重機・建機の知識 2026.02.06

ダンプの減価償却とは?計算方法や節税メリットをわかりやすく解説

ダンプは建設業や運送業に欠かせない重要な資産です。ダンプを購入する場合、高額なため購入費用をその年にまとめて経費として処理することは認められていません。

会計上は、耐用年数に応じて少しずつ費用化していく「減価償却」を行います。減価償却とは、購入費用を数年に分けて経費に計上する会計処理です。これにより節税効果が得られ、経営を安定させる効果も期待できます。

なお、ダンプの取得方法には「購入」のほかに「リース」や「レンタル」もあります。これらは購入とは会計処理が異なり、リース料・レンタル料として全額を経費にできるケースもあります。

本記事では、ダンプを購入した場合の減価償却について、計算方法や耐用年数、法人・個人事業主別のポイント、節税メリットまでをわかりやすく解説します。

ダンプの減価償却を理解するには、前提として「ダンプトラックの定義」や「普通ダンプと重ダンプの違い」「用途」「運転に必要な免許」といった基本も押さえておくと、どの車両が対象になるか判断しやすくなります。ダンプトラックの基礎は、以下の記事で整理しています。

ダンプトラックとは?特徴・用途・必要な免許をわかりやすく解説

ダンプの減価償却とは?

ダンプの減価償却に必要な計算

ダンプの減価償却とは、ダンプの購入費用を耐用年数(税法で定められた使用可能期間)に応じて、毎年分割して経費計上する会計処理のことです。法人だけでなく、個人事業主がダンプを所有する場合でも対象となります。

ダンプは数年にわたって使用できる資産のため、購入した年に全額を経費にすると、実際の使用状況に比べて費用が偏ってしまいます。会計上は「収益と費用を対応させる」という原則があるため、ダンプのような資産は耐用年数に応じて分割して費用化する仕組み(減価償却)が定められているのです。

正しい手続きで減価償却を行うことで、以下のような利点があります。

  • 節税効果:毎年の経費計上で課税所得を抑えられる
  • 資産管理:車両の残存価値を正確に把握できる
  • 経営判断:利益やコストを実態に近い形で反映できる

以上のことから、ダンプの減価償却は「購入費用を数年に分けて経費化する仕組み」であり、税務処理だけでなく経営上の意思決定にも大きく役立つ重要な会計ルールです。

参考:国税庁「No.2100 減価償却のあらまし」

ダンプの減価償却の計算方法【定額法・定率法】

ダンプの減価償却を行う際は、まず「どの方法で償却するか」を決める必要があります。減価償却の方法によって毎年の経費計上額や節税効果、資金繰りへの影響などが大きく変わるため、事業の状況に合わせた選択が重要です。

本章では、法人で使われるダンプの減価償却方法や、減価償却の計算に必要な基礎知識を紹介します。

法人で使われる主な償却方法

ダンプの減価償却を行う際、法人でよく使われる方法は大きく分けて2種類(定額法・定率法)があります。それぞれ仕組みやメリットが異なるため、自社の経営状況に合わせて選ぶことが重要です。

償却方法 特徴 向いているケース
定額法 取得価額を耐用年数で均等に割り、毎年同じ金額を経費として計上する方法。

計算がわかりやすく、年度ごとの経費が安定するため、利益の見通しを立てやすい。

(例)800万円のダンプを耐用年数4年で償却する場合→毎年200万円ずつ経費化。

毎年の利益や経費を安定させたいケース、事業規模が安定しているケースなど。
定率法 取得価額に一定の償却率を掛け、初年度に多く計上し、年数が経つほど少なくなる方法。

購入直後に大きな費用を計上できるため、初年度の節税効果が高い。

(例)簿価×償却率で毎年の金額を計算。

新規設備投資が集中する年や、早い段階で節税を重視したい企業など。

「定額法」は経費を安定させたい企業に、「定率法」は初期の節税を狙いたい企業に向いています。どちらを選ぶかで資金繰りや利益計画に大きな影響が出るため、自社の経営戦略に合わせて判断することがポイントです。

ダンプの減価償却はどちらが有利か?

ダンプを償却する際に「どの方法が有利か」は、会社の経営状況や目的によって変わります。一般的には、初年度の節税やキャッシュフロー改善を重視する場合は「定率法」が有利で、毎年の利益や経費を安定させたい場合は「定額法」が有利だとされています。

定率法は購入直後に大きな金額を経費にできるのが特徴です。そのため、以下のようなケースでは効果的です。

  • 設備投資が集中する年度
  • 事業を立ち上げたばかりで資金繰りを改善したいケース

ただし、年数が経つと償却額は減り、後半は経費として計上できる金額が少なくなるため、将来的な税負担を考えた計画が求められます。

一方で、定額法は、耐用年数で均等に割った金額を毎年計上する方式です。以下のようなケースに向いています。

  • 利益や経費を一定に保ちたいケース
  • 長期的に安定した経営計画を立てたいケース

資金繰りや利益計画を平準化できるため、事業規模が落ち着いている法人に適しています。

法人の場合、建物・建物附属設備・構築物・ソフトウェア以外の減価償却資産については原則として定率法が適用されており、その中にダンプを含む車両運搬具も対象となります。

一方、所轄税務署への届出を行うことで定額法を選択できる場合もあります。

また、個人事業主は原則としてすべての減価償却資産について定額法で計算し、建物・建物附属設備・構築物・ソフトウェアについては法人・個人とも定額法に限定されるため、この違いを踏まえて償却方法を検討することが重要です。

いずれの方法もすべての資産に自由に適用できるわけではなく、資産区分や税制改正の影響を受けるため、実際の適用にあたっては最新の耐用年数表や国税庁通達を確認することが必要です。

減価償却の計算に必要な要素と式の基本

減価償却の計算に必要な要素と式の確認

減価償却の方法が決まったら、実際に金額を算出するための基礎情報を整理します。減価償却の計算には以下の3つの要素が必要です。

要素 詳細
取得価額 ダンプを購入した際の金額(経理方式に応じて税抜/税込のいずれか)が基準になります。購入時の本体価格に加えてオプションや登録費用など、資産計上対象となるものを含みます。
耐用年数 税法で定められた「資産を使用できるとみなされる年数」のことです。国税庁の耐用年数表に従って計算する必要があります。
残存価額 平成19年度の税制改正以降、業務用の資産については「残存価額を0円」として計算することが認められています(※)。

これら3つを押さえておくと、「何年かけて」「毎年いくらずつ」経費にできるのかを具体的に算出できます。

※残存価額については一部の資産や計算方法によって旧ルールが適用されるケースもあるため、実際の処理では税理士や会計担当者に確認することが安心です。

参考:国税庁「No.5410 減価償却資産の償却限度額の計算方法(平成19年4月1日以後)」

定額法の計算式

ここでは、毎年同じ額を費用として計上する「定額法」を例に、具体的な計算方法を確認してみましょう。定額法の基本式は、以下のとおりです。

  • 減価償却費=(取得価額−残存価額)÷耐用年数

この式に金額を当てはめると、年間に計上できる減価償却費がわかります。

取得価額800万円、残存価額0円、耐用年数4年とした場合、以下のとおり計算できます。

  • (8,000,000円−0円)÷4年=2,000,000円(毎年200万円を経費として計上できる)

定率法の計算式

次に紹介するのは、初年度に多くの金額を費用化し、年を追うごとに償却額が減っていく「定率法」の計算方法です。定率法の基本式は、以下のとおりです。

  • 減価償却費=前年度末の未償却残高×償却率

この計算式を年度ごとの償却額に当てはめると、次のように計算できます(取得価額800万円、耐用年数4年、償却率0.500を例に計算)。

年度 期首帳簿価額 償却費(経費) 期末帳簿価額
1年目 8,000,000円 4,000,000円 4,000,000円
2年目 4,000,000円 2,000,000円 2,000,000円
3年目 2,000,000円 1,000,000円 1,000,000円
4年目 1,000,000円 500,000円 500,000円

減価償却では、原則として期末残高が「残存簿価(通常1円)」に到達するまで処理を行います。実務では、スイッチング(定額法への切替)や償却保証額などのルールもあるため、実際の計算では税理士や会計ソフトの処理に従う必要があります。

参考:国税庁「No.2106 定額法と定率法による減価償却」

ダンプの耐用年数(新車・中古)

減価償却を行う際に基準となる「耐用年数」は、国税庁が定める省令によって決まっています。

ただし、新車と中古車では扱い方が異なります。特に中古ダンプはすでに使用された年数に応じて残りの耐用年数が変わり、法定耐用年数をそのまま使えない点に注意しましょう。

  • 新車ダンプ
    一般的には税法上4年を用いるケースが多いものの、自家用か事業用か、車両の種類や積載量などによって3〜5年の範囲で異なる場合があります。正確な年数は国税庁の耐用年数表などで確認してください。
  • 中古ダンプ
    下記の計算式(簡便法)で再計算します

中古ダンプの耐用年数の再計算式

中古ダンプは使用済み年数に応じて残りの耐用年数が短くなるため、以下の式で再計算します。

  • 中古ダンプの耐用年数=(法定耐用年数−経過年数)+経過年数×0.2

上記の計算式は税法上の通達で定められていますが、計算結果に1年未満の端数が出る場合は切り捨てとなり、また算出された年数が2年未満の場合でも、耐用年数は最低2年とされています(簡便法)。 資産区分ごとに取扱いが異なる場合もあり、実際には耐用年数表や最新通達を確認し、必要に応じて専門家に相談するのが確実です。

耐用年数4年の中古ダンプを3年間すでに使用している場合、次のように計算します。

  • (4−3)+(3×0.2)=1+0.6→1.6年
    計算上は1.6年となりますが、1年未満の端数は切り捨て、さらに簡便法では計算結果が2年に満たない場合でも耐用年数は最低2年と定められているため、このケースの耐用年数は『2年』として扱います。

中古ダンプの耐用年数について、詳しい再計算方法や注意点は以下の記事で解説していますので、併せてご覧ください。

ダンプの耐用年数とは?減価償却・買い替え目安・寿命を延ばす方法

また、耐用年数の詳細や法的根拠については、e-Gov法令検索に掲載の「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」をご参照ください。

参考:国税庁「主な減価償却資産の耐用年数表」
国税庁「No.5404 中古資産の耐用年数」

ダンプの減価償却を活用した節税メリット

ダンプのように高額な資産は、減価償却によって費用を数年に分けて経費計上します。この仕組みを活用することで、以下のような節税メリットが得られます。

メリット 詳細
課税所得の圧縮 毎年の利益を減らすことで、法人税や所得税の負担を軽くできる。
資金繰りの安定化 高額な支出を分割して経費計上できるため、キャッシュフローを安定させやすい。
償却時期の調整 資産の種類や取得年度、選択する償却方法によっては、節税効果の発現時期を調整できる。

例えば、「定率法」を用いると、初年度に多くの減価償却費を計上できるため、会社設立直後や設備投資が重なる時期など、会計上の資金繰り改善や税負担軽減につながるケースが多いとされています。ただし、状況によって最適な方法は異なるため、実際は事業の利益計画や経営方針に応じて検討すると良いでしょう。

ただし、減価償却の処理方法には税法上のルールや制限が設けられています。誤った処理をすると、かえって追徴課税のリスクが生じるため、必ず税理士や会計担当者と相談したうえで進めることが重要です。

減価償却に関するよくある質問(FAQ)

ダンプの減価償却に関する質問(FAQ)

減価償却の仕組みを理解していても、実際の運用では「これってどう扱えばいいの?」と悩む場面が出てきます。本章では、ダンプの減価償却に関して特に多い誤解や質問について、わかりやすく回答します。

Q1. 耐用年数を過ぎたらダンプは使えない?

使えます。法定耐用年数は「税務上の償却期間」を定めたもので、ダンプ自体の使用寿命とは異なります。車検や整備状況に問題がなければ、耐用年数を過ぎても引き続き使用できます。

Q2. 帳簿上の価値=中古市場での価値?

同じではありません。減価償却によって帳簿上の価値がゼロになっても、需要や車両の状態によっては中古市場で高く売れることもあります。帳簿価額と実際の売却価格は一致しないため、区別して考える必要があります。

Q3. 償却し終わったら経費化も売却もできないのか?

ダンプの売却や下取りについては、減価償却が完了していても可能です。売却価格が帳簿価額を上回る場合は「固定資産売却益」として益金に計上されます。一方、売却価格が帳簿価額を下回る場合は「固定資産売却損」として損金に計上されるため、いずれの場合も帳簿価額との差額を処理する必要があります。

Q4. 個人事業主でもダンプの減価償却はできる?

可能です。個人事業主も減価償却を行えます。原則は「定額法」で処理され、青色申告を選べば損失の繰越をはじめ有利な制度も利用できます。白色申告でも減価償却は可能ですが、節税の観点からは青色申告のほうがメリットが大きいとされています。

まとめ

ダンプは購入金額が大きいため、正しく減価償却を行うことが欠かせません。減価償却の方法には「定額法」と「定率法」があり、それぞれ取得価格や使用年数に基づいて計算されます。また、中古ダンプを導入する場合は、新車と同じ耐用年数をそのまま使うのではなく、使用済み年数を考慮して再計算を行う必要があります。

減価償却の処理は会計上のルールであると同時に、節税にも直結します。正しく減価償却を進めることで、余分な税負担を避け、資金繰りを安定させることが可能です。逆に誤った処理を行うと、税務調査での指摘や追加課税のリスクが高まります。そのため、定期的に会計処理を見直し、適切に資産管理を行うことが重要です。

なお、減価償却に関するルール(方法・耐用年数・残存価額など)は、税制改正によって変更される場合があります。国税庁による最新資料や法令を確認し、不明点があれば税理士などの専門家へ相談するのが安心です。

特に建設業や運送業のように複数台のダンプを保有する事業者は、償却計画そのものを戦略的に立て直すことで、経営全体で大きなメリットが得られることもあります。専門家のアドバイスを受けながら、資産管理と節税の両立を図ることを強くおすすめします。

おすすめの記事

関連記事 Related Articles