重機・建機の種類 2024.08.13

フォークリフトの種類とは?構造・機能、動力、タイヤ別に解説[選び方あり]

整列している様々な種類のフォークリフト

建設現場や物流現場、製造現場などにおいては、人の手の届かない高さに置かれている物や、人力では動かせない重量の物を出し入れする必要があります。そのような現場で重宝されているのが、フォークリフトです。

フォークリフトにはさまざまな種類があり、それぞれに用途や特徴が異なります。フォークリフトを適切に選び、効率的に運用するためには、各種類の特徴や機能を理解することが重要です。

そこで本記事では、フォークリフトの種類を構造・機能、動力、タイヤ、操縦方式別に詳しく解説し、選び方のポイントも紹介します。初めてフォークリフトを選ぶ方だけでなく、すでに使用している方にとっても有益な情報を提供しますので、ぜひ参考にしてください。

フォークリフトの種類とは?

フォークリフトとは、フォークなどを上下させるマストを備えた自走式荷役運搬車両全般の呼称です。主に建設現場・倉庫・工場・港湾施設などで導入されており、適切に使用すれば荷物の積み下ろしや運搬をスピーディーかつ安全に行うことが可能です。

フォークリフトの種類は、「構造・機能」「動力」「タイヤ」「操縦方式」という4つの規格で分けられています。この種類分けは、日本産業規格(JIS:産業標準化法に基づき制定される、日本の鉱工業品・データ・サービス等に関する国家規格)によるものです。

ここからは、フォークリフトの種類について、前述した4つの規格の順番に詳しく解説していきます。

参考:一般社団法人「日本産業車両協会 フォークリフトの種類」

フォークリフトの種類:構造・機能別

まずは、構造・機能面から見たフォークリフトの種類を紹介します。はじめに、主要なフォークリフトの種類から紹介していきます。

主要なフォークリフトの種類

JIS規格に掲載されている中でも主要なフォークリフトの種類は、以下の6つです。

  • カウンターバランスフォークリフト
  • リーチフォークリフト
  • オーダーピッキングトラック
  • サイドローダーフォークリフト
  • ウォーキーフォークリフト
  • マルチディレクショナルフォークリフト

それぞれの定義や特徴、使用状況を中心に順番に解説していきます。

カウンターバランスフォークリフト

カウンターバランスフォークリフトカウンターバランスフォークリフト(英語:counterbalanced fork lift truck)は、フォーク(油圧を利用して昇降・傾斜が可能な荷役用のツメ)およびこれを上下させるマストを車体前方に備え、車体後方にカウンタウエイトを設けたフォークリフトです。

前方にあるフォークで荷物を持った時に前方に傾かないよう、後ろに重りをつけてバランスを取っています。

カウンターバランスフォークリフトは自動車に似た形で、座ってハンドルで操作を行います。
小回りはききにくいですが、転倒しにくく安定感があるので、車体からはみ出すような重い荷物でも運ぶことが可能です。走行速度が速く、効率よく作業を行えるのも特徴です。

現場では、「カウンターフォークリフト」と呼ばれることが多いです。カウンターフォークリフトについて、以下の記事で種類や操作方法など詳細に解説しておりますので、併せてご一読ください。
カウンターフォークリフトとは?種類、操作方法、免許を解説

リーチフォークリフト

リーチフォークリフトリーチフォークリフト(reach fork lift truck)は、マストまたはフォークが前後に移動できるフォークリフトです。車体の右側に背中をもたれさせるように立った状態で操作を行います。

車体を固定したままフォークのみを前後に動かすことが可能で、前後のタイヤ間が短く90度近くまで回ることから、小回りが効きます。そのため、小さなスペースでも転回でき、狭い場所でも活躍するでしょう。

その反面、車体が小さく重心が高いため、安定感はやや欠けます。

リーチフォークリフトについては、以下記事にて詳細に解説しています。フォークリフトの代表的な種類になりますので、ご一読いただき、より理解を深めていただければ幸いです。

リーチフォークリフトとは?種類、操作方法、免許を解説

オーダーピッキングトラック

オーダーピッキングトラックオーダーピッキングトラック(order-picking truck)は、荷役装置とともに動く運転台に位置する運転者によって操縦されるフォークリフトです。

運転台が荷役装置と一緒に上下するのが特徴で、主に高い場所に手作業で荷物を置きたかったり、取り出したかったりといったケースで活用されています。

サイドローダーフォークリフト

サイドローダーフォークリフトサイドローダーフォークリフト(side-loading truck)は、フォークおよびこれを上下させるマストを車体側方に備えたフォークリフトです。

標準のフォークリフトのように回転する必要がなく、ラックやトラックと一緒に運転して、側面から簡単に荷降ろしと荷積みを行えます。

サイドローダーフォークリフトの多くは、狭い通路・出入り口で機能するように設計されています。特に木材・鉄鋼・パイプといった長い荷物は、それらが進行方向を向くようになるため、より簡単に荷降ろしと荷積みすることが可能です。

ウォーキーフォークリフト

ウォーキーフォークリフトウォーキーフォークリフト(pedestrian controlled truck)は、カウンターバランスフォークリフトのうち、運転者が歩きながら操縦するタイプのものです。簡易的な乗車装置を備えている機種もあります。

コンパクトなボディのため、狭い通路を通りやすいほか、エレベーターにも乗りやすいのが特徴です。天井の低い場所での水平搬送や、ローレベルでの荷物の上げ下ろしもスピーディーかつ容易に行えます。

また、ピッキング作業時に車両の乗り降りがないため、歩行数も減って運転者の疲労度が少ないとも言われています。

ウォーキーフォークリフトを運転するためには、フォークリフト運転技能講習の受講は不要ですが、事業者が行う特別教育の受講は必要です。

マルチディレクショナルフォークリフト

マルチディレクショナルフォークリフトマルチディレクショナルフォークリフト(multi-directional lift truck)は、車両の長手方向軸に対してどの方向にも走行するよう設計されたフォークリフトです。

旋回する必要がなく、前後左右に容易に方向を変えられるので、狭い場所での作業に活躍します。操作性や汎用性を求める人から支持を集めているフォークリフトです。

その他のフォークリフトの種類(JIS規格に記載)

構造・機能で分けた際にJIS規格には掲載されているものの、目にする機会がやや少ないフォークリフトは、以下の10種類です。

  • パレットスタッキングトラック
  • ストラドルフォークリフト
  • プラットフォームスタッキングトラック
  • ラフテレインフォークリフト
  • カウンターバランスコンテナハンドラー
  • 三方向スタッキングトラック
  • ラテラルスタッキングトラック
  • バイディレクショナルフォークリフト
  • アーティキュレート式カウンターバランスフォークリフト
  • ダブルスタッカ

それぞれの定義や特徴、使用状況を中心に順番に解説していきます。

パレットスタッキングトラック

パレットスタッキングトラックパレットスタッキングトラック(pallet-stacking truck)は、車体から張り出したアウトリガ(※)によって車体の安定を保ち、なおかつフォークがアウトリガの上に延びている形のフォークリフトです。

スペースの確保が重要で、なおかつさまざまな載荷幅を扱う製造・倉庫管理に適しています。

※建設現場で作業車を安定させるために、車体から地面にかけて伸ばす突っ張り棒のような役割を持つ装置のこと。

ストラドルフォークリフト

パレットスタッキングトラックストラドルフォークリフト(straddle fork lift truck)は、車体から張り出したアウトリガによって車体の安定を保ち、なおかつフォークが両方のアウトリガの間に降りる形のフォークリフトです。

フォークリフトの中でも、高低差の激しい荷役を行う際に使われることが多い種類です。

プラットフォームスタッキングトラック

プラットフォームスタッキングトラック(platform-stacking truck)は、車体から張り出したアウトリガによって車体の安定を保ち、なおかつプラットフォームがアウトリガの上に延びている形のフォークリフトです。

さまざまな形状・サイズの荷物を載せて運搬するための広いプラットフォームを備えており、特に倉庫や物流センターでの使用に適しています。

ラフテレインフォークリフト

ラフテレインフォークリフトラフテレインフォークリフト(rough-terrain fork lift truck)は、不整地で使用されるよう作られたフォークリフトです。

頑丈なフレームとシャーシを持ち、過酷な作業環境に耐える設計となっています。これにより、悪路や不整地でも安定した作業が可能です。

大型のエアタイヤやソリッドタイヤなどを装備しており、優れたグリップ力とクッション性を発揮します。これにより、泥や砂利、凹凸のある地面でもスムーズに走行できます。

カウンターバランスコンテナハンドラー

カウンタバランスコンテナハンドラー カウンターバランスコンテナハンドラー(counterbalance container handler)は、カウンターバランスフォークリフトのうち、スプレッダ(コンテナの荷役に用いられる専用の吊具装置)を装備したものです。コンテナ(空または負荷状態)の積付けに使用されます。

三方向スタッキングトラック

三方向スタッキングトラック(lateral and front stacking truck)は、車両の進行方向およびその左右両側に対して荷の積付けができるフォークリフトです。

倉庫や物流センターなどの限られた空間での作業に非常に有効です。また、高いマストを持ち、高所への積み上げや棚への収納が簡単に行えるので、垂直方向のスペースを有効に活用できます。

ラテラルスタッキングトラック

ラテラルスタッキングトラック(lateral-stacking truck)は、車両の進行方向の両側または左右一方向に荷の積付けができるフォークリフトです。

全体的にスリムな設計が施されており、側方へ荷物を積み重ねることができるため、特に幅の狭い通路や限られたスペースでの作業に非常に有効です。

バイディレクショナルフォークリフト

バイディレクショナルフォークリフト(bi-directional fork lift truck)は、車両の長手方向軸の前後方向および、その左右方向に走行するよう設計されたフォークリフトです。

多方向に移動できるため、荷物の配置や積み下ろしが柔軟に行えます。

アーティキュレート式カウンターバランスフォークリフト

アーティキュレート式カウンターバランスフォークリフト(articulated counterbalance fork
lift truck)は、カウンターバランスフォークリフトのうち、前輪・荷・マストが車両後部に対して約90度回転できるものです。これにより、狭い通路での操作が可能となっています。

アーティキュレート式カウンターバランスフォークリフトには、歩行式および乗車式の2種類があります。

ダブルスタッカ

ダブルスタッカ(double-stacker)は、パレットスタッキングトラックのうち、路面に直置きされた荷が運搬できるようにアウトリガを若干上昇させる機能を付加したフォークリフトです。

上下に積んだ2つの荷を同時に運搬することが可能です。この二段積み機能により、限られたスペースでも多くの荷物を効率的に収納できるため、倉庫や物流センターなどで使用されるケースが多いです。

フォークリフトの種類:動力

動力源の面から見ると、フォークリフトの種類は、以下の3つに分けられます。

  • エンジン式フォークリフト
  • バッテリー式フォークリフト
  • 燃料電池フォークリフト

なお、フォークリフトで使用する動力源によって、運用コストは以下のように変わります。

動力源 コスト
エンジン 燃料代(ガソリンやディーゼル)が運用コストの大部分を占める。

そのほか、定期的なオイル交換やメンテナンスも必要となる。

バッテリー 充電にかかる電気代が主な運用コストとなる。

そのほか、バッテリーの寿命や交換コストも考慮する必要がある。

燃料電池 水素補給の速さや環境負荷の低さが利点。

ただし、燃料補給ステーションの設置コストも含めて、初期コストが比較的高い。

ここからは、エンジン・バッテリー・燃料電池の順番で、動力源別のフォークリフトの種類を解説していきます。

エンジン式フォークリフト

内燃機関を動力源とするフォークリフトです。内燃機関式車両(internal combustion truck)、エンジン式車両とも呼ばれています。

ガソリン

燃料にガソリンを用いるエンジンを動力源とするフォークリフトです。高出力であり、重い荷物の運搬や急な坂道の登坂など、パワーが求められる作業を効率的に進められます。

また、燃料補給が迅速に行えるため、長時間の連続作業が可能です。燃料切れの場合でも、すぐに補給して作業を再開できます。

LPG

燃料に液化石油ガス(LPG)を用いるエンジンを動力源とするフォークリフトです。

LPGはガソリンやディーゼルに比べて燃焼時の排気ガスが少なく、特に一酸化炭素(CO)の排出量が少ないです。これにより、環境負荷が低く、屋内での使用にも適しています。

また、LPGは高い燃焼効率を持ち、同じ体積のガソリンやディーゼルよりも長時間の運転が可能です。結果として、作業効率の向上も期待できるでしょう。

LPG・ガソリン併用車

燃料に液化石油ガスおよびガソリンを用いるエンジンを動力源とするフォークリフトです。

デュアルフューエルシステムを搭載しており、状況に応じてLPGとガソリンを使い分けられます。この柔軟性により、燃料供給の問題や作業環境に応じた最適な運用が可能です。

LPGとガソリンのどちらか一方が不足した場合でも、もう一方の燃料で作業を続けられます。その結果、燃料切れによるダウンタイムを最小限に抑え、作業効率を高めることが可能です。

ディーゼル

燃料に軽油を用いるエンジンを動力源とするフォークリフトです。

エンジン式フォークリフトの中でも、ディーゼルエンジンはトルクが高く、低回転域での力強い動作が特徴です。高出力エンジンにより、建設現場や屋外の倉庫・工場・農業・港湾施設・製造業など、過酷な作業環境での荷物の運搬に非常に適しています。

CNG

燃料に圧縮天然ガスを用いるエンジンを動力源とするフォークリフトです。

CNGは、ガソリンやディーゼルに比べて排気ガス中の有害物質が少なく、特に一酸化炭素(CO)や窒素酸化物(NOx)の排出量が低いです。これにより、作業環境の改善や環境負荷の低減が図れます。

また、CNGは、一般的にガソリンやディーゼルよりも燃料コストが低く、経済的な運用が可能です。燃料補給も簡便で、長期的に見てコスト削減が期待できます。

ただし、2024年時点で補給できる場所が少ない点には注意が必要です。多くの地域では専用のCNGスタンドが少なく、補給のために長距離を移動しなければならない場合があります。

バッテリー式フォークリフト

搭載した蓄電池(バッテリー)によって駆動される電動機を動力源とするフォークリフトです。電動フォークリフトとも呼ばれています。

バッテリー式フォークリフトは排気ガスを出さないため、環境に優しく、室内での使用に最適です。これにより、作業環境の空気質を保てます。

電気を動力源とするため、燃料コストがガソリンやディーゼルに比べて低くなります。また、充電インフラが整っていれば、燃料補給も簡単で、運用コストの削減が期待できます。

燃料電池フォークリフト

搭載した燃料電池によって駆動される電動機を動力源とするフォークリフトです。

燃料電池式フォークリフトでは、水素と酸素を化学反応させて電力を生成し、その過程で排出されるのは水だけです。排気ガスがゼロで、環境に優しい運用が可能です。

燃料電池はエネルギー変換効率が高く、同じ量の燃料でより多くのエネルギーを得られます。これにより、運用コストを削減しつつ、高効率な作業が可能です。

また、水素燃料の補給は短時間で完了するため、従来のバッテリー式フォークリフトのように長時間の充電を必要としません。ダウンタイムを最小限に抑え、作業の連続性を確保できます。

フォークリフトの種類:タイヤ

タイヤの面から見ると、フォークリフトの種類は大まかに以下の2つに分かれます。

  • カウンター式
  • リーチ式

それぞれに分類されるフォークリフトについて、順番に解説していきます。

カウンター式

座って搭乗するタイプのフォークリフトです。

カウンター式フォークリフトのタイヤは、さらに以下の4種類に細分化されています。

  • ノーパンクタイヤ(ユニークタイヤ)
  • エアタイヤ(ニューマチックタイヤ)
  • 3輪
  • 4輪

それぞれの概要を順番に解説します。

ノーパンクタイヤ(ユニークタイヤ)

ノーパンクタイヤ(ユニークタイヤ)は、内部が固形ゴムで満たされているため、空気圧を必要としません。これにより、パンクの心配がなく、耐久性が非常に高くなります。

サイドウォールが強化されており、側面のダメージにも強い構造になっています。厳しい作業環境でも安定して使用できます。

下表に、ノーパンクタイヤの主な特徴をまとめました。

特徴 補足
メリット ・エアタイヤと比べて長持ちしやすい
・「耐摩耗」「衝撃吸収」「空転制御」の3層構造でパンクの恐れがない
・カラータイヤ(白、緑)があり、床にタイヤ痕を残しにくい種類もある
・空気圧の調整などメンテナンスを特に必要としない
デメリット ・エアタイヤに比べ金額が高い
・タイヤの溝が減るとスリップしやすい
・クッション性が無く、乗り心地の悪さを感じることがある
・路面からの抵抗が大きいため、高速走行には向かない
・重量が重いため、タイヤの交換作業に手間がかかる

エアタイヤ(ニューマチックタイヤ)

エアタイヤ(ニューマチックタイヤ)は、内部に空気が充填された空気圧タイヤです。この構造により、クッション性が高く、地面の凹凸や衝撃を吸収する能力に優れています。

また、耐久性のあるゴム素材でできており、摩耗や裂傷に強く、長期間使用しても性能を維持します。

下表に、エアタイヤの主な特徴をまとめました。

特徴 補足
メリット ・金額が比較的安い
・フォークリフトの乗り心地が良い
・タイヤ自体が軽いので、交換する際に持ち上げるのが容易
デメリット ・パンクのリスクがある
・空気圧の調整などメンテナンスが求められる

3輪

4輪と3輪のカウンターフォークリフト3輪のカウンター式フォークリフトは、前輪が2輪、後輪が1輪(2つのタイヤが横並び)の配置で設計されているのが基本です。後輪が旋回軸となり、小回りが利くため、狭い通路や限られたスペースでもスムーズに動くことが可能です。

一般的に、3輪のフォークリフトは4輪タイプに比べて軽量です。これにより、床面への負荷が軽減され、特に室内作業や倉庫内での使用に適しています。

4輪

4輪のカウンター式フォークリフトは、前輪2輪と後輪2輪で構成されており、安定性が非常に高いです。荷物の持ち上げや運搬中でも、バランスを崩すことなく安全に操作できます。

車体後部に重いカウンターウエイトが配置されており、前方に持ち上げた荷物のバランスを保ちます。これにより、高い持ち上げ能力と安定性を確保しています。

リーチ式

立って搭乗するタイプのフォークリフトです。

リーチ式フォークリフトは、以下の3種類のタイヤで成り立っています。

  • ドライブタイヤ:後部の駆動輪
  • キャスタータイヤ:後部の駆動輪に対して補助的な役割を果たすタイヤ
  • ロードタイヤ:前方の左右に備わっているタイヤ

リーチ式フォークリフトのタイヤは、さらに以下の2種類に細分化されています。

  • ウレタンタイヤ
  • 黒ゴムタイヤ

それぞれの概要を順番に解説します。

ウレタンタイヤ

ウレタンタイヤは、ポリウレタン樹脂を使用して製造されており、耐摩耗性が非常に高いです。これにより、長期間使用しても劣化しにくく、耐久性に優れています。路面にタイヤ跡が目立ちにくいのも特徴です。

また、ウレタンタイヤは硬度が高く、荷物を持ち上げたり、運搬したりする際にタイヤの変形が少ないです。結果として、荷物の安定性が向上し、精密な操作が可能です。

黒ゴムタイヤ

黒ゴムタイヤは、路面との接触面が広く、優れたグリップ力を発揮します。これにより、滑りやすい路面でも安定した走行が可能です。

ただし、黒ゴムタイヤは空気入りの構造が多く、パンクのリスクがあります。予防策として、路面の状態を確認し、適切なタイヤ圧を保つことが重要です。

とはいえ、ウレタンタイヤに比べて製造コストが低く、価格も安価です。これにより、頻繁に交換が必要な場合でもコストを抑えることが可能です。

フォークリフトの種類:操縦方式

操縦方式の面から見ると、フォークリフトは以下の9種類に分けられます。

操縦方式の種類 定義
乗車式 運転者が乗車して操縦する方式
座席式 運転者が座って操縦する方式
前向座席式 運転者が前進走行方向に座って操縦する方式
横向座席式 運転者が走行方向とは異なる向きに座って操縦する方式
立席式 運転者が立って操縦する方式
前向立席式 運転者が前進走行方向に立って操縦する方式
横向立席式 運転者が走行方向とは異なる向きに立って操縦する方式
歩行式 運転者が歩きながら操縦する方式
無人式 コンピュータなどで操縦する無人方式

フォークリフトの選び方

ここまでさまざまな側面からフォークリフトの種類を紹介してきましたが、種類が多いため、どのタイプを選べば良いのか迷ってしまうケースもあるはずです。また、フォークリフトを操作するためには適切な免許が必要です。詳しくは以下の記事でご確認ください。
フォークリフト免許とは?取得方法、日数、費用、試験内容と対策

ここからは本記事で取り上げた内容を踏まえて、フォークリフトの選び方として知っておきたい5つのポイントを紹介します。

作業内容

倉庫で作業するカウンターバランスフォークリフト1つ目のポイントは、作業内容です。

例えば、パレットを頻繁に積み降ろしする場合には、カウンターバランスフォークリフトやリーチフォークリフトなどが適しています。具体的には、倉庫でのパレット積み降ろしや大型店舗での陳列作業がこれに該当します。また、狭い通路や高い棚での作業が多い場合、リーチフォークリフトや三方向スタッキングトラックなどの選択がおすすめです。例えば、狭い倉庫や高層の棚が多い物流センターでの使用が考えられます。

また、長尺の物を取り扱う場合には、サイドローダーフォークリフトやマルチディレクショナルフォークリフトなどが適しているでしょう。

使用環境

使用環境に応じたフォークリフトの選択も大切です。

例えば、屋内で使用する場合、バッテリー式フォークリフトを選ぶと良いでしょう。静音性が高いだけでなく、バッテリー式フォークリフトの場合に排気ガスがないといった魅力もあります。ノーパンクタイヤは、パンクの心配がなくパンクによるダウンタイムを避けることができ、荷物を運搬中にタイヤが破裂するリスクがなく、安全に作業を進められます。

一方で、路面が安定していない屋外の場合はエアタイヤが適しています。また、路面が凸凹している悪路では、ラフテレインフォークリフトを選ぶことで安定して作業できます。

負荷能力

荷物を持ち上げようとしているフォークリフト3つ目のポイントは、負荷能力です。

負荷能力(定格荷重)とは、フォークリフトが安全に持ち上げて運搬できる最大の重量のことです。通常、フォークリフトの仕様書やカタログに記載されています。負荷能力はフォークリフトのモデルや設計により異なり、一般的には1tから数十tまで幅広い範囲があります。

負荷能力は、フォークリフトの構造や設計・重心位置・持ち上げ高さなどによって変動します。例えば、カウンター式フォークリフトは、車体後部にカウンターウェイトを持つため、安定性が高く、重い荷物を持ち上げることを得意としています。

取り扱う荷物の重量とフォークリフトの最大荷重をチェックしたうえで、必要な負荷能力を備えたフォークリフトを選びましょう。

メンテナンスコスト

フォークリフトをチェックしている作業員フォークリフトを選ぶうえで、メンテナンスコストの考慮も欠かせません。

メンテナンスコストを重視する際は、バッテリー交換の頻度や燃料補給のコスト、タイヤ交換の頻度などを考慮して、長期的な観点から運用コストの優れたフォークリフトを選びましょう。

例えば、CNGを動力源とするフォークリフトを選べば、一般的にガソリンやディーゼルよりも燃料コストが低い傾向があり、経済的な運用が期待できます。燃料補給も容易なので、ガス補給ができる場所と作業場が近ければ長期的なコスト削減が可能です。

操作性と安全性

最後に紹介するポイントは、操作性と安全性です。フォークリフトを選ぶ際は、操作のしやすさや視界の良さ、安全機能の充実度などのチェックも怠らないようにしましょう。

例えば、マルチディレクショナルフォークリフトは、前後左右に容易に方向を変えられるという操作性の高さが特徴です。

また、4輪のカウンター式フォークリフトは安定性が非常に高く、荷物の持ち上げや運搬中でも、バランスを崩すことなく安全に操作できます。

そのほか、バックアラームや荷重計などの安全機能が備わったフォークリフトを選べば、作業効率と安全性の向上につながるでしょう。

弊社は、2024年9月10日(火)〜13日(金)に東京ビッグサイトで開催される「国際物流総合展2024」に出展し、フォークリフトの遠隔操作と自動運転機能のデモンストレーションを実施します。ぜひお越しいただき、その精度と安全性を実感してください。詳細は以下のニュースでご確認いただけます。

ARAV株式会社は「国際物流総合展2024」に出展

まとめ

最後に、本記事で紹介した「構造・機能」「動力」「タイヤ」「操縦方式」別にフォークリフトの種類をまとめました。

規格 フォークリフトの種類
構造・機能 【主要なフォークリフト】
・カウンターバランスフォークリフト
・リーチフォークリフト
・オーダーピッキングトラック
・サイドローダーフォークリフト
・ウォーキーフォークリフト
・マルチディレクショナルフォークリフト【その他のフォークリフト】
・パレットスタッキングトラック
・ストラドルフォークリフト
・プラットフォームスタッキングトラック
・ラフテレインフォークリフト
・カウンターバランスコンテナハンドラー
・三方向スタッキングトラック
・ラテラルスタッキングトラック
・バイディレクショナルフォークリフト
・アーティキュレート式カウンターバランスフォークリフト
・ダブルスタッカ
動力 【エンジン式フォークリフト】
・ガソリン
・LPG
・LPG・ガソリン併用車
・ディーゼル
・CNG【バッテリー式フォークリフト】【燃料電池フォークリフト】
タイヤ 【カウンター式フォークリフト】
・ノーパンクタイヤ(ユニークタイヤ)
・エアタイヤ(ニューマチックタイヤ)
・3輪
・4輪【リーチ式フォークリフト】
・ウレタンタイヤ
・黒ゴムタイヤ
操縦方式 ・乗車式
・座席式
・前向座席式
・横向座席式
・立席式
・前向立席式
・横向立席式
・歩行式
・無人式

フォークリフトは、倉庫や工場、物流センターなど、多くの作業現場で欠かせない存在です。適切な種類のフォークリフトを選ぶことで、作業効率を向上させ、安全性を確保しつつ作業効率の向上を図りましょう。

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