重機・建機の種類 2026.02.20

重機トレーラーとは?種類・用途・仕組み・必要な免許を解説

建設工事や土木作業の主役といえば、ブルドーザーや油圧ショベルといった大型重機です。これらの重機は、法規制の関係で公道を自走できないため、公道を使って移動するためには、別途運搬手段が必要になります。その移送に主として用いられるのが重機トレーラーです。

重機トレーラーは、大型重機を安全かつ効率的に輸送するために設計された専用トレーラーです。

本記事では、重機トレーラーの仕組みや代表的な種類、活用される場面、必要となる免許、セルフローダーやセーフティーローダーとの違いまでを詳しく整理します。建設業で重機輸送に携わる方や、免許取得を考えている方は参考にしてください。

重機トレーラーとは?

重機トレーラーが公道を走行する様子

重機トレーラーとは、ブルドーザーや油圧ショベルといった大型重機や重量物を輸送するために設計された特殊なトレーラーのことです。

大型重機は自走速度が遅く、公道での走行にも制限があります。公道を使った移動が必要な場合は専用の運搬手段が必要となり、その中心的役割を担うのが重機トレーラーです。

通常の貨物トラックとは異なり、重機トレーラーは低床構造や強化されたシャーシを備え、数十tに及ぶ荷重にも対応できるよう作られています。また、走行時の安定性を確保するため、多軸レイアウトやエアサスペンションなどの特殊機構を搭載している点も特徴です。

近年は道路環境や環境規制への対応も進み、軽量素材の採用や燃費性能の改善が図られています。加えて、電動ウインチや制動・安定制御の補助機構なども導入され、重機トレーラーは安全性と効率性を両立する輸送プラットフォームとして位置付けられています。

重機トレーラーの種類

重機トレーラーにはさまざまな種類があり、設計や運用の観点から「連結形態」と「荷台構造」という2つの軸で分類されます。この2軸を理解しておくことで、用途や現場条件に応じた最適なトレーラーの種類を選定しやすくなります。

重機トレーラーの種類は大きく分けて、次の2軸に整理されます。

  • 連結形態(セミトレーラー/フルトレーラー)
  • 荷台構造(低床式〈ローローダー〉/フラット/ショートなど)

例えば、低床式は「荷台構造」の呼称であり、国内では多くがセミトレーラー形態と組み合わされています。選定時は、連結形態(道路条件・取り回し・連結脱着の運用)と荷台構造(全高制限・積み降ろし方法・重心)を別軸で評価することが重要です。

連結形態による種類

「連結形態」は、けん引車(トラクターヘッド)と荷台部分の接続方法によって分類されます。重機輸送で使われる代表的な種類は、セミトレーラーとフルトレーラーの2種類です。

セミトレーラー

積み荷作業を行うセミトレーラー

セミトレーラーは、けん引車(トラクターヘッド)と切り離せる構造を持つ種類のトレーラーで、重機輸送でも主流の一つです。

日本では、このセミトレーラー形態に低床構造(ローローダー)を組み合わせるケースが多く、全高制限の回避や安定性確保の観点から採用が広がっています。

フルトレーラー

フルトレーラーは、けん引車と荷台が独立しており自立性に優れた種類のトレーラーです。ただし、日本の都市部は交差点半径や路地幅が狭く、連結全長や内輪差の面で取り回し負担が増えやすいため、国内ではセミトレーラーが中心的に使われています。

また、連結や切り離しのオペレーションコスト、ドライバー育成、車庫要件なども相対的に高く、結果として国内の重機輸送では低床式セミトレーラーの種類が主流になっています。

荷台構造による種類

「荷台構造」は、積載物の大きさや重量、積み降ろし方法に応じて設計された構造的な違いを指します。重機トレーラーの種類としては、低床式(ローローダー)とショートタイプが代表的です。

低床式トレーラー(ローローダー)

公道を走行する低床式トレーラー

日本では、道路法に基づく一般的な車両高さの制限値は3.8mとされており、一部の「高さ指定道路」に限って4.1mまで通行できるルートが設定されています。 橋梁や高架下のクリアランス、都市部の狭い道路事情を踏まえると、こうした制限を踏まえつつ全高を抑えやすい低床式トレーラー(ローローダー)が選ばれるケースが多く見られます。

荷台を低くすることで全高を法規内に収めやすく、重心も下がるため転倒リスクや横風の影響を抑えられます。そのため、背の高い重機を安定かつ法令に適合した状態で運べる低床式が、国内の重機輸送の中心的な種類とされています。

そのため、重機輸送において最も多く採用されている種類です。道路の高さ制限を回避しやすく、重心が下がることで走行安定性が高まるため、油圧ショベルやクレーンなどの大型重機の輸送に適しています。

ショート重機トレーラー

ショート重機トレーラーを使った作業現場

ショートタイプは全長が短く、取り回しがしやすい種類のトレーラーです。狭い市街地や再開発現場など、進入経路が限られる場所で選ばれることが多く、安全性と作業効率の両面で利便性が高い種類です。

特に路地幅5~6m程度の生活道路や仮設動線が限られる現場では、通常長のローローダーより切り返し回数を減らせるため、作業時間の短縮にもつながります。

多くの現場では国内道路事情を踏まえて低床式セミトレーラーが広く利用されていますが、搬入経路や現場スペースによってはショートタイプなどが選ばれることもあります。現場条件や輸送距離に応じて、この2軸を組み合わせて最適な重機トレーラーの種類を選定することが重要です。

なお、重機トレーラー以外にもセルフローダーやセーフティーローダーといった重機運搬車が存在します。これらの車両の違いや必要な免許について詳しく知りたい方は、併せて以下の記事も参考にしてください。

重機運搬車とは?用途や種類、必要な免許・資格をわかりやすく解説

重機トレーラーの用途

重機トレーラーを運用する際は、種類ごとの特徴を理解するだけでなく、実際にどのような現場で役立っているのかを把握しておくことも重要です。利用シーンを把握することで、建設業務における導入の必要性を具体的に把握できます。

主な利用シーンは、以下のとおりです。

利用シーン 詳細
建築工事 建物の基礎づくりや大型施設建設に必要なブルドーザーや油圧ショベルの搬入に使用されます。
道路工事・インフラ整備 アスファルトフィニッシャーやロードローラーといった道路施工用重機の主要な輸送手段です。
解体現場 鉄骨カッター付きの大型解体機を安全に現場へ届ける際に利用されます。
重量物輸送 工業用プレス機や発電設備など、重機以外の大規模資材を運ぶ場面でも活躍します。

重機トレーラーの活用により、以下のような運用上の利点が生まれます。

  • 非自走機械を自走許可や仮設走行路を用意せず一括搬入できる
  • 同一便で複数の重機・資材を同時回送できる
  • 大型機でも低床で全高制限を回避しやすく深夜帯に計画搬入しやすい

結果として、段取り時間の短縮、回送回数・人件費・燃料費・道路占用時間の削減につながり、工期とコストの圧縮に寄与します。

重機トレーラーの仕組み

油圧ショベルを運搬する重機トレーラー

用途を理解できたところで、なぜ重機トレーラーが安全に大型重機を運搬できるのか、その仕組みに目を向けてみましょう。以下に、主な仕組みと特徴をまとめました。

仕組み 特徴
低床設計 荷台を通常より低くすることで重心が下がり、背の高い重機でも安定した状態で運搬可能です。
スロープ・ランプ 後方に傾斜板を備え、重機を自走で積み込める仕組みを採用しています。
ウインチ・油圧機構 自走できない機械を巻き上げて積載できるよう、強力な引き上げ装置を搭載しています。
複数軸構造 複数の車軸に荷重を分散し、路面や橋梁への負担を軽減しています。
トラクターヘッドとの連携 トラクターヘッドの強力なエンジン出力を生かし、安全にけん引できます。

最近のモデルの一部では、油圧リフトや自動水平制御を採用し、荷役時の安定性や段取りを改善しています。また、積載重量や軸重を測定するセンサーや記録装置を備えるタイプもあり、道路法の車両制限や道路交通法の積載制限の順守を支援するケースも見られます。

さらに、車両側のテレマティクスで稼働・積載ログを残すことで、走行前点検や過積載の未然防止、是正対応のエビデンス取得にも役立ちます。

重機トレーラーと似た車両

重機を運ぶ手段は重機トレーラーだけではありません。実務では「セルフローダー」や「セーフティーローダー」といった車両も利用されています。これらはけん引式のトレーラーではなく、車両と荷台が一体となったタイプである点が特徴です。

ここからは、セルフローダーとセーフティーローダーの概要を紹介しますので、重機トレーラーとの違いを把握しておきましょう。

セルフローダー

荷降ろしを行うセルフローダー

セルフローダーは積み下ろしの簡便さが強みですが、積載重量・全長・全高に制約があるため、現場の大型化や長距離回送の需要、安全基準の見直しなどに伴い、より積載対応幅の広い低床セミトレーラーを選ぶ事業者も見られます。

市街地の短距離搬送や小回り重視の案件ではセルフローダー、重量級や長距離・夜間搬入では低床セミトレーラーといった使い分けが一般的です。

セーフティーローダー

公道を走行するセーフティーローダー

セーフティーローダーは荷台が地面近くまで下がる構造で、接地角度が小さくなるため、低床や短ホイールベースの車両でも底打ちしにくい傾向があります。フォークリフトや高所作業車、除雪機など地上高が低い小型特殊車両の積み降ろしに向きますが、装置の構造上、積載重量や荷台寸法に上限があり、大型重機には適しません。

セルフローダーやセーフティーローダーは取り回しや安全性の面で便利ですが、大規模重機や長距離輸送には対応できないため、現場条件や輸送距離に応じて重機トレーラーと使い分けられています。

重機トレーラーの運転に必要な免許

重機トレーラーは一般的な貨物トラックよりも大きく、重量もあるため、運転には特別な免許が求められます。重機トレーラーの運転には、基本的に大型自動車免許とけん引免許が必要です。

それぞれの免許について、順番に詳しく解説します。

大型自動車免許

大型自動車免許は、車両総重量11t以上、最大積載量6.5t以上、乗車定員30人以上のいずれかを満たす車両を運転する際に求められます。免許取得の主な条件として、原則は21歳以上・通算3年以上の運転経験などが挙げられます。

学科と実技の試験があり、特に実技では車幅感覚や後退操作、大型特有の死角対応などが問われます。重機トレーラーをけん引するトラクターヘッドを運転するために求められる免許です。

参考:国土交通省「自動車の種類」

けん引免許

けん引免許は、トレーラーをけん引して走行する際に必須となる免許です。けん引対象の車両総重量が750kgを超える場合には必要となり、重機輸送で使用される低床式トレーラーなどは対象となります。

取得試験では、直線走行やカーブだけでなく、バックでの接車、S字やクランク走行など高度な操作が課されます。なお、けん引免許には2つの種類があり、重機輸送で必要となるのはけん引一種免許です。

このように、大型自動車免許とけん引免許の取得は重機トレーラーを運転するための必要条件であり、どちらも実技試験の難度が高いため、一般的には有資格の熟練ドライバーを配置する体制が望ましいとされています。

まとめ

重機トレーラーでは低床式(ローローダー)が多く用いられています。利用場面は多岐にわたり、建設工事や道路整備、解体工事に加え、大型資材や産業機械といった重量物の輸送にも用いられます。荷台を低くした構造やスロープ、油圧装置などを備えているため、大型重機でも安定して積み下ろし・運搬が可能です。

一方で、セルフローダーは中小型重機を市街地や近距離で運ぶ際に使われ、セーフティーローダーはフォークリフトや高所作業車といった小型建機を安全に載せるのに適しています。これらは、用途や距離に応じて重機トレーラーを補完する役割を果たしています。

なお、重機トレーラーの運転には大型自動車免許やけん引免許といった資格が必須です。道路交通法や各種規制を遵守し、安全かつ効率的に運用しましょう。

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