アスファルトプラントとは?仕組み・種類・工程を解説【メーカーも紹介】
高速道路や一般道路、駐車場、港湾舗装などさまざまな場所で使用される合材を安定的に製造するうえで、重要な役割を担う設備がアスファルトプラントです。骨材とアスファルトバインダーを加熱・乾燥・混合し、強くて耐久性のあるアスファルト合材を作り出します。
舗装に用いるアスファルトバインダーは、原油から製造される石油アスファルトが主流で、原油価格の変動や国際情勢の影響を受けやすい面があります。加えて、CO2排出削減や廃棄物削減といった環境負荷低減の要求も年々強まっており、撤去舗装を再利用する再生骨材を高比率で活用できるアスファルトプラントへのニーズは今後も高まっていくとみられています。
本記事では、アスファルトプラントとはどういった設備なのか、仕組みや種類を解説します。アスファルト合材ができるまでの工程や主要なメーカーも紹介していますので、今後のプラント導入にお役立てください。
アスファルトプラントとは?

アスファルトプラントとは、骨材(砕石や砂などの材料)とアスファルトバインダー(アスファルトを加熱して粘性を持たせた結合材)を加熱・乾燥・混合してアスファルト合材を作る設備一式のことです。
アスファルトプラントは高速道路や一般道路、駐車場、港湾舗装などさまざまな場所で使用される合材を安定供給するために欠かせない存在です。アスファルトプラントには、恒久的に設置する固定式のほか、現場近くに設置する移動式もあります。
アスファルト合材と生コンの違い
アスファルト合材と混同されやすい「生コン(生コンクリート)」ですが、この2つは見た目こそ似ていますが、性質も作り方もまったく別の材料です。誤解されやすいポイントをわかりやすくまとめると、以下のとおりです。
| 名称 | 特徴 |
|---|---|
| アスファルト合材 | 砕石などの骨材にアスファルトを加え、高温で加熱して混ぜ合わせた舗装専用の材料です。アスファルトは熱で軟らかくなり、温度が下がると再び固まる「熱可塑性」の性質を持ちます。 |
| 生コンクリート | セメント・水・骨材を混合した、建物や構造物をつくるための材料です。水を加えるとセメントとの化学反応(水和反応)が進み、時間の経過とともに硬化していきます。一度硬化すると、再び元の状態に戻すことはできません。 |
両者は、製造プラントの役割や、前提としている「変化の仕組み」も大きく異なります。
- アスファルトプラント
骨材を温めて乾燥させ、加熱して軟らかくしたアスファルトと混ぜ合わせる「熱による融解と混合」が中心です。アスファルト合材は冷めると徐々に固まっていくため、製造から施工までのあいだに適切な温度を保つことが重要になります。 - 生コンプラント
セメントと水を合わせた瞬間から水和反応が始まり、「水による化学反応によって硬化が進む」ことを前提にしています。硬化が進み過ぎる前に打設を終える必要があるため、練り混ぜから現場への運搬・打設までの時間管理が特に重要になります。
このように、アスファルト合材は「熱で軟らかくし、冷めると固まる材料」、生コンは「水との化学反応で硬化する材料」として性質が大きく異なります。両者の違いを押さえておくと、アスファルト舗装の仕組みや製造プラントの役割がよりイメージしやすくなります。続いて、アスファルトプラントの構造と働きについて解説します。
アスファルトプラントの仕組み
本章では、アスファルトプラントの仕組みを解説します。ここで取り上げる設備は、実際の製造工程の順番に沿って紹介します。各設備が連動しながら稼働することで、品質の安定したアスファルト合材が製造されます。
骨材供給装置(ホッパー)
砂・砕石など複数種類の骨材を分けて保管し、必要な量だけ供給する装置です。骨材は含水率や粒度が異なるため、適切な割合で供給する必要があります。
乾燥ドラム(骨材を回転させながら熱で乾燥させる装置)
骨材を高温の熱風で乾かす装置です。水分が残っていると仕上がりにムラが出るため、乾燥は品質を左右する中核的な工程です。
バーナー(燃料を燃焼し熱を供給する装置)
燃料を燃焼させて乾燥ドラムに熱を送り込む装置です。燃焼方式によって効率が変わり、燃料費や環境負荷にも影響します。
ふるい(振動で粒度ごとに骨材を分ける装置)
乾燥した骨材を振動でふるい分け、配合に必要な粒度に整えます。設計どおりの合材を製造するために欠かせない工程です。
計量装置(配合に応じて材料を計量する装置)
骨材や石粉(フィラー)、アスファルトバインダーを配合設計どおりに量り取る設備です。ここでの誤差は品質不良に直結するため、非常にシビアな管理が求められます。
ミキサー(高温の骨材とアスファルトを混ぜる装置)
計量した材料を素早く、むらなく混合してアスファルト合材を完成させます。
貯蔵サイロ(完成した合材を一定時間保管する設備)
混合直後の合材を一定温度に保ちながら、一時的に保管する設備です。運搬車(ダンプトラック)が到着するまで温度低下を防ぎます。
そのほかにも、排ガスをきれいにするバグフィルタ、乾燥した骨材を上部へ運ぶホットエレベータなど多くの補助装置がありますが、ここでは製造の中心となる装置に絞って説明しました。次の章では、アスファルトプラントの種類ごとの特徴について解説します。
アスファルトプラントの種類

アスファルトプラントにはいくつかの種類があり、方式によって「生産量」や「配合の変更しやすさ」「ランニングコスト」が大きく変わります。種類を理解しておくと、どの現場でどの方式が使われているのかを把握しやすくなります。
製造方式による分類
材料をどのように計量し、どのような方法で混ぜるかによって分類される方式です。さまざまな配合の合材を小回りよく切り替える必要がある日本の舗装工事では、1バッチごとに配合を変えられるバッチ式が一般的です。一方で、同じ配合の合材を長時間連続して大量生産する現場では、材料を連続投入して効率よく製造できる連続式も利用されます。
バッチ式
バッチ式は一定量(バッチ)ごとに材料を計量・混合する方式で、日本国内では最も一般的です。配合をバッチ単位で管理するため品質を安定させやすく、現場ごとに合材の種類を切り替える必要がある場合にも対応しやすい点が特徴です。舗装の種類が多い日本の現場環境に適した方式です。
連続式
連続式は材料を連続投入しながら混合し続ける方式で、大量生産に向いています。一定配合で長時間稼働させると生産効率が高く、運転コストを抑えられるメリットがあります。
一方で、配合変更が難しいため、多種類の合材が求められる現場ではやや運用しづらい面があります。また、新規合材の加熱乾燥や少量生産には不向きである点にも留意しておく必要があります。
このように、方式ごとに得意・不得意が異なるため、用途に応じた選定が必要になります。
参考:一般社団法人 日本建設機械工業会「アスファルトプラント」
設置形態による分類
設置方法の違いによって、アスファルトプラントは大きく「固定式」と「移動式」に分類できます。需要の安定性や運搬距離といった条件を踏まえて、固定式と移動式を使い分けます。
固定式プラント
固定式プラントは敷地に恒久的に設置されるタイプで、安定した大量生産が可能です。
乾燥ドラムや貯蔵サイロを大容量で設置しやすいため、都市部や幹線道路付近など一定の需要が見込まれる地域で積極的に採用されています。また、設備が決まった場所に据え付けられているため、集じん設備や防音・防臭設備を恒久的に整備しやすく、定期点検や環境対策を計画的に実施できる点も固定式の強みです。
移動式プラント
移動式プラントはトレーラーなどで現場近くに運搬して設置するタイプで、山間部や離島など運搬距離が長くなる地域で有効です。プラントを現場に近づけることで、合材の温度低下を抑え、品質を確保しやすくなるという利点があります。また、工期が限られた現場に一定期間だけ設置して工事終了後に撤去できるため、短期集中の舗装工事でも活用されています。
特殊仕様:再生対応型プラント
ここまでに紹介した製造方式や設置形態とは別に、再生骨材(RAP)を一般的なプラントよりも高い比率で利用できるよう設計された再生対応型プラントがあります。固定式・移動式いずれのタイプにも再生対応仕様が用意されており、再生材を前提とした配合・運転が行いやすくなっています。
再生対応型プラントは、撤去アスファルト(切削アスファルトやアスファルト塊)を再利用した再生骨材(RAP)を高比率で使用できるよう設計されたタイプです。再生材の温度管理を適切に行うための加熱設備や投入ラインを備えており、新材アスファルトの使用量削減によるCO2排出抑制や、廃材の再利用による産業廃棄物の削減・材料コスト低減につながります。そのため、環境配慮とコスト削減を両立したい現場での採用が近年増えています。
また、再生骨材そのものをつくる破砕設備や、粒度を整えるスクリーンユニットなどについては、アーステクニカ社のような砕石・リサイクル分野の専業メーカーが提供する機器が組み合わされることもあります。
プラントの種類を理解しておくと、工事規模・環境条件・要求品質に応じてどの方式が最適か判断しやすくなります。続いて、アスファルト合材がどのような工程で製造されるのかを見ていきましょう。
アスファルト合材ができるまでの工程
アスファルト合材がどのように作られるのかは、原料の受け入れから出荷までの一連の手順を見るとイメージしやすくなります。本章では、実際の製造作業がどのような順番で進むのかをわかりやすく解説します。
1. 骨材の受け入れ・供給
砕石や砂などの骨材は、種類ごとにストックヤードからホッパーへ移されます。粒の大きさや水分量が違うため、適切に仕分けて投入することが重要です。ここでの管理が甘いと、後工程の乾燥効率や配合精度に影響します。
2. 乾燥
骨材は乾燥ドラムの中で回転しながら加熱され、水分がしっかり取り除かれます。乾燥が不十分だと混合時に品質ムラが出るため、非常に重要なステップです。季節・天候で含水率が変わるため、温度調整が欠かせません。
3. 加熱
乾燥した骨材を、アスファルトバインダーと混ぜやすい温度に調整します。アスファルトは温度で粘度が変わるため、骨材の温度が適切でないと均一に混合されません。舗装の種類や季節によって必要温度が変わるため細かな調整が続きます。
4. 粒度の選別(ふるい分け)
温められた骨材は振動ふるいを通り、粒の大きさごとに分けられます。設計配合に応じて使用する粒度を揃えるため、この工程での分級精度が最終的な仕上がりに影響します。粒度が適正でないと、舗装面の耐久性や密度に問題が出る場合があります。
5. 計量
粒度分けされた骨材や石粉(フィラー)、アスファルトバインダーを設計配合に基づいて正確に計量します。計量の精度が合材の品質を大きく左右するため、アスファルトプラントでは自動計量システムを使用して誤差の少ない計量を行います。温度や材料の状態によっては、計量装置の調整が必要になる場合もあります。
6. 混合
計量された材料をミキサーに投入し、均一に混ぜ合わせます。混合不足があると品質ムラが発生するため、ミキサーの回転速度や混合時間を適切に管理することが重要です。
また、再生骨材(RAP)を使用する場合は温度低下やダマの発生を防ぐため、専用の混合手順が取られることがあります。
7. 貯蔵・出荷
完成した合材は貯蔵サイロに一時保管され、ダンプトラックが到着次第、積み込んで出荷されます。サイロでは一定温度を維持できるよう保温されており、温度が低下しないよう管理されています。温度が下がると施工時の締固めが不十分になり、舗装品質に影響するため重要な工程です。
この一連の工程は、いずれのアスファルトプラントでも基本的に同じ仕組みで行われています。各工程を適切に管理することが、品質の安定したアスファルト合材をつくる大きなポイントです。
アスファルトプラントで活躍する主な重機
アスファルトプラントは固定された設備が中心ですが、原料の搬入やストックヤードでの土砂・骨材の移動、完成した合材の運搬には、さまざまな重機や車両が関わります。ここでは、プラント周辺で使用されることが多い代表的な重機を紹介します。
ホイールローダ

ホイールローダ(タイヤショベル)は、ストックヤードに山積みされた骨材をホッパーへ投入する作業などで用いられることが多い重機です。
砕石や砂などの骨材は、ヤードに仮置きされた状態からホッパーまで繰り返し運搬する必要があります。ホイールローダはタイヤ走行で小回りが利き、バケットでまとまった量の骨材をすくって運べるため、プラント敷地内の短距離運搬に適した機械として採用されるケースが一般的です。
アスファルトプラントでは、日ごとの生産量や配合の種類によって骨材の投入量が変動することも多く、ホイールローダの運転効率やオペレーターの負荷をどう抑えるかが、現場の生産性や安全性にも関わってきます。
ホイールローダの基本的な特徴や用途、運転に必要な資格については、以下の記事で詳しく解説しています。
ダンプトラック
ダンプトラックは、完成したアスファルト合材をプラントから舗装現場まで運ぶ役割を担う車両です。
プラントで製造された合材は、貯蔵サイロからダンプトラックの荷台へ積み込まれ、施工現場へと出荷されます。合材は温度が下がると締固め性が低下するため、プラントと現場を往復するダンプトラックの台数や回転効率、搬送距離といった条件の管理が重要になります。
また、多くの現場では骨材や再生材(RAP)をプラントに搬入する際にもダンプトラックが使用されており、プラント周辺ではダンプトラックの出入りが集中しやすい点にも注意が必要です。
アスファルトプラント周辺で行われるこうした定常作業や、死角が多く人と重機が近接しやすいエリアでの作業は、ホイールローダや油圧ショベル、ダンプトラックといった重機のオペレーターにとって負担や安全面のリスクが大きくなりがちです。
遠隔操作や自動運転といったICT施工技術を組み合わせることで、プラント周辺の安全性向上や省人化につなげることが期待できるため、これらの重機はARAVのソリューションとも親和性の高い用途といえます。
アスファルトプラントでは、合材の出荷や骨材・再生材の搬入など、ダンプトラックが関わる工程も多くあります。ダンプトラックの構造や用途、運転時に必要な免許については、以下の記事で詳しく解説しています。
ダンプトラックとは?特徴・用途・必要な免許をわかりやすく解説
アスファルトプラントの主要メーカー

日本でアスファルトプラントを製造しているメーカーは多くありませんが、それぞれが独自の技術や強みを持ち、全国の舗装工事を支える役割を担っています。本章では、国内で代表的なアスファルトプラントメーカーを紹介します。
日工
日工は、公式サイトでアスファルトプラントの国内シェア約80%(当社グループ調べ)と公表している、国内トップシェアのアスファルトプラントメーカーです。多くの導入実績を持ち、大規模な固定式から移動式、再生対応型まで幅広いラインナップを展開しています。
企画・設計から施工、メンテナンスまで自社で一貫して担う体制を構築している点が特徴です。再生骨材(RAP)を高比率で利用できる加熱技術や、省エネ型の燃焼システムの導入にも強みがあります。
まとめ
アスファルトプラントは、インフラを構築・維持していくうえで非常に重要な設備です。「骨材供給装置」「乾燥ドラム」「バーナー」「ふるい」「計量装置」「ミキサー」「貯蔵サイロ」などから構成されています。
アスファルトプラントには製造方式や設置形態による分類があり、方式によって「生産量」や「配合の変更しやすさ」「ランニングコスト」が大きく変わります。主要メーカーごとの特徴も把握しておき、自社に適したモデルを導入しましょう。
