重機・建機の種類 2025.02.10

アスファルトフィニッシャーとは?特徴や用途、免許を解説

アスファルトフィニッシャーは、道路や駐車場などのアスファルト舗装を均一かつ高精度に敷きならす役割を持っている重機です。舗装工事に携わる方はもちろん、重機の種類や用途について知りたい方にとっても、アスファルトフィニッシャーは理解しておくべき重要な機械の一つです。

アスファルトフィニッシャーについて馴染みがないと「具体的にどのような機能があるのか」「どのような現場で使われるのか」「操作・運転するための免許は必要なのか」といった疑問を持つ方も少なくありません。

本記事では、アスファルトフィニッシャーの概要や特徴、具体的な用途・活用シーンをわかりやすく解説します。アスファルトフィニッシャーを取り扱う際に必要となる免許・資格についても紹介していますので、現場での導入・活用にお役立てください。

アスファルトフィニッシャーとは?

アスファルトフィニッシャーの全景

アスファルトフィニッシャーは、舗装工事でアスファルト混合物を均一に敷きならすための重機です。ダンプトラックなどからアスファルト混合物を受け取り、道路や歩道に滑らかに敷きならす役割を果たします。

一部の機種では、路盤材(基礎層)の敷きならしにも使用されており、高速道路や市町村道、歩道、さらには転圧コンクリート舗装など、さまざまな工事現場で活躍しています。

アスファルトフィニッシャーは、もともとアメリカで開発された重機です。1933年に「フローティングスクリード」を採用した舗装幅3m~4.2mの重機が登場し、1953年に日本へ初めて輸入されました。その際、極東貿易が2台を導入して日本鋪道(現・NIPPO)に納入しており、これが道路舗装(国道41号:愛知県~富山県)に使用された最初の事例とされています。

その後、1956年に東京工機(現・三井三池製作所)が、国産第1号機を製造しました。1960年頃から国産のアスファルトフィニッシャーが本格的に製造・販売されるようになり、現在に至っています。

参考:一般社団法人 日本建設機械工業会「建設機械産業を知る|アスファルトフィニッシャ」

アスファルトフィニッシャーの特徴と用途

本章では、アスファルトフィニッシャーの特徴と用途について、順番に詳しく解説します。

アスファルトフィニッシャーの特徴

以下に、アスファルトフィニッシャーに見られる主な特徴をまとめました。

特徴 説明
均一な敷きならしが得意 アスファルト混合物を均等に敷設し、高品質な舗装面を形成できる。
高精度なスクリード装置 スクリード装置(※)により、舗装面の厚みや幅を精密に調整できる。
操作システムの自動化 温度管理や速度制御を自動化するモデルも多く登場しており、作業の均一性の向上に繋がっている。
多様な舗装幅に対応 作業現場に応じて舗装幅を調整できるモデルが多く、柔軟に運用できる。

※:車体の最後部にある舗装面の厚みや幅を調整するための装置で、T字型のブレードを持つ機構です(詳細は後述)。

また、アスファルトフィニッシャーの走行方式には「クローラ式」と「ホイール式」の2種類があり、それぞれ以下のような特徴があります。

走行方式 特徴
クローラ式 キャタピラ(クローラ)を足回りに採用したタイプで、不整地や軟弱地盤、急勾配の坂道といった条件の現場でよく使用される。接地面が広いため、安定性と平坦性に優れているのが大きな特徴。
ホイール式 タイヤで走行するタイプで、機動性が高いのが特徴。小型特殊自動車または大型特殊自動車に分類され、ナンバープレートを取得すれば公道を走行することも可能。

以上のような特徴を踏まえ、工事内容や現場の状況に応じて使い分けられています。

アスファルトフィニッシャーの用途

アスファルトフィニッシャーは、さまざまな舗装工事で活躍しています。

用途は非常に幅広く、高速道路や一般道路、駐車場など日常生活で利用される道路の舗装はもちろん、空港の滑走路のように重量のある航空機の離着陸に耐えられる高強度な舗装にも使用されています。

アスファルトフィニッシャーの構造

アスファルトフィニッシャーの構造

上図は、アスファルトフィニッシャーの代表的な構成物を示したものです。

本章では、その中から以下の3つをピックアップし、順番に解説します。

  • ホッパー
  • バーフィーダー
  • スクリード

アスファルトフィニッシャーの構造を理解するうえでお役立てください。

ホッパー

ホッパーはアスファルトフィニッシャーの前方に設置されており、ダンプトラックなどの材料運搬車からアスファルト混合物を受け取る役割を担っています。

ホッパーは前部の「エプロン」と左右の「ウイング」で構成され、ウイングは油圧シリンダーによって水平から最大60°程度まで傾けることが可能です。これにより、アスファルト混合物を中央に集め、バーフィーダーへ効率よく供給します。

一部の機種では、左右のエプロンを独立して開閉できるものもあります。

バーフィーダー

バーフィーダーはホッパーからアスファルト混合物を受け取り、後部のスクリュースプレッダへ供給するコンベアの役割を担います。スクリュースプレッダは、スクリュー軸を回転させることでアスファルト混合物をスクリードの全幅にわたって均一に広げる役割を担う部分です。

スクリード

スクリードは、広げられたアスファルト混合物を均一な高さに整え、締め固めて平坦に仕上げる部分です。この作業を支えるのが、左右2枚に分かれた「スクリードプレート」で、勾配を直線や山折り、谷折りに調整することも可能です。

近年では、舗装幅を調整できる伸縮機能付きのモデルも登場しており、作業の柔軟性が向上しています。

ここまで、アスファルトフィニッシャーの特徴や用途、構造について解説してきました。ご存知の通り、アスファルトフィニッシャー以外にもさまざまな重機が現場で活躍しています。以下の記事で重機そのものについて解説しておりますので、併せてご一読いただき、知識を深めていただければ幸いです。

重機とは?種類と役割、用途、免許を解説

アスファルトフィニッシャーの免許・資格

アスファルトフィニッシャーの操作・運転にあたって取得が求められる免許・資格は、以下のとおりです。

必要な免許・資格
舗装作業
(スクリード操作)
以下のいずれかの資格

・車両系建設機械(整地・運搬・積込用及び掘削用)運転技能講習
・建設機械施工管理技士(2級以上)

公道での走行 小型特殊自動車免許もしくは大型特殊自動車免許(※)

※アスファルトフィニッシャーのように作業所や工場などで使用する特殊な構造を持つ車両の場合、以下の基準を満たせば小型特殊自動車免許、基準から外れる場合は大型特殊自動車免許が必要となる。

  • 全長4.7m以下、全幅1.7m以下、全高2.8m以下、最高速度時速15km以下

以下の記事では、アスファルトフィニッシャーをはじめとする建設機械・重機の免許・資格を網羅的に取り上げています。必要な費用や日数、講習時間や申込みなども紹介していますので、免許・資格の取得前に併せてご覧ください。

建設機械・重機の免許・資格一覧!費用や日数、受験資格

参考:国土交通省「公道走行ガイドブック」

アスファルトフィニッシャーのメーカー

アスファルトフィニッシャーの作業風景

本章では、アスファルトフィニッシャーの代表的なメーカーをピックアップして紹介します。

  • 範多機械
  • 住友建機

なお、アスファルトフィニッシャーには様々な機種があり、ここで取り上げていないメーカーも存在します。ご自身・自社の用途に合わせて適したアスファルトフィニッシャーを選ぶことが大切です。

範多機械

範多機械は、大阪府大阪市西淀川区に本社を構える道路建設機械メーカーです。主力製品としてアスファルトフィニッシャーをはじめ、凍結防止剤散布車や路面切削機など、幅広い機械を製造・販売しています。

範多機械のアスファルトフィニッシャーは、ラインナップが非常に豊富です。高性能なスクリードを搭載したモデルを揃えているのが特徴で、さまざまな幅員の変化にも柔軟に対応できます。

特に超小型機および中型機クラスのアスファルトフィニッシャーの製造に強みを持ち、コンパクトで使いやすいモデルを提供しています。

住友建機

住友建機は、住友グループの建設機械メーカーです。中でも道路舗装に欠かせない「アスファルトフィニッシャ」は、同社の主要製品で、シェア約70%を誇り、国内トップです。

大型のアスファルトフィニッシャー製造に強みがあり、サイズによっては日本全国で住友建機のみが扱っている重機もあります。

また、住友建機は国内だけでなく、東南アジアや北米など海外展開も積極的に行い、現地での道路舗装工事に貢献するグローバル企業としても知られています。

参考:住友建機「世界に類のない性能で海外市場にも拡張」

まとめ

アスファルトフィニッシャーは、道路や駐車場の舗装工事に欠かせない重機です。アスファルト混合物を均一に敷きならすことで、なめらかな舗装面を実現します。道路の耐久性や仕上がりの美しさを左右するため、現場での役割は非常に重要です。

アスファルトフィニッシャーの免許・資格は、取得までにある程度の期間が必要です。試験や講習で不合格となると、再び受講・受験するためにより多くの時間・費用がかかってしまうので、十分な対策をして臨みましょう。

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