免許・資格 2024.07.12

建設機械・重機の免許・資格一覧!費用や日数、受験資格

重機とは重機械の略称で、主に建設現場や土木関係で使用される車両のことです。ショベルローダーやブルドーザーなど、整地や工事現場で使用されるものから、アスファルトフィニシャーのように道路を作る作業など、さまざまな場面で使用されます。

建設機械・重機によって、運転・操作に必要な免許・資格が違います。そこで本記事では、建設機械・重機の免許・資格一覧をご紹介します。求められる費用や日数、受験資格についても解説していますので、建設業界でのスキルアップを図る際もお役立てください。

建設機械・重機の免許・資格とは?

建設機械・重機の免許・資格

建設機械・重機の免許とは、建設現場で使用される各種機械・重機を安全に操作するために必要となる公的な資格のことです。実際に求められる免許・資格は、建設機械・重機に応じて異なる上に、作業するための資格と、移動させるための資格も違います。

例えば、フォークリフトやショベルローダー、移動式クレーンをはじめ、さまざまな建設機械・重機に対して、それぞれ資格が設けられています。

免許の取得は、操作者の技能を担保するだけでなく、作業現場の安全性を高めたり、効率的な作業を促進したりするためにも重要です。それぞれの資格には異なる要件がありますが、必要な講習を受けたり、一定の経験を積んだりすることが求められるのが一般的です。

免許の取得は、建設業界でキャリアを積む上でも重要なステップとなります。

免許、技能講習、特別教育とは?

免許と似たものに、技能講習や特別教育といった資格や教育もあります。本記事で紹介する建設機械・重機の免許・資格一覧で度々登場するので、整理しておきます。

特別教育とは、特定の危険性や有害を伴う業務を行う場合に必要となる専門的な教育のことです。現場でこれらの業務に従事する場合、特別教育を受けていることが必須となります。これには、直接その作業を行う作業員から、作業を監督する者まで含まれます。

特別教育の法的基盤は、労働安全衛生法の第59条に規定されており、事業者は危険または有害業務に従事する労働者に対して、事前に特別教育を実施する義務を負います。この教育は、労働者が安全に作業を行うために必要な知識と技術を提供することを目的とし、作業の種類に応じて定められた内容と期間で行われます。

技能講習は、特別教育と同様に、特定の危険性や有害を伴う業務を行う場合に必要となる資格です。特別教育と異なるのは、特定の機械や設備の操作に関する知識と技術を身につけさせるための教育というところです。例えば、重機の操作や危険物の取扱いなど、特別な技術を必要とする作業に対して行われます。

技能講習の法的基盤は、労働安全衛生法施行規則第36条により定められています。技能講習を修了することで「技能講習修了証明書」が発行され、この証明書によって特定の作業を法的に行う資格が与えられます

これら3つには、次のような階層的な関係が存在します。

  • 特別教育<技能講習<免許

特別教育、技能講習、および免許は、それぞれ異なる目的と要件で存在しますが、資格が提供する許可の範囲には階層的な側面があります。具体的には、より高度な資格がより基本的な資格を包含することがあります。

「免許」を持っている人は、通常、その免許に関連する「特別教育」および「技能講習」でカバーされる作業を行う資格も有しています。例えば、ある種の免許は、特定の技能講習や特別教育が求める基準を超える訓練や知識を提供するため、これにより免許保持者は下位の資格が要求される作業も合法的に実施することができます。この階層的な側面は、作業の危険度に応じて設定された資格や教育の要件に基づいています。

この構造は、労働者が安全で効果的に作業を行うために必要な知識とスキルを保証するためのものであり、特に高リスク作業においては重要です。各資格は、特定の業務や機械の安全な操作に必要な特定の能力を確認します。そのため、免許を持っている者が技能講習や特別教育の範囲にある作業を行うことが認められるのは、その免許が相応の訓練と評価を含んでいるためです。

例えば、「クレーン等の運転の業務」の中でも、細かな業務内容によって以下のように必要な資格や教育が異なります。

業務内容 必要な資格
つり上げ荷重5t以上の床上運転式クレーン 免許(クレーン・デリック運転士(床上運転式クレーン限定)免許)
つり上げ荷重5t以上の床上操作式クレーン 技能講習(床上操作式クレーン運転技能講習)
つり上げ荷重5t未満のクレーン又はつり上げ荷重5t以上の跨線テルハ 特別教育

基本的に、荷重が重くなるほど作業の危険度が増すので、求められる技術レベルも高まります。なので、より上位の業務である「つり上げ荷重5t以上の移動式クレーン」では、免許を持つ者でないと作業できないことになっているのです。

参考:中央労働災害防止協会「免許・技能講習等が必要な業務について」

建設機械・重機の免許・資格一覧

屋外のブルドーザーや油圧ショベル

ここからは、建設機械・重機に関する代表的な免許・資格として、以下の20個を取り上げます。

  • フォークリフト運転者
  • ショベルローダー等運転者
  • クレーン・デリック運転士
  • 移動式クレーン運転士
  • 高所作業車運転者
  • 特殊自動車免許
  • 車両系建設機械運転者
  • 非自走式基礎工事用建設機械運転者
  • 不整地運搬車運転者
  • 揚貨装置運転士
  • ゴンドラ操作者
  • 巻上げ機運転者
  • ジャッキ式つり上げ機械運転者
  • 締固め用機械運転者
  • 玉掛け作業者
  • 建設用リフト運転士
  • ボーリングマシン運転者
  • コンクリート圧送施工技能士
  • 特定自主検査者
  • 建設機械施工管理技士

ひとことに「建設機械・重機の免許・資格」といってもさまざまな種類がありますので、それぞれの特徴を把握したうえで取得を検討することをおすすめします。

フォークリフト運転者

男性がフォークリフトを運転して荷物を積み込む

フォークリフト運転技能者は、フォークリフトの運転に関する資格です。フォークリフトを運転するためには、そのフォークリフトの能力によって必要な資格が変わります。

業務内容 必要な資格
最大積載荷重1t以上のフォークリフトの運転 フォークリフト運転技能講習
最大積載荷重1t未満のフォークリフトの運転 フォークリフト運転特別教育

下表に、フォークリフト運転技能講習の概要をまとめました。

資格・教育の情報 内容
費用 【11時間コース】
受講料:23,100円(税込)、テキスト代:1,680円(税込)
【31時間コース】
受講料:42,900円(税込)、テキスト代:1,680円(税込)
日数 学科講習:1日間、実技講習:3日間
受講資格 ・11時間コース:普通自動車以上の運転免許証を有し、かつ1トン未満のフォークリフト特別教育を受け、その後3ヶ月以上の業務経験がある人
・31時間コース:普通自動車以上の運転免許を有する人
申込先 都道府県労働局長登録教習機関
参考HP 11時間コース
https://www.toukiren.or.jp/subject/guide.php?sub=13&sc=
31時間コース
https://www.toukiren.or.jp/subject/guide.php?sub=53&sc=

次に、フォークリフト運転特別教育の概要を示します。

資格・教育の情報 内容
費用 15,000円〜20,000円前後
日数 12時間(2日間)前後
受講資格 18歳以上
申込先 社内、社外の教習機関(都道府県労働局長登録教習機関など)

ショベルローダー等運転者

ショベルローダー等運転者は、特殊な建設機械であるショベルローダーやフォークローダー、ログローダーなどを操作したり、それを使って作業したりする際に必要な資格です。

これら「ショベルローダー等」を運転するためには、そのショベルローダー等の能力によって必要な資格が変動します。

業務内容 必要な資格
最大積載荷重1t以上のショベルローダー等の運転 ショベルローダー等運転技能講習
最大積載荷重1t未満のショベルローダー等の運転 ショベルローダー等運転特別教育

下表に、ショベルローダー等運転技能講習の概要をまとめました。

資格・教育の情報 内容
費用 受講料:55,000円、教材費2,200円(税込)
日数 通常35時間(6日間)
受講資格 18歳以上
申込先 都道府県労働局長登録教習機関
参考HP https://kyousyu.org/kousyu/shobe/

続いて、ショベルローダー等運転特別教育の概要を示します。

資格・教育の情報 内容
費用 受講料:15,000円前後、テキスト代:1,500円前後
日数 12時間(2日間)前後
受講資格 18歳以上
申込先 社内、社外の教習機関(都道府県労働局長登録教習機関など)

クレーン・デリック運転士

この資格は、クレーンやデリックを運転するために必要です。扱う建設機械・重機の種類によって、必要な資格が変動します。

業務内容 必要な資格
つり上げ荷重5t以上のクレーン(跨線テルハを除く)又はデリックの運転 クレーン・デリック運転士免許
つり上げ荷重5t以上のクレーン(跨線テルハを除く)の運転 クレーン・デリック運転士免許(クレーン限定)
つり上げ荷重5t以上の床上運転式クレーンの運転 クレーン・デリック運転士(床上運転式クレーン限定)免許
つり上げ荷重5t以上の床上操作式クレーンの運転 床上操作式クレーン運転技能講習
つり上げ荷重5t未満のクレーン又はつり上げ荷重5t以上の跨線テルハの運転 クレーンの運転特別教育
つり上げ荷重5t未満のデリック デリックの運転特別教育

クレーン・デリックの運転に関する免許はいくつかの種類に分かれますが、ここではクレーン・デリック運転士免許をピックアップし、その概要をまとめました。

資格・教育の情報 内容
費用 100,000円〜120,000円前後
試験内容・日数 【学科(通常13:30~16:00、2時間30分)】
・クレーン及びデリックに関する知識:10問(30点)
・関係法令:10問(20点)
・原動機及び電気に関する知識:10問(30点)
・クレーンの運転のために必要な力学に関する知識:10問(20点)【実技】
・クレーンの運転
・クレーンの運転のための合図
受験資格 18歳以上
申込先 公益財団法人安全衛生技術試験協会、各地の安全衛生技術センターなど
参考HP https://www.exam.or.jp/exmn/H_shikaku250.htm

続いて、床上操作式クレーン運転技能講習の概要を示します。

資格・教育の情報 内容
費用 受講料:28,000円 (税込)、テキスト代:1,705円(税込)
日数 通常学科2日間、実技1日間
受講資格 18歳以上
申込先 都道府県労働局長登録教習機関
参考HP https://cranekyokai.jp/guidance/regular/technical-floor/

最後に、クレーンの運転特別教育の概要をまとめました。

資格・教育の情報 内容
費用 受講料:10,000円〜12,000円(税込)、テキスト代:1,705円(税込)
日数 通常2日間(学科、実技含む)
受講資格 18歳以上
申込先 社内、社外の教習機関(都道府県労働局長登録教習機関など)
参考HP https://cranekyokai.jp/guidance/regular/special/

移動式クレーン運転士

移動式クレーンを運転するために必要な資格です。なお、これはあくまでも移動式クレーンの操作に必要な免許であって、公道で移動式クレーンを運転するためには別途運転免許証が必要になる点には注意しましょう。

扱う建設機械・重機の種類によって、必要な資格が変動します。

業務内容 必要な資格
つり上げ荷重5t以上の移動式クレーンの運転 移動式クレーン運転士免許
つり上げ荷重1t以上5t未満の移動式クレーンの運転 小型移動式クレーン運転技能講習
つり上げ荷重1t未満の移動式クレーンの運転 移動式クレーンの運転特別教育

下表に、移動式クレーン運転士免許の概要をまとめました。

資格・教育の情報 内容
費用 130,000円〜160,000円前後
試験内容・日数 【学科(13:30~16:00、2時間30分)】
・移動式クレーンに関する知識:10問(30点)
・原動機及び電気に関する知識:10問(30点)
・関係法令:10問(20点)
・移動式クレーンの運転のために必要な力学に関する知識:10問(20点)【実技(時間は午前・午後に分けて受験票に記載)】
・移動式クレーンの運転
・移動式クレーンの運転のための合図
受験資格 18歳以上
申込先 公益財団法人安全衛生技術試験協会、各地の安全衛生技術センターなど
参考HP https://www.exam.or.jp/exmn/H_shikaku232.htm

続いて、小型移動式クレーン運転技能講習の概要を示します。

資格・教育の情報 内容
費用 25,000円〜50,000円前後
日数 通常20時間(学科13時間、実技7時間)
受講資格 18歳以上
申込先 都道府県労働局長登録教習機関

最後に、移動式クレーンの運転特別教育の概要をまとめました。

資格・教育の情報 内容
費用 15,000円〜20,000円前後
日数 【学科】
移動式クレーンに関する知識:3時間
原動機及び電気に関する知識:3時間
運転のために必要な力学に関する知識:2時間
関係法令:1時間【実技】
移動式クレーンの運転:3時間
移動式クレーンの運転のための合図:1時間
受講資格 18歳以上
申込先 社内、社外の教習機関(都道府県労働局長登録教習機関など)
参考HP https://www.komatsu-kyoshujo.co.jp/KkjReservation/Subjects/special/CourseDetailSpecialMobileCrane.aspx

玉掛け作業者

玉掛け作業をしているヘルメットを被った二人の男性

クレーン作業において、荷物をつり上げる際に必要となる資格です。玉掛けの業務内容によって、必要な資格が変わります。

業務内容 必要な資格
制限荷重1t以上の揚貨装置又はつり上げ荷重1t以上のクレーン、移動式クレーン若しくはデリックの玉掛け 玉掛け技能講習
つり上げ荷重1t未満のクレーン、移動式クレーン又はデリックの玉掛け 玉掛け特別教育

下表に、玉掛け技能講習の概要をまとめました。

資格・教育の情報 内容
費用 40,000円前後
日数 30時間(3日間)
講習内容 【学科(18時間)】
・クレーン、移動式クレーン、デリック及び揚貨装置に関する知識
・クレーン等の玉掛けに必要な力学に関する知識
・クレーン等の玉掛けの方法
・関係法令【実技(12時間)】
・クレーン等の玉掛け
・クレーン等の運転のための合図
受講資格 18歳以上
申込先 都道府県労働局長登録教習機関

次に、玉掛け特別教育の概要を示します。

資格・教育の情報 内容
費用 20,000円前後
日数 10時間(2日間)
講習内容 【学科(6時間)】

・クレーン等に関する知識
・クレーン等の玉掛けの方法
・クレーン等の玉掛けに必要な力学に関する知識
・関係法令

【実技(4時間)】
・クレーン等の玉掛け
・クレーン等の運転のための合図

受講資格 18歳以上
申込先 社内、社外の教育機関(都道府県労働局長登録教習機関など)

高所作業車運転者

高所で作業する高所作業車運転者

高所作業車運転者は、高所作業車を運転するために必要な資格です。「高所作業車運転技能講習」を修了すると作業床の高さが10m以上の全ての高所作業車を、「高所作業車の運特別教育」を修了すると作業床の高さが2m以上・10m未満の高所作業車を運転できるようになります。

下表に、高所作業車運転技能講習の概要をまとめました。

資格・教育の情報 内容
費用 受講料:40,000円〜45,000円前後、テキスト代:2,000円前後
日数 12時間〜17時間(2日〜3日)前後
講習時間割 【17時間コースの例】

(1日目)8:30~11:40
原動機に関する知識(学科3時限)

(2日目)8:30~18:40
作業に関する装置の構造、取扱い及び作業方法に関する知識(学科5時限)、関係法令(学科1時限)、運転に必要な一般的事項に関する知識(学科2時限)学科試験

(3日目)8:30~16:30
作業のための装置の操作(実技6時限)実技試験

受講資格 18歳以上
申込先 都道府県労働局長登録教習機関

続いて、高所作業車の運転特別教育の概要を示します。

資格・教育の情報 内容
費用 15,000円前後(テキスト代込み)
日数 9時間(2日間)前後
受講資格 18歳以上
申込先 社内、社外の教習機関(都道府県労働局長登録教習機関など)

大型特殊自動車免許

大型特殊自動車免許とは、クレーン車やフォークリフト、ショベルローダーといった特定の目的で使われる大型の車両を公道で走行するために必要な免許のことです。大型特殊自動車を使って実際に作業するためには、別途「作業免許」(本記事で紹介している免許・資格)の取得も求められます。

また、大型特殊自動車免許の取得だけでは、普通自動車を運転できない点にも注意しましょう。普通自動車を運転するためには、普通免許、準中型免許、中型免許、大型免許のいずれかが必要です。普通免許をすでに取得している場合、大型特殊自動車免許の教習期間が短縮されます。

大型特殊車両は第一種・第二種の2つに分けられますが、これらの違いは「お客さんを乗せて走行するかどうか」にあります。2024年5月現在、国内で第二種の免許を活用できる車両はありませんので、ほとんどのケースでは第一種の免許の取得で問題ありません。

大型特殊自動車免許と同じ特殊自動車免許の中には、小型特殊自動車免許も存在します。小型特殊自動車免許については、すでに普通免許や普通二輪免許を持っている場合、下位免許に該当するため、新たに取得しなくても小型特殊自動車の運転が可能です。

小型特殊自動車に当たるのは、工場や作業所などで使用する特殊な構造を持つ車両の場合、全長4.7m以下、全幅1.7m以下、全高2.8m以下、最高速度時速15km以下の車両です。

普通免許、準中型免許、中型免許、大型免許などをすでに取得している場合、小型特殊自動車や原動機付自転車の運転が可能なので、これらの免許を取得してから大型特殊自動車免許の教習を受講するのがおすすめです。

なお、後述する「車両系建設機械運転者」の資格取得にあたって受ける「車両系建設機械技能講習」にかかる日数は、大型特殊自動車免許を取得しているかどうかで変動します。

大型特殊自動車免許を持っていない場合、技能講習の日数は38時間(6日間)です。これに対して、大型特殊自動車免許を持っている場合、講習日数が14時間(2日間)で済みます。

資格・教育の情報 内容
費用 教習所での取得:7~13万円前後
一発試験での取得:6,000円前後
日数 1日〜17日間程度
受講資格 ・18歳以上
・視力:両眼0.7以上、片眼0.3以上(片眼の視力が0.3に満たない場合は、他眼の視野が150度以上 ※眼鏡・コンタクト可)
・赤、青、黄の色彩の識別ができる
・10mの距離で90dBの警報器の音が聞こえる(補聴器で補われた聴力も含む)
・自動車の運転に支障を及ぼすおそれがある四肢もしくは体幹の障害がない
申込先 大型特殊自動車免許の取り扱いがある自動車教習所

参考:大阪府警察「免許の種類と運転できる自動車など」

車両系建設機械運転者

屋外で作業する車両系建設機械

広範囲にわたる建設機械・重機を扱えるようになる資格です。大まかに以下3つの種類に分かれています。

  • 車両系建設機械(整地・運搬・積込み用及び掘削用)
  • 車両系建設機械(基礎工事用)
  • 車両系建設機械(解体用)

これら3種類について、それぞれ技能講習と特別教育の資格が用意されています。

業務内容 必要な資格
機体重量3t以上の整地・運搬・積込み用機械、掘削用機械の運転 車両系建設機械(整地等)運転技能講習
機体重量3t未満の整地・運搬・積込み用機械、掘削用機械の運転 小型車両系建設機械(整地等)運転特別教育
機体重量3t以上の基礎工事用機械の運転 車両系建設機械(基礎工事用)運転技能講習
機体重量3t未満の基礎工事用機械の運転 小型車両系建設機械(基礎工事用)運転特別教育
機体重量3t以上の解体用機械の運転 車両系建設機械(解体用)運転技能講習
機体重量3t未満の解体用機械の運転 小型車両系建設機械(解体用)運転特別教育

このうち、「車両系建設機械(整地等)運転技能講習」をピックアップし、その概要をまとめました。

資格・教育の情報 内容
費用 50,000円〜110,000円前後
日数 14時間〜38時間(2日〜6日間)前後
講習時間割 【38時間コースの例】

(1日目)8:30~12:40
・走行に関する装置の構造及び取扱いの方法に関する知識 (学科4時間)

(2日目)8:30~17:40
・作業に関する装置の構造、取扱い及び作業方法に関する知識(学科5時間)
・運転に必要な一般的事項に関する知識(学科3時間)

(3日目)8:30~17:30
・関係法令(学科1時間)
・学科試験
・作業のための装置の操作(実技5時間)
・走行の操作(実技合計20時間)

(4日目)8:30~17:00
・走行の操作

(5日目)8:30~17:00
・走行の操作

(6日目)8:30~15:20
・走行の操作
・実技試験

受講資格 18歳以上
申込先 都道府県労働局長登録教習機関

続いて、小型車両系建設機械(整地等)運転特別教育の概要を示します。

資格・教育の情報 内容
費用 20,000円前後
日数 13時間(2日間)前後
受講資格 18歳以上
申込先 社内、社外の教習機関(都道府県労働局長登録教習機関など)

非自走式基礎工事用建設機械運転者

建築現場に欠かせない杭打ち機や杭抜き機などでの業務に必要な資格です。具体的には、「基礎工事用建設機械の運転特別教育」の資格が設けられています。

下表に、基礎工事用建設機械の運転特別教育の概要をまとめました。

資格・教育の情報 内容
費用 15,000円〜25,000円前後
日数 12時間(2日間)前後
講習内容 【学科】
・基礎工事用建設機械に関する知識と運転に必要な知識など【実技】
・基礎工事用建設機械の運転と運転のための合図
受講資格 18歳以上
申込先 社内、社外の教習機関(都道府県労働局長登録教習機関など)

不整地運搬車運転者

不整地運搬車の操作に必要な資格です。不整地運搬車は、土木現場だけでなく、足場の悪い場所にある店などへ荷物を搬送する際にも活躍します。

扱う建設機械・重機の種類によって、必要な資格が変動します。

業務内容 必要な資格
最大積載量1t以上の不整地運搬車の運転 不整地運搬車運転技能講習
最大積載量1t未満の不整地運搬車の運転 不整地運搬車運転特別教育

下表に、不整地運搬車運転技能講習の概要をまとめました。

資格・教育の情報 内容
費用 40,000円~110,000円前後
日数 11時間~35時間(2日〜5日)
講習内容 学科:11時間、実技:24時間
受講資格 18歳以上
申込先 都道府県労働局長登録教習機関

次に、不整地運搬車運転特別教育の概要を示します。

資格・教育の情報 内容
費用 16,000円前後
日数 12時間(2日)
講習内容 学科:6時間、実技:6時間
受講資格 18歳以上
申込先 社内、社外の教習機関(都道府県労働局長登録教習機関など)

揚貨装置運転士

主に船舶に装備されているクレーンやデリックの操作に必要な資格です。扱う建設機械・重機の種類によって、必要な資格が変わります。

業務内容 必要な資格
制限荷重5t以上の揚貨装置の運転 揚貨装置運転士免許
制限荷重5t未満の揚貨装置の運転 揚貨装置運転特別教育

下表に、揚貨装置運転士免許の概要をまとめました。

資格・教育の情報 内容
費用 受験手数料:14,000円
試験内容・日数 【学科(13:30~16:00、2時間30分)】

・揚貨装置に関する知識:10問(30点)
・関係法令:10問(20点)
・原動機及び電気に関する知識:10問(20点)
・揚貨装置の運転のために必要な力学に関する知識:10問(30点)

【実技(時間は午前・午後に分けて受験票に記載)】
・揚貨装置の運転
・揚貨装置の運転のための合図

受験資格 18歳以上
申込先 公益財団法人安全衛生技術試験協会、各地の安全衛生技術センターなど
参考HP https://www.exam.or.jp/exmn/H_shikaku212.htm

次に、揚貨装置運転特別教育の概要を示します。

資格・教育の情報 内容
費用 15,000円〜20,000円前後
日数 1日〜2日間
講習内容 ・揚貨装置に関する知識:4時間
・揚貨装置の運転のために必要な力学に関する知識:4時間
・原動機及び電気に関する知識:2時間
・関係法令:1時間
受講資格 18歳以上
申込先 社内、社外の教習機関(都道府県労働局長登録教習機関など)

ゴンドラ操作者

ゴンドラに乗って作業するゴンドラ操作者

清掃やメンテナンス用、建設用などのゴンドラを操作するために必要な資格です。具体的には、「ゴンドラ取扱特別教育」の資格が設けられています。

下表に、ゴンドラ取扱特別教育の概要をまとめました。

資格・教育の情報 内容
費用 8,000円前後(受講料、テキスト代含む)
日数 3時間半(1日間)前後
講習内容 ・ゴンドラに関する知識
・ゴンドラの操作・合図及び点検
・ゴンドラの操作のために必要な電気に関する知識
・関係法令
・修了証の交付
受講資格 18歳以上
申込先 社内、社外の教習機関(都道府県労働局長登録教習機関など)

巻上げ機運転者

電気ホイストやエアーホイストなど、動力駆動の巻上げ機(ゴンドラに係る動力駆動の巻上げ機以外)の操作に必要な資格です。具体的には、「巻上げ機運転特別教育」の資格が設けられています。

下表に、巻上げ機運転特別教育の概要をまとめました。

資格・教育の情報 内容
費用 10,000円〜20,000円前後
日数 1日〜2日間
講習内容 ・学科:6時間、実技:4時間

・巻上げ機の構造や原理、安全に関する知識と技能等について

受講資格 18歳以上
申込先 社内、社外の教習機関(都道府県労働局長登録教習機関など)

ジャッキ式つり上げ機械運転者

ジャッキ式つり上げ機械の運転・操作に必要な資格です。具体的には、「ジャッキ式つり上げ機械の調整又は運転特別教育」の資格が設けられています。

下表に、ジャッキ式つり上げ機械の調整又は運転特別教育の概要をまとめました。

資格・教育の情報 内容
費用 15,000円〜20,000円前後
日数 4時間
講習内容 学科:6時間、実技:4時間
受講資格 18歳以上
申込先 社内、社外の教育機関(都道府県労働局長登録教習機関など)

締固め用機械運転者

締固め用建設機械(ローラー)で道路を整地している

ロードローラーや道路舗装用の小型機、タイヤローラーなどの運転に必要な資格です。具体的には、「締固め用建設機械(ローラー)の運転特別教育」の資格が設けられています。

下表に、締固め用建設機械(ローラー)の運転特別教育の概要をまとめました。

資格・教育の情報 内容
費用 20,000円前後
日数 10時間(2日間)前後
講習内容 【学科】
・締固め用機械(ローラー)に関する知識
・締固め用機械(ローラー)の運転に必要な一般的事項に関する知識
・関係法令【実技】
・締固め用機械(ローラー)の運転方法
受講資格 18歳以上
申込先 社内、社外の教育機関(都道府県労働局長登録教習機関など)

建設用リフト運転士

建築現場で利用される建機の中に、人は載せられない建設用リフトと呼ばれるエレベーターがあります。この建設用リフトを使って実際に作業するのに必要な資格が「建設用リフト運転士」です。具体的には、「建設用リフト特別教育」という資格が設けられています。

下表に、建設用リフト特別教育の概要をまとめました。

資格・教育の情報 内容
費用 10,000円前後(テキスト代込み)
日数 9時間(1日〜2日間)
講習内容 【学科】
・建設用リフトに関する知識
・建設用リフトの運転のために必要な電気に関する知識
・関係法令【実技】
・実技教育
受講資格 18歳以上
申込先 社内、社外の教育機関(都道府県労働局長登録教習機関など)

ボーリングマシン運転者

ボーリングマシン運転者とは、トンネルや井戸などを掘削する際に使うボーリングマシンを運転する作業員のことです。具体的には、「ボーリングマシンの運転特別教育」の資格が設けられています。

下表に、ボーリングマシンの運転特別教育の概要をまとめました。

資格・教育の情報 内容
費用 8,000円〜15,000円前後
日数 15時間(2日間)前後
講習内容 【学科】
・ボーリングマシンに関する基礎知識・構造
・ボーリングマシンに関する運転及び点検・整備
・ボーリングマシンに関する運転及び点検・整備
・ボーリングマシンに必要な力学と電気の知識
・ボーリングマシンによる施工
・関係法令・災害事例【実技】
・ボーリングマシンの運転のための合図
・ボーリングマシンの運転実技
受講資格 18歳以上
申込先 社内、社外の教育機関(都道府県労働局長登録教習機関など)

コンクリート圧送施工技能士

コンクリート圧送に関する技術を客観的に証明する資格です。技能士とは、技能検定に合格した者に与えられる国家資格です。

コンクリート圧送施工技能士の資格には、2級と1級の2種類があります。コンクリート圧送施工技能士の資格を取得すれば、「とび・土木・コンクリート工事」の専任技術者になれます。1級は合格してすぐ、2級は合格後1年の実務経験を経て専任が可能となります。

下表に、コンクリート圧送施工技能士の資格概要をまとめました。

資格・教育の情報 内容
費用 学科:3,000円前後、実技:16,000円前後
日数 4日間
検定内容 実技試験(判断等試験・計画立案等作業試験からなる)と学科試験

2級
【学科】

1. 建設一般
・建築構造の種類
・土木構造物の種類
・鉄筋の種類及び組立て方法
・型枠及び型枠支保工の種類、構造及び特徴
・建設の用語
2. 施工法
・コンクリート圧送工事に使用する機械及び器工具の種類、用途及び使用方法
・コンクリート圧送工事の施工方法
・配管作業の方法
・ブーム作業の方法
・コンクリート圧送工事作業の方法
・コンクリートポンプの整備及び保全の方法
・関連工事の種類及び施工方法
3. 材料
・コンクリートの種類、性質及び特徴
・関連工事用材料の種類、特徴及び用途
4. コンクリートの圧送性
・コンクリートの圧送性
5. 製図
・日本工業規格の建築製図通則及び土木製図通則
6. 関係法規
・建築基準法関係法令、建設業法関係法令及び道路交通法関係法令のうち、コンクリート圧送工事に関する部分
7. 安全衛生
・安全衛生に関する詳細な知識

受験資格 1級:実務経験のみの場合、7年間の実務経験
2級合格者であれば、2級合格後の2年間の実務経験
2級:実務経験のみの場合、2年間の実務経験
申込先 各都道府県の職業能力開発協会
参考HP https://www.zenatsuren.com/publics/index/72/

特定自主検査者

定期自主検査を行わなければならない機械のうち、建設機械(例:油圧ショベル)や荷役運搬機械(例:フォークリフト)など特定の機械については、1年以内に1回(不整地運搬車は2年に1回)、一定の資格を持つ検査者(特定自主検査者)が行う検査を受けなければなりません。この検査を「特定自主検査」と呼んでいます。

特定自主検査が行える資格には以下の2つがあります。

  • 事業内検査者・・・自社の保有するフォークリフトのみ特定自主検査を行える
  • 検査業者検査員・・検査業者として依頼を受け、お客さんの保有するフォークリフトの特定自主検査を行える

特定自主検査者になるためには、労働安全衛生法が定める研修及び検査実習を修了する必要があります。事業内検査者は「事業内検査者資格取得研修」、検査業者検査員は「検査業者検査員資格取得研修」をそれぞれ修了しなければなりません。

下表に、事業内検査者の資格概要をまとめました。

資格・教育の情報 内容
費用 研修:50,000円〜80,000円前後、実習:35,000円〜50,000円前後
日数 合計21時間(4日間)〜49時間(10日間)前後
研修内容 【学科】
・当該機械の検査に必要な一般的事項に関する知識
・当該機械の検査の方法に関する知識
・分解及び組立ての方法、検査の手順、検査機器の使用方法、各部分の異常の有無の判定方法
・関係法令【実技】
・当該機械の検査の方法〔分解・組立ての方法、検査の手順、検査機器の使用方法及び判定を行うこと〕
実習内容 【記録表作成(座学・実技)】

・特定自主検査と補修に関する知識
・法令と災害事例
・検査及び検査機器に関する知識
・記録表記入演習

受験資格 整備士資格もしくは一定の運転・点検・整備の経験
申込先 公益財団法人 建設荷役車両安全技術協会および全国の各支部
参考HP https://www.sacl.or.jp/trainings/#jitsumu

建設機械施工管理技士

建設機械施工管理技士は、直接的に建機・重機の運転技術に関連するものではありませんが、建設プロジェクトの管理・監督を行うために必要な資格ですので取り上げています。

建設現場における機械の効率的な使用、作業の進行管理、安全管理などを担う技術者を認定する資格です。資格取得には、施工管理の専門知識と技能などが求められます。

建設機械施工管理技士の資格には、2級と1級の2種類があります。1級の場合は建設機械を使った施工の指導や監督の業務を行え、大規模な建設現場における主任技術者と監理技術者になることも可能です。扱える機械の制約がなく、2級と比べると業務の幅が広いです。

下表に、建設機械施工管理技士の資格概要をまとめました。

資格・教育の情報 内容
費用 【2級】
合計:41,800円~83,600円(目安)【1級】
合計:34,200~53,400円(目安)
日数 3日間
検定内容 2級
【第1次検定】
・四肢択一形式のマークシート方式
・土木工学、建設機械原動機、石油燃料、潤滑剤、法規、建設機械施工法の6分野から「共通問題」と「種別問題」に分けて出題【第2次検定】
・下記の建設機械から受験科目を選択し試験
・第1種(ブルドーザー)、第2種(油圧ショベル)、第3種(モータ・グレーダ)、第4種(ロード・ローダ)、第5種(アスファルト・フィニッシャ)、第6種(アースオーガ)
受験資格 一定の学歴および、それに応じた年数の実務経歴
申込先 建設管理センター
参考HP https://www.ecc-jp.com/w/kikai01.html

建設機械・重機を無免許無資格で運転したら?

建設機械・重機の運転・操作

一般的なトラックなどと違って建設機械・重機は、特殊な作業を行うために造られた機器です。操作や運転に危険が伴うおそれがあるため、法律によって就業制限の規定が設けられていたり、取り扱いにあたって免許・資格が求められたりするケースがほとんどです。

万が一、免許・資格を持っていない人が操作・運転をすると法律違反にあたります。操作・運転をさせた事業主も違法となるのでご注意ください。

免許・資格を持っていない人が重機・建機の操作・運転をした場合、具体的には以下の罰則が課されます。

  • 事業主:6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金
  • 作業者:50万円以下の罰金

作業現場などで免許・資格を携帯していない場合も罰せられる可能性がありますので、必ず携帯しておきましょう。

まとめ

建設機械・重機の免許・資格は数え切れないほど多くの種類があります。同じような講習名でも操作できる大きさの制限があったり、特定の重機のみに対応した資格などがあったりしますのでご注意ください。

とはいえ、建設機械・重機の免許・資格は、建設現場の作業で必要不可欠なものです。何の免許も持っていなければ、仕事の幅は狭くなり今後、給料面でも役職面でもランクアップするのは難しいでしょう。

そのため、キャリアアップを目指すならば、さまざまな資格を取得し、仕事の幅を広げていくことも大切です。併せて取得すれば講習時間が減ったり、料金が安くなったりする資格もあるので、積極的に資格取得を目指すことをおすすめします。

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