重機・建機の種類 2025.02.19

コンバインドローラーとは?特徴や用途、免許・資格を解説

建設現場で使用される「コンバインドローラー」は、舗装工事や土木工事などに欠かせない重機の一つです。効率的かつ高品質な仕上がりを実現するため、多くの建設業者にとって重要な役割を果たします。

しかし、具体的にどのような特徴があるのか、どのような場面で活躍するのか、さらに操作に必要な免許や資格について詳しく知っている方は少ないかもしれません。

本記事では、コンバインドローラーの特徴や用途、操作に関わる資格や免許についてわかりやすく説明します。特に、建設業における機材選定や運用効率を考える際に役立つ情報を提供しますので、ぜひ参考にしてください。

コンバインドローラーとは?

コンバインドローラーの全景

コンバインドローラーは、地面を転圧するために使われるロードローラーの一種です。主に道路の舗装工事や土木工事で使用される機械です。コンバインドローラーの名称は「鉄輪」と「タイヤ」の両方を1台に備えていることに由来します。この構造により、振動を利用した高い締固め性能と、タイヤによる均一で滑らかな仕上がりを同時に実現できるため、効率的に地面を転圧することが可能です。

さらに、振動を利用して地面を転圧するタイプが主流です。振動により地面の粒子間の隙間を効果的に埋めることができ、通常の圧力だけでは難しい深層部分まで締固めることが可能です。このため、舗装工事や地面の整地作業、土木工事において重要な役割を果たしている重機です。

ロードローラー全般について理解を深めたい場合は、以下の記事をご覧ください。コンバインドローラーの特徴と比較し、現場に最適な重機を選定するうえで活用できる情報をまとめています。

ロードローラーとは?種類と用途、選び方、免許・資格を解説

コンバインドローラーの特徴と主な用途

コンバインドローラーの特徴と主な用途について、順番に解説します。

コンバインドローラーの特徴

コンバインドローラーは、「振動ローラー」と「タイヤローラー」の機能を兼ね備えている重機です。代表的な特徴を以下にまとめました。

特徴 補足説明
効率的な締固め性能 鉄輪(振動輪)とゴムタイヤを組み合わせた構造により、地表面から深い層までしっかりと締め固められる。
優れた密着性と仕上がりの均一性 ゴムタイヤが地面をやわらかく押し広げるため、表面の仕上がりが滑らかで均一になる。
さまざまな条件への適応力 振動輪とゴムタイヤを組み合わせて加圧するため、様々な条件下で効率的な作業ができる。
振動の有無を切り替えられる機種もあり、用途に応じた設定が可能。

振動ローラーとタイヤローラーの詳細は、それぞれ以下の記事で解説しています。

振動ローラーとは?土工用、小型など種類の特徴と用途を解説
タイヤローラーとは?特徴、ロードローラーとの違い、免許・資格を解説

コンバインドローラーの用途

特徴を踏まえて、コンバインドローラーの主な用途を以下にまとめました。

用途 補足説明
アスファルト舗装工事 舗装の仕上げ工程で使用され、滑らかで均一な路面を作り上げる。

タイヤローラー部分で路面の素材の密着性を高め、振動輪とゴムタイヤがしっかりと地面を締め固めることで、高品質な仕上がりを実現する。

基盤工事 舗装前の路床(道路の基礎部分)をしっかりと締め固める際に使用する。特に均一で安定した密度が求められる現場で効果を発揮する。
路肩や狭小地での工事 コンパクトに設計されたモデルが多いため、路肩や狭いスペースでの作業にも適している。小回りが効くため、細かな作業にも対応できる。
補修工事 振動を利用した加圧により、部分的な補修作業や小規模な舗装工事などにも効果的。効率よく地面を整えながら補修できる点が特徴。

コンバインドローラーは、多機能で効率的な締固め作業を可能にする頼もしい重機です。特にアスファルト舗装や細やかな仕上げが求められる場面で、その性能が最大限に発揮されます。

コンバインドローラーと振動ローラーの違い

コンバインドローラーの作業風景

コンバインドローラーと振動ローラーは、どちらも舗装工事や土木工事などで使用される締固め機械ですが、異なる重機なので違いを把握しておきましょう。

振動ローラーとは、ローラー内部に起振機を搭載し、その振動力と自重を利用して地面を締め固める重機を指します。

振動ローラーには、舗装用や土工用などの種類があります。このうち、舗装用の振動ローラーは、さらに両輪とも鉄輪の「タンデム式」と、前輪を鉄輪にして後輪を空気入りのゴムタイヤにする「コンバインド式」に細分化されます。「タンデム式」は、全体を均一に締固めたい場合に適しており、一方「コンバインド式」は柔軟な仕上がりが求められる舗装の最終工程で威力を発揮します。

つまり、コンバインドローラーは、振動ローラーのひとつに含まれる関係性にあると言えます。

タンデム式のロードローラーについて詳しく知りたい場合は、以下の記事をご覧ください。

タンデムローラーとは?特徴、用途、マカダムローラーとの違いと機種紹介

コンバインドローラーの免許・資格

以下に、コンバインドローラーの操作・運転にあたって取得が求められる免許・資格をまとめました。

必要な免許・資格
現場・私有地内での作業 締固め用建設機械(ローラー)の運転の業務に係る特別教育
公道での走行 自動車運転免許(コンバインドローラーのサイズに応じたもの)

「締固め用建設機械(ローラー)の運転の業務に係る特別教育」について詳しくは以下の記事で解説していますので、受講前にご覧いただくことをおすすめします。

ローラーの運転の業務に係る特別教育とは?内容、受講方法、費用

コンバインドローラーの機種

建設現場とコンバインドローラー

本章では、コンバインドローラーの機種の一例として、以下のモデルをピックアップしてご紹介します。

  • 酒井重工業:TW354/TW504
  • 日立建機:ZC35C-5/ZC50C-5

それぞれの機種における製品概要や特徴を順番に詳しく解説します。

現在、コンバインドローラーは様々なメーカーから販売されており、中規模舗装工事向けのものから高効率型、環境性能を重視したモデルまで多種多様です。本記事では一部の特徴を紹介しますが、他にも条件に応じた選択肢が揃っています。

使用目的や現場の条件に合った機種を選ぶことが、作業を効率的に進める上で重要です。機能や仕様を比較し、自社・ご自身のニーズに最適なモデルを見つけましょう。

酒井重工業:TW354/TW504

TW354およびTW504は、酒井重工業が提供するコンバインドローラーの製品ラインナップです。中規模舗装工事で活躍する低燃費かつ高効率の振動機能付きコンバインドローラーとして位置づけられています。

以下に、酒井重工業「TW354」「TW504」の主な特徴をまとめました。

  • 排気ガス処理装置が不要なエンジンを採用
  • ECOモード搭載によりCO2排出量最大35%減
  • 超低騒音基準値より約5dB低減(社内試験実測値)
  • 自動油圧デフロックを標準装備
  • ネジ式散水キャップを標準装備
  • 節水対策の可能な散水モードを標準装備
  • アクセサリソケット(12V)を標準搭載
  • バックブザーオフスイッチを標準装備

下表に、TW354およびTW504の基本的な仕様をまとめました。

商品名称(型式) TW354 TW504
運転質量 2,640kg 3,540kg
エンジン定格出力 18.2kW 18.2kW
全長 2,675mm 3,105mm
全幅 1,290mm 1,390mm
全高 1,575mm 1,705mm
締固め幅 1,200mm 1,300mm

参考:酒井重工業「製品情報|TW354/504」
酒井重工業「TW,SW354/504」

日立建機:ZC35C-5/ZC50C-5

ZC35C-5およびZC50C-5は、日立建機が提供するコンバインドローラーの製品ラインナップです。

ZC35C-5/ZC50C-5には、オプション装備として「衝突被害軽減アシスト装置」が用意されています。これは、運転中に物体を検知し、オペレータの安全運転を支援する装置です。 衝突リスクを低減しつつ、緊急停止時に転圧面を傷めないよう配慮されています。

以下に、日立建機「ZC35C-5」「ZC50C-5」の主な特徴をまとめました。

  • ユーザー目線での使いやすさの追求
    • 2段跳ね上げ式スクレーパーを装備
    • 大容量散水タンクを装備(210L ※対従来機20L増)
    • インパネ配置
    • 凍結防止装置(オプション装備)
    • 運転席フロアとシートの防振構造化
  • 整備性、耐久性の向上
    • 多機能液晶モニタの採用
    • シートの耐久性向上
  • 作業性や安全性、環境性への配慮
    • コンパクションメータ(オプション)
    • 乗り降りしやすいヒューマンステップ
    • 後方ガードセンサ(オプション)
    • ROPS対応バー(工場対応オプション、シートベルト付きシングルシート)

下表に、ZC35C-5およびZC50C-5の基本的な仕様をまとめました。

商品名称(型式) ZC35C-5 ZC50C-5
運転質量 2,875kg 3,645kg
エンジン定格出力 18.2kW 18.2kW
全長 2,630mm 3,100mm
全幅 1,290mm 1,400mm
全高 1,540mm 1,620mm
締固め幅 1,200mm 1,300mm

コンバインドローラーを含むさまざまな重機を製造するメーカーを知りたい場合は、以下の記事にメーカーを一覧にしてまとめていますので、併せてご覧いただくことをおすすめします。

重機メーカーの一覧【国内、海外別に30社】

参考:日立建機カミーノ「製品情報|コンバインド振動ローラ」
日立建機「ZC-5 シリーズ|ZC35C/ZC35T/ZC50C/ZC50T」

まとめ

コンバインドローラーは、振動ローラーとタイヤローラーの機能を併せ持ち、舗装工事や土木工事の効率化・品質向上などを可能にする重機です。その多機能性から、現代の建設現場において重要な役割を果たしています。

建設現場での効率性や成果を向上させるためには、機材選定がカギとなります。施工内容や現場条件に応じた最適な機材選びが大切です。コンバインドローラーの活用を検討しながら、コスト削減や作業効率の向上を目指しましょう。

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