ブルドーザーの免許とは?種類や費用、除雪作業に必要な免許も解説
ブルドーザーは、建設現場や除雪作業などで活躍する重機の一つです。ブルドーザーを操作・運転するためには、適切な免許が必要です。特に、建設現場や公共の除雪作業においては、安全かつ効率的に作業を行うために、正しい免許を取得していることが求められます。
しかし、一口にブルドーザーの免許と言っても、実際にはさまざまな種類があり、用途や操作する機体の重さ・大きさによって異なります。また、ブルドーザーの免許を取得するためには、一定の費用や時間がかかるため、しっかりと計画を立てることが必要です。
本記事では、ブルドーザーの免許について、種類や取得にかかる費用、除雪作業に必要な免許など、初心者でもわかりやすく説明していきます。これからブルドーザーの免許取得を検討している方は、ぜひ本記事を参考にして、スムーズな取得を目指しましょう。
ブルドーザーの免許とは?
ブルドーザーの免許とは、ブルドーザーの操作および公道での走行に必要な免許を指します。ブルドーザーを安全かつ適切に操作・運転するために取得が求められるものです。
ブルドーザーを操作するために求められる免許は、機体重量によって以下の2種類に分かれます。
免許の種類 | 取得が求められる業務内容 |
---|---|
車両系建設機械(整地・運搬・積込み用及び掘削用)運転技能講習 | 機体重量3t以上のブルドーザーの操作 |
小型車両系建設機械(整地・運搬・積込み用及び掘削用)の運転の業務に係る特別教育 | 機体重量3t未満のブルドーザーの操作 |
業務でブルドーザーを操作する場合、私有地で行う場合であっても上記の免許取得が求められます。
ただし、ホイール式ブルドーザーを公道で走行させるためには、以下のいずれかの運転免許の取得が必要です。私有地での作業に限る場合は運転免許を取得する必要はありませんが、公道走行時には運転免許が必須となります。
- 大型特殊自動車免許
- 小型特殊自動車免許
大型特殊自動車免許は、大型特殊自動車を公道で走行させるための免許です。道路交通法上、大型特殊自動車の基準は、「小型特殊自動車の規格をこえるもの」とされています。普通自動車免許をすでに取得している場合、大型特殊自動車免許の教習期間が短縮されます。
小型特殊自動車免許は、小型特殊自動車を公道で走行させるために必要な免許です。小型特殊自動車の規格は、以下のとおり定められています。
- 全長:4.7m以下
- 全幅:1.7m以下
- 全高:2.0m以下(ヘッドガード等を備えた自動車で、ヘッドガード等を除いた部分の高さが2.0m以下のものについては2.8m以下)
- 最高速度:時速15km以下
普通自動車免許や普通自動二輪免許をすでに取得している場合、小型特殊自動車免許を新たに取得する必要はありません。これらの免許を保持していれば、小型特殊自動車を運転することが可能です。
なお、キャタピラー式(クローラー式)のブルドーザーの場合、運転免許を取得しても公道の走行はできません。キャタピラー式のブルドーザーは、トラックやトレーラーなどにブルドーザーを積載して運搬するのが一般的です。トラックやトレーラーなどでの運搬には、大型自動車免許や牽引免許などの取得が求められます。
ブルドーザーの免許の種類と費用
下表に、ブルドーザーの免許の種類ごとに費用の相場をまとめました。
免許の種類 | 取得にかかる費用の相場 |
---|---|
車両系建設機械(整地・運搬・積込み用及び掘削用)運転技能講習 | 受講料総額:50,000円〜110,000円前後 |
小型車両系建設機械(整地・運搬・積込み用及び掘削用)の運転の業務に係る特別教育 | 受講料総額:20,000円前後 |
大型特殊自動車免許 | 【教習所に通う場合】 ・教習費用:70,000〜130,000円前後 ・試験費用:3,800円 →内訳 ◯受験料:1,750円 ◯免許証交付料:2,050円【一発試験の場合】 ・試験費用:6,100円 ・受験料:2,600円 →内訳 ◯試験車使用料:1,450円 ◯免許証交付料:2,050円 |
小型特殊自動車免許 | 取得費用総額:3,550円 →内訳 ◯受験料:1,500円 ◯免許証交付料:2,050円 |
ブルドーザーの各種免許の取得にあたって実際にかかる費用は各教習所やコースなどによって異なりますので、申し込みの際に確認してください。
参考:警視庁「大型特殊免許試験(直接試験場で受験される方)」
警視庁「小型特殊免許試験」
ブルドーザーで除雪作業に必要な免許
ブルドーザーの免許取得を検討している方の中には、除雪作業を目的としている方も少なくありません。
結論から言えば、ブルドーザーで除雪作業をする場合でも、特別な免許の取得は求められません。つまり、ブルドーザーの操作に必要な免許を取得していれば、除雪作業を行うことが可能です。
ただし、公道で除雪作業を行う場合には、使用するブルドーザーに応じた運転免許の取得が必要です。ホイール式ブルドーザーで公道を走行して除雪作業を行う際には、大型特殊自動車免許または小型特殊自動車免許が必要となります。
具体的には、ブルドーザーのサイズや性能が小型特殊自動車の規格に適合している場合は小型特殊自動車免許で運転可能ですが、それを超える場合には大型特殊自動車免許が必要です。私有地での作業のみであれば、これらの運転免許は不要です。
ブルドーザーの免許取得を検討されている方が改めてブルドーザーを知れるように、ブルドーザーに関して様々な情報を以下の記事にまとめておりますので、併せてご一読ください。
ブルドーザーの免許取得の流れ
本章では、ブルドーザーの免許を取得する際の大まかな流れについて、免許の種類ごとに順番に解説します。
操作に必要な免許取得の流れ
まずは、ブルドーザーの操作に必要な免許取得の流れです。
運転技能講習の流れ
車両系建設機械(整地・運搬・積込み用及び掘削用)運転技能講習を受講する際は、都道府県労働局長登録教習機関に申し込みを行います。受講の流れの一例をご紹介します。
- 入校手続き
- 学科講習
- 学科試験
- 実技講習
- 実技試験
- 修了証の交付
学科講習・実技講習の時間は、クラス(受講者の免許や資格に応じた区分)によって異なります。現在所持している免許もしくは資格によって、以下の4つのクラスに分類されます。
クラス | 現在所持している免許もしくは資格(18歳以上であることが条件) |
---|---|
A | 免除・資格がない人 |
B | 車両系建設機械運転技能講習(基礎工事用)を修了している人 |
C | 自動車運転免許を取得していない人のうち、小型車両系建設機械(整地・運搬・積込み用及び掘削用)の運転の業務に係る特別教育を修了し、その運転業務経験が6ヶ月以上ある人 |
D | 以下3つのいずれかに該当する人
①大型特殊自動車免許を持っている人 |
下表に、車両系建設機械(整地・運搬・積込み用及び掘削用)運転技能講習の講習内容と時間をまとめました。
種別 | 講習内容 | 時間 |
---|---|---|
学科講習 | ①走行に関する装置の構造及び取扱いの方法に関する知識 | 4時間 |
②作業に関する装置の構造、取扱い及び作業の方法に関する知識 | 5時間 | |
③運転に必要な一般的事項に関する知識 | 3時間 | |
④関係法令 | 1時間 | |
実技講習 | ⑤走行の操作 | 20時間 |
⑥作業のための操作 | 5時間 |
※Dクラスの人は①が免除、C・Dクラスの人は⑤が免除されます。
修了までにかかる時間の目安は14時間〜38時間前後、日数は2日〜6日間前後です。
参考:ロイヤルパワーアップスクール「車両系建設機械【整地・運搬・積込み用及び掘削用】の資格の取り方」
運転の業務に係る特別教育の流れ
小型車両系建設機械(整地・運搬・積込み用及び掘削用)の運転の業務に係る特別教育を受講する際は、社内もしくは社外の教習機関(例:都道府県労働局長登録教習機関など)に申し込みを行います。その際の受講の流れの一例をご紹介します。
- 入校手続き
- 学科講習
- 実技講習
- 修了証の交付
下表に、小型車両系建設機械(整地・運搬・積込み用及び掘削用)の運転の業務に係る特別教育の講習内容と時間をまとめました。
種別 | 講習内容 | 時間 |
---|---|---|
学科講習 | 走行に関する装置の構造及び取扱いの方法に関する知識 | 3時間 |
作業に関する装置の構造、取扱い及び作業方法に関する知識 | 2時間 | |
運転に必要な一般的事項に関する知識 | 1時間 | |
関係法令 | 1時間 | |
実技講習 | 走行の操作 | 4時間 |
作業のための装置の操作 | 2時間 |
修了までにかかる時間の目安は13時間前後、日数は2日間前後です。
参考:コマツ教習所「小型車両系建設機械(整地・運搬・積込み用及び掘削用)の運転の業務に係る特別教育」
公道での走行に必要な免許取得の流れ
続いて、ブルドーザーの公道での走行に必要な免許取得の流れを順番に解説します。
大型特殊自動車免許の流れ
大型特殊自動車免許の取得方法は、大きく分けて2つあります。1つ目は、大型特殊自動車免許の取り扱いがある自動車教習所に通い、技能卒業検定に合格する方法です。2つ目は、各都道府県の運転免許センターや運転免許試験場で技能試験を直接受験し合格する方法です。
いずれの取得方法でも最終的には運転免許試験場で学科試験を受け、それに合格することが条件になります。
以下に、指定自動車教習所に通う場合の大まかな流れをまとめました。
- 入校手続き
- 学科講習
- 実技講習
- 卒業検定
- 免許交付
自動車教習所に通う場合、原則として22時間の学科講習と12時間の実技講習の受講が求められます。 しかし、普通自動車免許(準中型・中型・大型免許を含む)を持っていると、学科講習が全て免除になり、計6時間の実技講習を受けるだけで卒業検定に臨めます(自動二輪免許の所有者は計10時間の実技講習で済む)。
自動車教習所に通って免許を取得する場合、教習の修了期限は、教習の開始から3ヶ月以内です。 また、卒業検定の実施期限は、教習が修了してから3ヶ月以内です。 この期限を過ぎますと、教習は無効となってしまいます。普通自動車の場合の9ヶ月よりも短いことを覚えておきましょう。
また、大型特殊自動車免許も、普通自動車免許と同様に、満18歳から取得可能です。
参考:加東自動車教習所「大型特殊自動車免許」
三条自動車学校 「大型特殊免許 取得までの流れ」
小型特殊自動車免許の流れ
小型特殊自動車免許の取得にあたっては、実技試験は実施されません。各都道府県の運転免許センターや運転免許試験場に赴き、適性検査と学科試験に合格すれば即日交付されます。
以下に、小型特殊自動車免許の取得までの大まかな流れをまとめました。
- 受付
- 適性検査
- 学科試験
- 免許交付
なお、小型特殊自動車免許は、満16歳から取得できます。
参考:熊本県警察「原動機付自転車免許・小型特殊自動車免許試験」
まとめ
ブルドーザーの操作・運転には、適切な免許の取得が必要です。機体の重量や大きさに応じて免許の種類が異なるため、どの免許が必要かを事前に確認しておくことが重要です。また、ブルドーザーの免許取得には費用や時間がかかるため、費用や講習内容についても理解しておくと、計画を立てやすくなります。
免許を取得することで、ブルドーザーを安全に操作できるようになり、作業の幅が広がるだけでなく、職業的なスキルアップにもつながります。本記事の内容を参考にして、ブルドーザーの免許取得を目指しましょう。