりの均一性を向上させる効果があります。

散水機能は、主に水タンクとポンプで構成されており、タイヤ周辺や舗装面に適量の水を撒くことで効果を発揮します。特に、アスファルト作業ではタイヤにアスファルトが付着するのを防ぎ、舗装面の均一性を保つことが重要です。

ただし、散水量やタイミングを誤ると、アスファルトが冷えすぎて施工不良を引き起こしたり、路面に水たまりができる可能性があります。このため、気温や路面の状態に応じて水量を調整することが求められます。

また、定期的に散水ノズルの詰まりをチェックすることも、散水機能を十分に活用する上で欠かせません。

タイヤローラーの用途

タイヤローラーの主な使用シーンは以下の通りです。

  • アスファルトやコンクリート舗装の仕上げ
  • 地盤の締固め

ゴム製タイヤは、鉄製ローラーに比べて軽量で小回りが効く点が特徴で、アスファルトやコンクリートの最終仕上げ作業に適しています。そのため、初期の転圧作業よりも仕上げに力を発揮するでしょう。

さらに、ほとんどのタイヤローラーには振動機能が付いておらず、騒音や振動を抑えられ、学校や病院周辺、夜間の工事現場でも使用しやすい構造となっています。

なお、タイヤの空気圧を調節することで、地盤の二次転圧や初期の転圧作業にも対応できるため用途の幅は非常に広いです。

タイヤローラーとロードローラーの違い

タイヤローラーの作業風景

厳密に言うと、タイヤローラーもロードローラーの一種ですが、本章では便宜上、ロードローラーを『鉄輪を装着したもの』と狭義に定義し、タイヤローラーとの違いについて取り上げます。

この定義は、建設業界において作業用途や機能に応じて区別されることに基づいています。例えば、振動機能を持つ鉄輪ローラーは基礎工事や厚い土壌の深層締固めに適している一方、タイヤローラーは舗装面の仕上げ作業に使用されることが多いです。

このような用途の違いから、両者を明確に区別する必要があります。

タイヤローラーとロードローラーはどちらも地面を圧縮して整地する建設機械ですが、それぞれ異なる特徴や用途があります。両者の違いを構造や圧縮方式、用途などの観点から比較して解説します。

タイヤローラーが備えるゴム製のタイヤは鉄輪よりも衝撃吸収力に優れており、道路面に対して優しく仕上げられます。一方、ロードローラーには鉄輪が採用されており、一定の圧力で力強く均一に地面を押し固めるのが特徴です。

また、タイヤローラーは静的荷重を利用して圧縮するのが基本で、地面に振動を与えずに締め固めることが可能です。これに対して、ロードローラーの中には振動機能を備えているタイプも多く見られます。

この振動機能は、ローラーが路面に振動を与えることで、圧縮力がさらに増幅され、深層までの密度を高める役割を果たします。これにより、基礎工事や厚い土層の締固めが必要な現場で効果を発揮します。

※:機械や構造物にかかる荷重のうち、方向や大きさが一定で時間的に変化しない荷重のこと

タイヤローラーは、表面をなめらかに仕上げる作業に向いており、振動や騒音を抑えたい場所(例:駐車場や住宅地の舗装)での作業に適しています。一方、ロードローラーは耐久性が求められるために深層土壌までの圧縮が必要な場所(例:基礎工事の圧縮、厚い土層の締固め)で使用されることが多いです。

ロードローラーについて、詳しくは以下の記事で解説しています。併せてお読みいただくことで、ロードローラー全体におけるタイヤローラーの位置付けについても理解を深められますので、ぜひご覧ください。

ロードローラーとは?種類と用途、選び方、免許・資格を解説

タイヤローラーのメンテナンス

タイヤのメンテナンス風景

タイヤローラーは構造が比較的シンプルで、適切に使用していれば大きな故障は起きにくいです。そのため、日常のメンテナンスとしては、エンジンなどの動力部分の基本的な点検でも特に問題はありません。

ただし、散水装置が備わっている場合には、散水ノズルの詰まりがないか日常的にチェックすることが重要です。

散水ノズルが詰まると、適切に水が供給されず、タイヤに泥やアスファルトが付着したままの状態で作業を進めることになり、路面の仕上がりにムラが生じたり、舗装品質が低下したりする恐れがあります。また、冬季には凍結防止のために散水装置の水抜きが必要です。

その他、タイヤローラーの接地面もこまめに確認しましょう。タイヤに傷やひびがあると、舗装面に影響が出て仕上がりが悪くなる可能性があります。

特に内側のタイヤは確認が難しいため、ローラーをゆっくりと動かし、タイヤの各面をしっかりとチェックしましょう。タイヤのエッジ部分は摩耗しやすいため注意が必要です。

タイヤの寿命を延ばすためにも、定期的にタイヤの位置を入れ替えながら運用することで、摩耗を分散させるのも一つの選択肢です。

タイヤローラーの免許・資格

タイヤローラーを取り扱う際は、以下の免許・資格が必要になります。

  • 締固め用建設機械(ローラー)の運転の業務に係る特別教育
  • タイヤローラーのサイズに応じた自動車運転免許

それぞれ順番に詳しく解説します。

締固め用建設機械(ローラー)の運転の業務に係る特別教育

タイヤローラーを操作するためには、締固め用建設機械(ローラー)の運転の業務に係る特別教育を修了している必要があります。

さらに、労働安全衛生法第59条第3項の規定により、事業者がタイヤローラーなどの締固め用重機の操作業務を作業員に担当させる際には、特別教育を受講させることが義務付けられています。

事業者としては、作業員に対して適切に特別教育を修了しているかを確認する責任があるため注意しましょう。

以下に、締固め用建設機械の操作に関する特別教育の概要を以下に示します。

資格・教育の情報 内容
費用 20,000円前後
日数 10時間(2日間)前後
講習内容 【学科】
・締固め用機械(ローラー)に関する知識
・締固め用機械(ローラー)の運転に必要な一般的事項に関する知識
・関係法令【実技】
・締固め用機械(ローラー)の運転方法
受講資格 18歳以上
申込先 社内、社外の教育機関(都道府県労働局長登録教習機関など)

参考:厚生労働省「労働安全衛生法における特別教育の概要」

タイヤローラーのサイズに応じた自動車運転免許

タイヤローラーで公道を走行するには、次のいずれかの自動車運転免許が必要です。現場内での作業だけであれば免許は不要ですが、公道を走行する際は免許が不可欠です。

  • 大型特殊自動車免許
  • 小型特殊自動車免許

大型特殊自動車免許は、大型特殊自動車を公道で運転するために必要な免許です。大型特殊自動車とは、道路交通法上「小型特殊自動車の規格を超える車両」と定義されています。

小型特殊自動車免許は、小型特殊自動車を公道で走らせるために必要な免許です。小型特殊自動車とは、以下の条件に収まる車両を指します。

  • 全長:4.7m以下
  • 全幅:1.7m以下
  • 全高:2.0m以下(ヘッドガード等を備えた自動車で、ヘッドガード等を除いた部分の高さが2.0m以下のものについては2.8m以下)
  • 最高速度:時速15km以下

なお、普通自動車免許を持っている場合は、以下の優遇措置が適用されます。

  • 大型特殊自動車免許の教習期間が短縮される
  • 新たに小型特殊自動車免許を取得する必要がなくなる

タイヤローラーを含む各種重機に関する免許・資格については、以下の記事に詳しくまとめています。タイヤローラー以外の重機の導入も検討している場合は、併せて参考にしてください。

建設機械・重機の免許・資格一覧!費用や日数、受験資格

参考:国土交通省「自動車の種類」

まとめ

タイヤローラーは、道路の表面仕上げや駐車場、住宅地の舗装など、優しい圧縮や表面仕上げを求められる作業に適した重機です。振動を伴わないため、振動や騒音の影響を避けたい場所でも使用されるなど、鉄輪のロードローラーとは異なる用途があります。

タイヤローラーを操作するためには、法令に基づく免許・資格が必要です。免許・資格を取得することで安全な操作が行えるようになるだけでなく、現場の作業効率と品質向上にもつながります。必要な知識と技術を身につけることで、現場での信頼と安全を確保しつつ、効率的な作業を実現しましょう。

本記事を参考に、必要な免許・資格を取得し、定期的なメンテナンスを実施することで、タイヤローラーを安全かつ効果的に活用してください。また、タイヤローラーの操作に必要な免許・資格を取得する過程で、安全で適切な操作方法を身につけることで、作業現場での効率化と高品質な舗装を実現できます。

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